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皇帝陛下の愛娘は妖精の国を楽しむ

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自分を迎えに来たという下級妖精に、リリアージュは自分が加護か祝福を授かるのだと知った。ニコラ達はそれを当然だと思う。リリアージュほど妖精王の加護や祝福を授かるのに相応しい人物はいないと本気で思っている。

「さあ、姫君。妖精國へ向かいましょう!」

「ちょっと待って。パパに報告しないと」

「何を仰いますか!妖精王様に会えるのです。これは幸運なことですよ。きっとお父君も許してくださいます」

「でも心配させちゃうから」

「姫君はそんなことを心配なさらなくてもよろしい。なんでしたら、認識阻害の魔法をかけて姫君が妖精國に招待されたと分からなくしますから」

「いやでも」

「早くしないと私が妖精王様からお叱りを受けてしまいます!」

この下級妖精、押しが強い。

「…わかった。でも、どうやって行くの?」

リリアージュは根負けした。

「えいっ」

下級妖精は指パッチンする。気付けば妖精國だった。

「このように移動します。帰りももちろん安全にお送りしますよ」

下級妖精はなんの悪気もなくそう言った。リリアージュはその無邪気な様子に苦笑する。きっと友人達は今頃焦っているだろう。

「…わかった。じゃあ、早速王城に向かおうか」

「妖精王様が、リリアージュ姫君に少し妖精國を紹介してから連れて来いと仰っていました。お付き合い頂けますか?」

「うん?んー?まあ、少しなら」

「では城下町に行きましょう!」

リリアージュ達は城下町に行く。そこはとても活気に溢れていた。

「わあ…!すごい!」

「リリアージュ姫君は、こういうのが好きだろうと妖精王様が仰っていました。お気に召しました?」

「とっても素敵!」

人々…といっても妖精だが、彼等が行き交う城下町は露店や小さな店が所狭しと並んでいて、みんな笑顔で楽しそうに買い物をしている。これだけで妖精國が住民達にとって幸せな国であることがよくわかる。そしてリリアージュは、民が平和に幸せに暮らす姿を見るのがとても大好きだ。リリアージュにとってこの光景は理想と言えた。

「ご店主!リリアージュ姫君…妖精王様の加護を授かる姫君がいらっしゃいましたよ!妖精國自慢のガラス工芸を一つ差し上げなさい!」

「おやおや妖精王様のお気に入りが何しに来たかと思えば、今代の姫君のお出ましか!ガラスの鳥だ、持っていきな!」

下級妖精から、ガラスの鳥を受け取るリリアージュ。お代を払おうとするが、断られた。

「今代の姫君にプレゼントだ。お代はいらん」

「このガラスの鳥は瘴気を祓う効果がありますよ、姫君。妖精王様の加護を受けた後なら、姫君の魔力で一国を救える程の効果を発揮するでしょう。有り難く受け取ってくださいね」

「う、うん。…ありがとう!」

リリアージュの無邪気な笑顔に、ご店主も下級妖精も嬉しそうに笑った。そして、下級妖精の案内で再び妖精王の王城の庭へと戻る。そこで、美しい透明な羽根を持つ妖精と出会った。
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