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肩もみ

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あれからというものここ数日毎日欠かさず手作りお菓子を作って、お爺様、お父様、お母様、お兄様方に振舞っている。とても好評で、作り甲斐がある。あと、たまに来る私のお客様や使用人達にも作ってあげている。みんな恐れ多いと言いつつも美味しそうに食べてくれるので満足。これで少しでもイメージが回復出来ればいいなぁと思う。

さて、胃袋を掴む作戦には成功したけど、それだけじゃ足りない。次はスキンシップをとる作戦よ!といっても今のお兄様方にハグやキスは難しいから、肩もみから始めようと思う。

ということで、家庭教師の先生から貰った休憩時間にお兄様方の元へ行く。多分今の時間、お兄様方はジェスお兄様の部屋で休憩中のはず。

ジェスお兄様の部屋のドアをノックをするとジェスお兄様が入っておいでと言ってくれる。

「失礼します、ジェスお兄様。ターンお兄様とライお兄様も」

「やあ、ナターシャ。どうしたんだい?」

「…まだおやつの時間には早い」

「今度は何を企んでるんだよ」

「お兄様方は執務でお疲れでしょうから、肩もみでもどうかと思いまして」

「はあ…?」

「…ナターシャが?」

「おや、嬉しいな。早速僕の肩を揉んでよ、ナターシャ」

ジェスお兄様の肩を早速揉む。凝りすぎ。よく平気だな…。

「ジェスお兄様。凝りすぎです」

「ふふ。最近執務ばかりで、運動も出来てないからね」

「もっとお身体を大切にしてください」

「わかったよ。ナターシャは優しい子だね。今までが嘘のようだ」

後ろにいるせいでジェスお兄様の顔が見えない。どんな表情で今のセリフを言ったんだろう?

「ところで、我が家の役に立つ方法は考えついたかな?」

「あ、はい。あの…私、魔力が多い方じゃないですか」

「そうだね。我がヘキサグラムの中でもトップクラスの魔力保持者だ」

「そのせいで甘やかし過ぎたけどね…」

「まさかこんな性格になるなんて思わないだろ」

「なに言ってるの、ライ。今やこんなに可愛い性格じゃないか」

「また思ってもないことを…」

「それでその、よかったら領民達の農業を手伝えないかなって」

「?」

「はあ?」

「どういうことかな?」

「私、治癒属性持ちですから、平民達はもちろん病気の家畜も治せますし、少し応用すれば植物の成長を少し早められます。…ダメでしょうか?」

前の時間軸で、私の魔術の家庭教師が私ならそれが出来るのに…と言っていた。どうだろう?

「なるほど…うん、それなら貧しい平民達の救済にもなるし、我が家のイメージアップにもなるね。ナターシャの能力を周りに見せつけられるし、税の徴収も安定するかもしれない」

「…そんなこと言って、むしろ真逆のことをしたりしない?」

「こいつならやりそうだな」

信用が!低い!

「ターンお兄様…ライお兄様…」

「ターン、ライ。可愛い妹を虐めるものじゃない。そんなに心配なら僕がついていくよ」

「えっ」

「兄貴が?」

「ジェスお兄様…?いいんですか?」

「ちょうど気分転換したかったしね。今度の日曜でいいかな?ちょうどその日なら執務もないし」

「…まあ、兄さんが行くなら安心」

「そうだな…ふん、勝手に行くなら行け」

「ありがとうございます、ジェスお兄様、ターンお兄様、ライお兄様!」

嬉しくて思わずお兄様方に抱きつく。お兄様方は戸惑っていたけれども決して私を振り払わなかった。
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