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貧困政策開始です!
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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。誘拐事件から数ヶ月が過ぎました。誕生日も過ぎました。誕生日は姉姫さまとシュテル様からめちゃくちゃお祝いされてとても楽しかったです。
まあ、今のところ相変わらずの扱いを受けています。ただ、国王さまから護衛を増やされました。と言っても人件費は私の宮持ちですが…。そんな国王さまは相変わらず塩対応で、時々何か言いたそうな顔をすることがあります。なんなんだろう。
シュテル様とは相変わらず毎日のように使い魔を飛ばして恋文を送りあっています。あの事件以降ちょっと過保護気味ですが私をとても大切にしてくれています。
さて、今日はおそらく、姉姫さまが初めてスラム街の存在を知り悲しむ日。そして原作では貧困政策を考えて国王さまに訴えて実行に移し、シュテル様に惚れ直される日でもあります。そうは問屋が卸さないのです。私も姉姫さまと一緒に貧困政策を考えて、シュテル様に見直してもらい、仲をより深くさせていただきます!
ということで姉姫さまの元へいざ行かん!…と思ったのですが。
「メグ、メグ!」
「姉姫さま!?どうされました?」
私が姉姫さまの元へ行くよりはやく、姉姫さまが私に泣きついてきました。
「私、私…恐ろしいことを知ってしまったの!」
「姉姫さま?」
「落ち着いて聞いてね。この国には…スラム街という場所があって、そこでは満足な暮らしが出来ない民が身を寄せ合って暮らしているそうなの」
「そうなのですね…」
知ってますごめんなさい。
「私達がこうして豊かな暮らしをしているうちに今も苦しんでいる国民達が…なんてことなの…」
ぐずぐずと泣く姉姫さま。可哀想に…恵まれて育ったまだ七歳の子供にはきついだろうな。
「私、今すぐにお父様に掛け合ってくるわ。それで、このお城のドレスとか装飾品とかを売って、スラム街の民への救済に当ててもらうの!」
出た、姉姫さまのお花畑思考。お優しい姉姫さまだけれど、心が綺麗過ぎてまだ清濁併せ呑むことを知らない。国王さまと王妃さまも大変だな。まあ、ここは本来ならシュテル様が止めて考え直させるところ。私がその役割を果たしましょう。
「姉姫さま、落ち着いてくださいませ」
…姉姫さまにこっそりと精神安定用の魔法をかける。妹に魔法をかけられるとは思っていないのだろう、姉姫さまはすごく無防備。姉姫さまはすぐに落ち着きを取り戻します。
「あ…ごめんなさいね、妹の前で取り乱したりして」
「いえ…あの姉姫さま。私達がこうして豊かな生活をすることも意味があることだと思うのです」
「え?」
「私達が守るべき民は何もスラム街の民だけではありません。普通の暮らしを営む平民や、裕福な商家。騎士達や貴族達だって私達の可愛い民なのです」
「それはもちろん。でも…」
「私達がまるで平民のような生活を送っていたら他国はどう思うでしょう。きっと舐められます。最悪、この国を乗っ取ろうとする国もあるかもなのです」
「…まあ!なんてこと!」
姉姫さまは指摘されてようやく気付いたらしい、顔が青ざめている。
「それじゃあ、私がしようとしていたことは多くの民を傷つけていたかも知れないのね…」
「でも、それでも私達に出来ることもあるはずなのです。一緒に考えてみませんか?姉姫さま」
「…!ええ、ええ、そうね。そうしましょう!」
姉姫さまは元気を取り戻し、いつもの笑顔で早速貧困政策を考え出す。
原作では、スラム街に学校と治療術師を無償で提供する政策を打ち出していた。姉姫さまに弱い国王さまと王妃さまはすぐにそれを叶えた。その費用は、まあ当然のごとく脇役姫マルゲリットの宮から引き出されてはいたが。まあ、妥当なところだろう。マルゲリットは散財はせずに基本節約思考だったみたいだしちょうど良かったくらいかもしれない。…それでもちょっと納得いかないけれども。
私も当然、いつ何があってもいいようにナディアさんに頼んで節約思考で宮を切り盛りしてもらっている。だから今回の貧困政策で費用を引き出されても大丈夫。
ということで、思う存分貧困政策を考えてみようじゃないか!
