21 / 57
ポークチャップ
しおりを挟む
今日はワイルドボア…ではなく、逃げ出した普通の家畜の豚が巨大化した挙句魔獣になった、なんか下手したらワイルドボアよりずっと大きい豚の魔獣の処理をお願いされた。いや…なんでこうなった…?もっと早く処理できたでしょうに…。凶暴過ぎて手がつけられなかった?そのための冒険者への依頼でしょう。
放置した結果依頼料が跳ね上がったのは、私にとっては有難いけれど村にとっては損失。悩んだけれど、いかにも貧しい村の様子を見て仕方がないので依頼料を半額にして、その分豚の魔獣の死体の解体をお願いした。ロースの部分を貰うことにする。あとの部分は村の人達で食べてもらう。大きな豚だし、魔獣だし、村は小規模だし、全員に肉は行き渡るだろう。慈善事業ではないのでいつもはこんなことはしないが、まあ今日はお金も余裕があるので依頼料は半分でも充分。美味しい豚ロースで久々に手作り料理を作ることを思えば、まあ割りに合わないわけではない。
そういえばリオルに手作り料理を振る舞うのは初めてだ。喜んでくれるかな?
私はリオルの喜ぶ顔を思い浮かべて張り切って豚の魔獣を拘束魔法で固定して、氷魔法で一思いに首を断ち切る。氷のつらら、便利。
解体を村の人達に任せて待っていると、渡されたのは半額にした依頼料丁度と野生で伸び伸び育ったおかげか意外にも上質な豚ロース。二人分には十分な量だし、美味しそう。うん、全部合わせて苦労に見合うだけの依頼料でしょう。村の人達の豚肉への期待した表情も含めてね。少しでもこの貧しい村の人達が報われてくれればいい。
ということで村の人達を観察していたリオルを連れて村を出る。今日は、久しぶりに次の村までの中継地でキャンプ。リオルには初めてのキャンプで、わくわくした顔をするリオルと一緒に準備をする。
マジックボックスからテントを引っ張り出して、リオルに指示を出す。リオルは初めてのキャンプに張り切って、小さな身体をちょこまかと動かしながらテントを設置した。
「リオル、ありがとう。助かったわ」
「わしもやるときはやるのじゃー!」
嬉しそうなリオルの頭を撫でるともっと撫でろと言わんばかりに背伸びしてくる。可愛い。
寝袋もマジックボックスから二人分引っ張り出して、調理台も設置。必要な調味料や野菜なども取り出して、あらかた準備は完了。
「ということで、ポークチャップを作るわ。リオルは初めてよね。美味しいから期待していて」
「楽しみなのじゃ!」
ライスを炊いて、卵とほうれん草のスープを作っておく。
キャベツを千切りにして、マッシュルームと玉ねぎをスライスする。豚ロースには筋切りをして塩胡椒をし下拵え。薄力粉を豚ロースの両面に擦り付ける。
フライパンで玉ねぎを炒めて、もう一つのフライパンで豚ロースを焼いていく。肉厚な豚ロースに火を通すため、お肉を焼くフライパンは蓋をした。
お肉を焼いたら、アルミホイルでお肉を包んで余熱で火を通す。
玉ねぎの方のフライパンにマッシュルームとバターを入れ、よく炒め、ケチャップと中濃ソース、コンソメ、すりおろしにんにくで味付け。お酒を加えてソースにしたら、千切りしたキャベツとお肉、ソースを盛り付けて完成!
