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悪役令嬢に仕立て上げられたと思ったら逆行転生してた
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「エリーズ・カロリング!この僕、フェリシアン・エルドラドの名において貴様との婚約は破棄させてもらう!そして我が愛おしいウラリー・カロリングとの婚約を新たに結ぶ!貴様は妹兼皇太子の婚約者を虐待した罪で断頭罪とする!」
高らかに宣言する私の元婚約者。私は拘束されて牢に入れられる。あの時の妹ウラリーの勝ち誇った顔は忘れない。父も義母も浅ましくにやにやと笑っていた。
そもそも、私は妹を虐待なんてしていない。冤罪だ。妹が色んな男に相談して、擦り寄っていくために私の名前が使われたのだ。ついでに言うと妹は沢山の男と関係を持っている。今後どうやって収集をつけるつもりだろうか?
妹は私の一つ年下。腹違いの妹だ。私がそろそろ生まれるという頃に父が作った愛人である、義母が生んだ子供である。母が病気で亡くなってすぐに、この屋敷に上がり込んできた浅ましい人達。私は母の娘であるから、母を愛さなかった父や、義母から見えない場所を殴る蹴るの暴行を受けていた。本当に虐待されていたのは、私の方だった。私の持ち物だって、妹が気に入ったものは全部妹に奪われた。母の形見のネックレスだって、婚約破棄を宣言されたパーティーで妹が付けていた。あの年齢に比べて精神が幼い王太子殿下は気が付かなかったようだけど。私によっぽど興味がなかったのね。
私は断頭台に送られる。私を可愛がってくれた国王陛下がいればこのような横暴は許されなかっただろう。だけど、国王陛下は今隣国に訪問していて、その間この国は王太子殿下に任されている。もう望みはない。私はみんなから石を投げられ顔がぼこぼこ。でも、どうせ衣服の下は父と義母の暴行を受けもっと酷い状態だ。今更気にしない。私は何も言わず、静かに首を落とされた。
ー…
「ん…ここは?」
見慣れた天井。昔のように私の持ち物がちゃんと置いてあるお部屋。ここは、私の私室?でも、何故?そもそも妹に奪われた沢山の宝物がどうして置いてあるの?
「可愛いリジー。おはよう。もう朝よ」
母が部屋に来た。これは夢?
「お母様…?」
「ええ、お母様よ、リジー」
ああ、もしかしてここは天国かしら?
「お母様?ここは天国?」
「まあ、どんな夢を見ていたの?ここはいつものお家よ」
ころころと鈴が鳴るように笑う母。よくよく注意して見れば手足が縮んでいる。もしかして…もしかして、奇跡が起こってる?昔に帰ってこられた?
「お母様…お母様っ!」
「あらあら、怖い夢だったのね。もう大丈夫よ」
そう。あれはただの夢だ。夢にしなければ。ならばするべきことは一つである。
ー…
私は過去に帰ってきてすぐに国王陛下に謁見させていただいた。失礼だろうとは思ったけれど、可愛い息子の婚約者ということで許された。
「急ぎの用とはなんだい、我が将来の娘リジー」
「もうすぐ水難が来ます、陛下」
「ん?なんだと?」
「来月の五日に、大雨が降るのです、陛下。そしてガティネ領が大打撃を受けます。家も家畜も、全てが氾濫した川に流されてしまうのです」
「…ほう。それで?」
「ガティネ領の領民達を五日から七日にかけて家畜やペットと共に避難させるべきかと。出来れば持てるだけの物を持たせて」
「ふむ。証明は出来るか?」
「私の命を賭けます」
「ほう」
「もし予言が外れれば私の首を落としてくださいませ」
「それではフェリシアンとの婚約はどうする」
「フェリシアン様にはウラリーがいますから」
「ウラリー?」
「今は公になっておりませんが、私には腹違いの妹がいます。ウラリーと言います。大変残念な性格で、私に虐待を受けたと嘘をついて沢山の男と関係を持つような子です。ですがフェリシアン様はウラリーに恋をして、私を捨ててウラリーを選びます。妹は母が来年病気で亡くなるとすぐに義母とともに屋敷に上がり込みます。そして私は父と義母に虐待されます」
