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成金お嬢様、なんだか気付いたら称賛される

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「勝者、ビジュー!よって、ここに女剣士ビジューの優勝を宣言します!」

わーっと会場が湧く。まさかの女剣士の優勝に誰もが驚き、そして褒め称えた。

司会の進行で、優勝したビジューが壇上に上げられ賞金と賞状を授与される。

そして、ちょっとした余興ではないが新聞社からインタビューも受ける時間が設けられる。それももちろん見守る観客たち。

「優勝おめでとうございます、ビジューさん」

「ありがとうございます」

「この勝利を、誰に一番に伝えたいですか?」

「故郷の両親に…というべきなのでしょう。けれど、一番に伝えたい方には既に見守っていただいています」

「それは…?」

ビジューが、特別席のルーヴルナに手を振る。

「ルーヴルナ様!私はやりましたよ!」

ルーヴルナに、一気に注目が集まる。

「あ、え!わ、わたくし?」

「ルーヴルナ様にはご自覚はないでしょうが、私はルーヴルナ様に助けられたのです。私はルーヴルナ様の村に招待され、ちょうどその日起こった災害から難を逃れた後復興まで支えてもらったあの村の住人なのです」

ルーヴルナはそういえばそんなこともあったなと思い出す。世間は狭いなと呑気なことを考えていた。

「改めてルーヴルナ様に、この勝利を捧げます!」

ビジューのその言葉に、なんと返そうか迷ってルーヴルナはとりあえず笑みを返す。

だが、考えてみて欲しい。

ルーヴルナは成金お嬢様らしくその見た目に常に磨きをかけている。エステやら化粧水やら、お金を湯水のように使い元から持っている美しさをさらに存分に発揮している。その上今日はカサンドラの用意したドレスを身に纏い、カサンドラにいつ見られてもいいよう化粧もバッチリだ。

そんな美しさが天元突破した女の子が自分の成した善行を誇ることすらせず、ただ優しげな笑みを浮かべているのだ。…なんて返していいか分からず誤魔化しているだけなのだが、そんなの周りは知らない。

そんなのもう、女神が如く見えてしまうのも仕方がないことだった。

「おお…なんて、なんて素晴らしい…」

「聖王猊下が気に入ったのは、こういうことだったのね…」

ルーヴルナを称える声があちこちから聞こえる。ルーヴルナは「はて?」と思うが余計なことはしない方がいいと保身レーダーが反応してそのまま微笑んでいた。

ルーヴルナは思わぬ形で称賛を受けた。ルーヴルナが純粋に訓練試合を楽しめるように、敢えて帰りに話しかけようと待っていたカサンドラもこれには満面の笑みだった。

ルーヴルナが笑顔の裏でこれどうしようかなぁ…なんて思っているのは誰も知らない。
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