「できたわ!」
「リリア、お見事なのじゃー!」
さっそくリオルと食べる。
「いただきます」
「いただきますなのじゃー!」
まず一口。我ながら美味しい。
「んー!お肉が柔らかくて、ソースもうまうまなのじゃー!」
「ジューシーなお肉に出来て大満足だわ」
「キャベツとかいう草…野菜もモリモリ食べられるのじゃー!」
「お肉には山盛りのキャベツよね、やっぱり」
「ライスも丁度いい炊き上がりで、卵スープも優しいお味なのじゃー!」
「そこまで喜ばれると作った甲斐があるわ」
「リリア、また今度お料理して欲しいのじゃー!」
「ふふ。気が向いたらね」
満腹になると、リオルと星空を眺める。ふと、リオルの魔力はどれだけ戻っているか気になった。でも、知らないふりをした。まだ、リオルと旅をしたい。いつからかリオルが一緒にいるのが当たり前に感じていた。もうしばらくは、一人旅に戻れそうになかった。
…それはきっと、ずっと孤独だったリオルも一緒なのだと勝手に願って。
放置した結果依頼料が跳ね上がったのは、私にとっては有難いけれど村にとっては損失。悩んだけれど、いかにも貧しい村の様子を見て仕方がないので依頼料を半額にして、その分豚の魔獣の死体の解体をお願いした。ロースの部分を貰うことにする。あとの部分は村の人達で食べてもらう。大きな豚だし、魔獣だし、村は小規模だし、全員に肉は行き渡るだろう。慈善事業ではないのでいつもはこんなことはしないが、まあ今日はお金も余裕があるので依頼料は半分でも充分。美味しい豚ロースで久々に手作り料理を作ることを思えば、まあ割りに合わないわけではない。
そういえばリオルに手作り料理を振る舞うのは初めてだ。喜んでくれるかな?
私はリオルの喜ぶ顔を思い浮かべて張り切って豚の魔獣を拘束魔法で固定して、氷魔法で一思いに首を断ち切る。氷のつらら、便利。
解体を村の人達に任せて待っていると、渡されたのは半額にした依頼料丁度と野生で伸び伸び育ったおかげか意外にも上質な豚ロース。二人分には十分な量だし、美味しそう。うん、全部合わせて苦労に見合うだけの依頼料でしょう。村の人達の豚肉への期待した表情も含めてね。少しでもこの貧しい村の人達が報われてくれればいい。
ということで村の人達を観察していたリオルを連れて村を出る。今日は、久しぶりに次の村までの中継地でキャンプ。リオルには初めてのキャンプで、わくわくした顔をするリオルと一緒に準備をする。
マジックボックスからテントを引っ張り出して、リオルに指示を出す。リオルは初めてのキャンプに張り切って、小さな身体をちょこまかと動かしながらテントを設置した。
「リオル、ありがとう。助かったわ」
「わしもやるときはやるのじゃー!」
嬉しそうなリオルの頭を撫でるともっと撫でろと言わんばかりに背伸びしてくる。可愛い。
寝袋もマジックボックスから二人分引っ張り出して、調理台も設置。必要な調味料や野菜なども取り出して、あらかた準備は完了。
「ということで、ポークチャップを作るわ。リオルは初めてよね。美味しいから期待していて」
「楽しみなのじゃ!」
ライスを炊いて、卵とほうれん草のスープを作っておく。
キャベツを千切りにして、マッシュルームと玉ねぎをスライスする。豚ロースには筋切りをして塩胡椒をし下拵え。薄力粉を豚ロースの両面に擦り付ける。
フライパンで玉ねぎを炒めて、もう一つのフライパンで豚ロースを焼いていく。肉厚な豚ロースに火を通すため、お肉を焼くフライパンは蓋をした。
お肉を焼いたら、アルミホイルでお肉を包んで余熱で火を通す。
玉ねぎの方のフライパンにマッシュルームとバターを入れ、よく炒め、ケチャップと中濃ソース、コンソメ、すりおろしにんにくで味付け。お酒を加えてソースにしたら、千切りしたキャベツとお肉、ソースを盛り付けて完成!
