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タマゴサンド

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キャンプの片付けをして乗り合い馬車を拾い、行けるところまで進む。ようやく孤児院も近くなってきたところで、この村で宿を確保して依頼を受ける。

小さな平穏な村に大口依頼はなく、必要なものを収集して依頼主に渡したり、仕事を魔法で一気に片付けてあげたりと地道に依頼をこなして依頼料を受け取っていく。

村に着いたのが遅かったのもあって、魔法を駆使して村の人々の依頼を全てこなした頃には夜も遅くなる。そのかわりお財布がそれなりには温まった。

待たせてしまったリオルを宿に迎えに行きつつこの時間にもやっている食事処を探す。ひとつの店だけまだのぼりが立っているので、お腹を空かせていたリオルを連れて急いで店に入る。

「まだやってるかしら」

「いらっしゃい。やってるわよぉ」

出てきたのは優しげなおばあさん。

「さあさあ、まずは果実水を飲んで喉を潤して。坊やを背中に乗せて走ってきたんでしょう」

「わかるのじゃー?」

「窓から見えるのよぉ」

ちょっとだけ恥ずかしい。

「さっきは食料の買い出しの依頼、受けてくれてありがとうねぇ。果実水はサービスだからねぇ」

そういえばそんな依頼も受けた。忙しくて忘れてた。

「そうだねぇ。この時間だし材料も大分使ってしまったから、タマゴサンドでもいいかい?」

「ええ、二人分お願い」

「コンソメスープとサラダもつけておくからねぇ」

そして運ばれてきたのはかなり分厚く大きめの卵焼きの挟んである、ボリュームのあるタマゴサンド。コンソメスープとポテトサラダもある。

「いただきます」

「いただきますなのじゃー!」

まずはタマゴサンドを一口。うん、美味しい。

「美味しいのじゃー!卵焼きはバターのコクがあって絶品で、パンに塗られたからしもピリッと効いてるのじゃー!」

「卵焼きが分厚くてボリュームがあって、食べ応え抜群ね。空腹が満たされる幸せを感じるわ」

「ポテトサラダも素材の味が活かされていて美味しいのじゃー!」

「コンソメスープの温かさに心まで温まるわ。ありがとう、ご店主さん。ご馳走さまでした」

「いいのよぉ。だって貴女が買い出ししてくれたから今日も店を開けたんだもの。また坊やを連れて遊びに来てねぇ」

「ありがとうございましたなのじゃー!ご馳走さまでしたなのじゃー!」

不意にリオルがぱちんと指を鳴らす。おばあさんの身体が光魔法に包まれた。

「おや?持病の腰痛が治ったねぇ」

「お身体お大事になのじゃー!」

リオルと店を出る。

「リオル、さっきのは?」

「なんか、死に近い匂いがしたのじゃ。多分病気だと思って治したのじゃー!まあ、腰痛が治ったのはついでじゃがな、死の匂いは消えたのじゃ」

リオルの頭を撫でる。ご店主さんが病気とは気づかなかった。治ってくれてよかった。
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