「…ふむ」
「その未来を変えるため、今日は馳せ参じました。どうか、この予言が当たりましたら、私に力をお貸しください。私も予言の能力をエルドラドのために使います」
「…あいわかった。では、そなたの言う通りにしよう。来月、ガティネ領の全ての領民と家畜とペットを持てるだけの私財と共にこの宮殿に連れてこよう。もちろんガティネ伯も共に。もし予言が当たれば私は全力でリジーとカロリング公爵夫人を庇護しよう。それで良いな?」
「はい!ありがとうございます!」
「では、今日はもう帰りなさい、リジー」
「はい。失礼致します」
「…まさか、リジー様が予言の聖女だとは」
「中央教会からの突然の神託。予言の聖女が舞い降りる。いやぁ、リジーが予言の聖女とは結構結構。しかし先の予言ではフェリシアンには将来を期待出来んな。第二王子であるユベールと挿げ替えねば」
ー…
結局、予言は当たった。私は予言の聖女として、国王陛下と聖王陛下の命令で母とともに中央教会に預けられることになった。母は中央教会に入る際の健康診断で初期の症状の病気が発見され、すぐに治療を受け回復。病気はすぐに完治した。そして国王陛下によると、父はせっかく目障りな母と私が居なくなったが、母と離婚したわけでもないために義母やウラリーを引き取ることが出来ずにやきもきしていたらしい。が、その後何者かに義母とウラリーは襲われたとか。無残な死体が残ったらしい。父はその後領地経営だけに没頭する機械のようになっているとか。また、私の婚約者はユベール様に変更された。聖王陛下による神託であるとのこと。その関係で、王太子もユベール様に決まった。また、フェリシアン様は我がカロリング公爵家に養子に出されることが決まったそう。カロリング公爵家を継ぐ人がいないためらしい。もはや領地経営だけに没頭する機械となった父にめちゃくちゃしごかれて悔し泣きする毎日だとか。ちょっとだけ胸がすく思いだ。
「リジー」
「はい、ユベール様」
「中央教会は楽しいかい?」
「はい、とても。けれどこうしてユベール様に会える日は私にとってとても特別で、中央教会に不満はありませんがはやくユベール様と結婚したいです」
「可愛らしいことを言う。今すぐにでも君を奪ってしまいたくなる。愛しているよ、リジー」
「私も大好きです。ユベール様」
そんなこんなで今日も私は幸せです。
高らかに宣言する私の元婚約者。私は拘束されて牢に入れられる。あの時の妹ウラリーの勝ち誇った顔は忘れない。父も義母も浅ましくにやにやと笑っていた。
そもそも、私は妹を虐待なんてしていない。冤罪だ。妹が色んな男に相談して、擦り寄っていくために私の名前が使われたのだ。ついでに言うと妹は沢山の男と関係を持っている。今後どうやって収集をつけるつもりだろうか?
妹は私の一つ年下。腹違いの妹だ。私がそろそろ生まれるという頃に父が作った愛人である、義母が生んだ子供である。母が病気で亡くなってすぐに、この屋敷に上がり込んできた浅ましい人達。私は母の娘であるから、母を愛さなかった父や、義母から見えない場所を殴る蹴るの暴行を受けていた。本当に虐待されていたのは、私の方だった。私の持ち物だって、妹が気に入ったものは全部妹に奪われた。母の形見のネックレスだって、婚約破棄を宣言されたパーティーで妹が付けていた。あの年齢に比べて精神が幼い王太子殿下は気が付かなかったようだけど。私によっぽど興味がなかったのね。
私は断頭台に送られる。私を可愛がってくれた国王陛下がいればこのような横暴は許されなかっただろう。だけど、国王陛下は今隣国に訪問していて、その間この国は王太子殿下に任されている。もう望みはない。私はみんなから石を投げられ顔がぼこぼこ。でも、どうせ衣服の下は父と義母の暴行を受けもっと酷い状態だ。今更気にしない。私は何も言わず、静かに首を落とされた。
ー…
「ん…ここは?」
見慣れた天井。昔のように私の持ち物がちゃんと置いてあるお部屋。ここは、私の私室?でも、何故?そもそも妹に奪われた沢山の宝物がどうして置いてあるの?
「可愛いリジー。おはよう。もう朝よ」
母が部屋に来た。これは夢?