「できたわ!」
「リリア、お見事なのじゃー!」
さっそくリオルと食べる。
「いただきます」
「いただきますなのじゃー!」
まず一口。我ながら美味しい。
「んー!お肉が柔らかくて、ソースもうまうまなのじゃー!」
「ジューシーなお肉に出来て大満足だわ」
「キャベツとかいう草…野菜もモリモリ食べられるのじゃー!」
「お肉には山盛りのキャベツよね、やっぱり」
「ライスも丁度いい炊き上がりで、卵スープも優しいお味なのじゃー!」
「そこまで喜ばれると作った甲斐があるわ」
「リリア、また今度お料理して欲しいのじゃー!」
「ふふ。気が向いたらね」
満腹になると、リオルと星空を眺める。ふと、リオルの魔力はどれだけ戻っているか気になった。でも、知らないふりをした。まだ、リオルと旅をしたい。いつからかリオルが一緒にいるのが当たり前に感じていた。もうしばらくは、一人旅に戻れそうになかった。
…それはきっと、ずっと孤独だったリオルも一緒なのだと勝手に願って。
0
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
追放されてから数年間ダンジョンに篭り続けた結果、俺は死んだことになっていたので、あいつを後悔させてやることにした
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
世間で高い評価を集め、未来を担っていく次世代のパーティーとして名高いAランクパーティーである【月光】に所属していたゲイルは、突如として理不尽な理由でパーティーを追放されてしまった。 これ以上何を言っても無駄だと察したゲイルはパーティーリーダーであるマクロスを見返そうと、死を覚悟してダンジョンに篭り続けることにした。 それから月日が経ち、数年後。 ゲイルは危険なダンジョン内で生と死の境界線を幾度となく彷徨うことで、この世の全てを掌握できるであろう力を手に入れることに成功した。 そしてゲイルは心に秘めた復讐心に従うがままに、数年前まで活動拠点として構えていた国へ帰還すると、そこで衝撃の事実を知ることになる。 なんとゲイルは既に死んだ扱いになっており、【月光】はガラッとメンバーを変えて世界最強のパーティーと呼ばれるまで上り詰めていたのだ。 そこでゲイルはあることを思いついた。 「あいつを後悔させてやろう」 ゲイルは冒険者として最低のランクから再び冒険を始め、マクロスへの復讐を目論むのだった。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します
シア07
ファンタジー
主人公、レンは冒険者である。
それも討伐系のクエストをしたことのないちょっと変わった冒険者。
周りから腰抜け、雑魚と揶揄され、石を投げられる毎日。
そんなある日、いつも通りダンジョンに向かうと少女、リンがモンスターに襲われているのを発見する。
それを助けると次の日、家の前にリンの姿が。
レンの家を突き止めて、やって来たらしい。
根気よく迫られ、仕方なく少女と共にクエストにいくことにしたレン。
しかし、今度はダンジョン内でボスに出会ってしまい、少女がまたしても襲われる。
レンはそれを必死に助けようとするが、どうやら助けれそうになく……
「もう……やるしか……ないのか」
ずっとひた隠していた能力を使ったのだった。
これは最強の能力を持ちながら、最弱と呼ばれた少年と天真爛漫な少女が巡る壮大な物語だ。
※カクヨム、なろうでも連載してます
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
断罪された商才令嬢は隣国を満喫中
水空 葵
ファンタジー
伯爵令嬢で王国一の商会の長でもあるルシアナ・アストライアはある日のパーティーで王太子の婚約者──聖女候補を虐めたという冤罪で国外追放を言い渡されてしまう。
そんな王太子と聖女候補はルシアナが絶望感する様子を楽しみにしている様子。
けれども、今いるグレール王国には未来が無いと考えていたルシアナは追放を喜んだ。
「国外追放になって悔しいか?」
「いいえ、感謝していますわ。国外追放に処してくださってありがとうございます!」
悔しがる王太子達とは違って、ルシアナは隣国での商人生活に期待を膨らませていて、隣国を拠点に人々の役に立つ魔道具を作って広めることを決意する。
その一方で、彼女が去った後の王国は破滅へと向かっていて……。
断罪された令嬢が皆から愛され、幸せになるお話。
※他サイトでも連載中です。
毎日18時頃の更新を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる