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ポークチャップ

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今日はワイルドボア…ではなく、逃げ出した普通の家畜の豚が巨大化した挙句魔獣になった、なんか下手したらワイルドボアよりずっと大きい豚の魔獣の処理をお願いされた。いや…なんでこうなった…?もっと早く処理できたでしょうに…。凶暴過ぎて手がつけられなかった?そのための冒険者への依頼でしょう。

放置した結果依頼料が跳ね上がったのは、私にとっては有難いけれど村にとっては損失。悩んだけれど、いかにも貧しい村の様子を見て仕方がないので依頼料を半額にして、その分豚の魔獣の死体の解体をお願いした。ロースの部分を貰うことにする。あとの部分は村の人達で食べてもらう。大きな豚だし、魔獣だし、村は小規模だし、全員に肉は行き渡るだろう。慈善事業ではないのでいつもはこんなことはしないが、まあ今日はお金も余裕があるので依頼料は半分でも充分。美味しい豚ロースで久々に手作り料理を作ることを思えば、まあ割りに合わないわけではない。

そういえばリオルに手作り料理を振る舞うのは初めてだ。喜んでくれるかな?

私はリオルの喜ぶ顔を思い浮かべて張り切って豚の魔獣を拘束魔法で固定して、氷魔法で一思いに首を断ち切る。氷のつらら、便利。

解体を村の人達に任せて待っていると、渡されたのは半額にした依頼料丁度と野生で伸び伸び育ったおかげか意外にも上質な豚ロース。二人分には十分な量だし、美味しそう。うん、全部合わせて苦労に見合うだけの依頼料でしょう。村の人達の豚肉への期待した表情も含めてね。少しでもこの貧しい村の人達が報われてくれればいい。

ということで村の人達を観察していたリオルを連れて村を出る。今日は、久しぶりに次の村までの中継地でキャンプ。リオルには初めてのキャンプで、わくわくした顔をするリオルと一緒に準備をする。

マジックボックスからテントを引っ張り出して、リオルに指示を出す。リオルは初めてのキャンプに張り切って、小さな身体をちょこまかと動かしながらテントを設置した。

「リオル、ありがとう。助かったわ」

「わしもやるときはやるのじゃー!」

嬉しそうなリオルの頭を撫でるともっと撫でろと言わんばかりに背伸びしてくる。可愛い。

寝袋もマジックボックスから二人分引っ張り出して、調理台も設置。必要な調味料や野菜なども取り出して、あらかた準備は完了。

「ということで、ポークチャップを作るわ。リオルは初めてよね。美味しいから期待していて」

「楽しみなのじゃ!」

ライスを炊いて、卵とほうれん草のスープを作っておく。

キャベツを千切りにして、マッシュルームと玉ねぎをスライスする。豚ロースには筋切りをして塩胡椒をし下拵え。薄力粉を豚ロースの両面に擦り付ける。

フライパンで玉ねぎを炒めて、もう一つのフライパンで豚ロースを焼いていく。肉厚な豚ロースに火を通すため、お肉を焼くフライパンは蓋をした。

お肉を焼いたら、アルミホイルでお肉を包んで余熱で火を通す。

玉ねぎの方のフライパンにマッシュルームとバターを入れ、よく炒め、ケチャップと中濃ソース、コンソメ、すりおろしにんにくで味付け。お酒を加えてソースにしたら、千切りしたキャベツとお肉、ソースを盛り付けて完成!

「できたわ!」

「リリア、お見事なのじゃー!」

さっそくリオルと食べる。

「いただきます」

「いただきますなのじゃー!」

まず一口。我ながら美味しい。

「んー!お肉が柔らかくて、ソースもうまうまなのじゃー!」

「ジューシーなお肉に出来て大満足だわ」

「キャベツとかいう草…野菜もモリモリ食べられるのじゃー!」

「お肉には山盛りのキャベツよね、やっぱり」

「ライスも丁度いい炊き上がりで、卵スープも優しいお味なのじゃー!」

「そこまで喜ばれると作った甲斐があるわ」

「リリア、また今度お料理して欲しいのじゃー!」

「ふふ。気が向いたらね」

満腹になると、リオルと星空を眺める。ふと、リオルの魔力はどれだけ戻っているか気になった。でも、知らないふりをした。まだ、リオルと旅をしたい。いつからかリオルが一緒にいるのが当たり前に感じていた。もうしばらくは、一人旅に戻れそうになかった。

…それはきっと、ずっと孤独だったリオルも一緒なのだと勝手に願って。
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