「お母様…?」
「ええ、お母様よ、リジー」
ああ、もしかしてここは天国かしら?
「お母様?ここは天国?」
「まあ、どんな夢を見ていたの?ここはいつものお家よ」
ころころと鈴が鳴るように笑う母。よくよく注意して見れば手足が縮んでいる。もしかして…もしかして、奇跡が起こってる?昔に帰ってこられた?
「お母様…お母様っ!」
「あらあら、怖い夢だったのね。もう大丈夫よ」
そう。あれはただの夢だ。夢にしなければ。ならばするべきことは一つである。
ー…
私は過去に帰ってきてすぐに国王陛下に謁見させていただいた。失礼だろうとは思ったけれど、可愛い息子の婚約者ということで許された。
「急ぎの用とはなんだい、我が将来の娘リジー」
「もうすぐ水難が来ます、陛下」
「ん?なんだと?」
「来月の五日に、大雨が降るのです、陛下。そしてガティネ領が大打撃を受けます。家も家畜も、全てが氾濫した川に流されてしまうのです」
「…ほう。それで?」
「ガティネ領の領民達を五日から七日にかけて家畜やペットと共に避難させるべきかと。出来れば持てるだけの物を持たせて」
「ふむ。証明は出来るか?」
「私の命を賭けます」
「ほう」
「もし予言が外れれば私の首を落としてくださいませ」
「それではフェリシアンとの婚約はどうする」
「フェリシアン様にはウラリーがいますから」
「ウラリー?」
「今は公になっておりませんが、私には腹違いの妹がいます。ウラリーと言います。大変残念な性格で、私に虐待を受けたと嘘をついて沢山の男と関係を持つような子です。ですがフェリシアン様はウラリーに恋をして、私を捨ててウラリーを選びます。妹は母が来年病気で亡くなるとすぐに義母とともに屋敷に上がり込みます。そして私は父と義母に虐待されます」
「…ふむ」
「その未来を変えるため、今日は馳せ参じました。どうか、この予言が当たりましたら、私に力をお貸しください。私も予言の能力をエルドラドのために使います」
「…あいわかった。では、そなたの言う通りにしよう。来月、ガティネ領の全ての領民と家畜とペットを持てるだけの私財と共にこの宮殿に連れてこよう。もちろんガティネ伯も共に。もし予言が当たれば私は全力でリジーとカロリング公爵夫人を庇護しよう。それで良いな?」
「はい!ありがとうございます!」
「では、今日はもう帰りなさい、リジー」
「はい。失礼致します」
「…まさか、リジー様が予言の聖女だとは」
「中央教会からの突然の神託。予言の聖女が舞い降りる。いやぁ、リジーが予言の聖女とは結構結構。しかし先の予言ではフェリシアンには将来を期待出来んな。第二王子であるユベールと挿げ替えねば」
ー…
結局、予言は当たった。私は予言の聖女として、国王陛下と聖王陛下の命令で母とともに中央教会に預けられることになった。母は中央教会に入る際の健康診断で初期の症状の病気が発見され、すぐに治療を受け回復。病気はすぐに完治した。そして国王陛下によると、父はせっかく目障りな母と私が居なくなったが、母と離婚したわけでもないために義母やウラリーを引き取ることが出来ずにやきもきしていたらしい。が、その後何者かに義母とウラリーは襲われたとか。無残な死体が残ったらしい。父はその後領地経営だけに没頭する機械のようになっているとか。また、私の婚約者はユベール様に変更された。聖王陛下による神託であるとのこと。その関係で、王太子もユベール様に決まった。また、フェリシアン様は我がカロリング公爵家に養子に出されることが決まったそう。カロリング公爵家を継ぐ人がいないためらしい。もはや領地経営だけに没頭する機械となった父にめちゃくちゃしごかれて悔し泣きする毎日だとか。ちょっとだけ胸がすく思いだ。
「リジー」
「はい、ユベール様」
「中央教会は楽しいかい?」
「はい、とても。けれどこうしてユベール様に会える日は私にとってとても特別で、中央教会に不満はありませんがはやくユベール様と結婚したいです」
「可愛らしいことを言う。今すぐにでも君を奪ってしまいたくなる。愛しているよ、リジー」
「私も大好きです。ユベール様」
そんなこんなで今日も私は幸せです。
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