ー…
結局、私達が考えた貧困政策は大きく分けて四つ。経済支援と、生活支援、就労支援に教育支援だ。前世の社会の勉強で習ったことを活かした。
「…うん、これはいいんじゃないかしら!」
「ええ、いい案だとと思います。姉姫さま」
「…あとは財源よね」
うんうん、姉姫さまも理想と現実をちゃんと見られるみたいでなにより。
「…それなら、私の宮から出しますよ」
「え?でも…」
「使うべきところでは、しっかりと使っていますが、それ以外では節約していますから。大丈夫です」
「…じゃあ、お願いしてもいい?」
「もちろんです!」
「…私も、メグを見習わなくちゃ」
え?なにが?
「…メグは私の妹なのに、私よりしっかりとしていて羨ましいわ。頼りないお姉様でごめんなさいね」
あ、姉姫さまがブルーになってる!
「そ、そんなことないです、姉姫さま!姉姫さまと相談出来たから、貧困政策の案が出来上がったのです!自信を持って欲しいのです!」
「ふふ。そうね、ありがとう」
いつもの花が咲くような笑み。よかったー。万が一姉姫さまを泣かせたら国王さまと王妃さまになにされるかわからない。
「じゃあ、早速お父様達にお願いに行きましょう?」
「私はここで待ってます」
「そう?じゃあ待っていてね。また来るわ」
こうして貧困政策は始まりました。
ー…
…まだ貧困政策は始まったばかり。実を結ぶかはこれから次第ですが、順調にスタートを切りました。スラム街の民達からの評価は高いようです。
姉姫さまは満足そうです。シュテル様にも褒められました。とても良い政策だと思う。俺は良い婚約者を持てた幸せ者だと手紙に書いてありました。照れるー。
王妃さまは姉姫さまだけの手柄にしたかったみたいで、私と一緒に考えたこと、私の宮からお金が出ていることが公になっているのがむかつくようですが、姉姫さまのおねだりには勝てなかったようです。
国王さまは、なんだか難しい表情をしてました。なーんか気になるんですよね。聞いてもなにも言ってくれないんですけれども。
幼少期編の目立ったストーリーは、あとは水害くらいかな。大雨が降って、その被害で村が流されるところまで出てたんだよね。姉姫さまも悲しむだろうし、犠牲者は出したくない。なんとかしないとだなぁ。
まあ、今のところ相変わらずの扱いを受けています。ただ、国王さまから護衛を増やされました。と言っても人件費は私の宮持ちですが…。そんな国王さまは相変わらず塩対応で、時々何か言いたそうな顔をすることがあります。なんなんだろう。
シュテル様とは相変わらず毎日のように使い魔を飛ばして恋文を送りあっています。あの事件以降ちょっと過保護気味ですが私をとても大切にしてくれています。
さて、今日はおそらく、姉姫さまが初めてスラム街の存在を知り悲しむ日。そして原作では貧困政策を考えて国王さまに訴えて実行に移し、シュテル様に惚れ直される日でもあります。そうは問屋が卸さないのです。私も姉姫さまと一緒に貧困政策を考えて、シュテル様に見直してもらい、仲をより深くさせていただきます!
ということで姉姫さまの元へいざ行かん!…と思ったのですが。
「メグ、メグ!」
「姉姫さま!?どうされました?」
私が姉姫さまの元へ行くよりはやく、姉姫さまが私に泣きついてきました。
「私、私…恐ろしいことを知ってしまったの!」
「姉姫さま?」
「落ち着いて聞いてね。この国には…スラム街という場所があって、そこでは満足な暮らしが出来ない民が身を寄せ合って暮らしているそうなの」
「そうなのですね…」
知ってますごめんなさい。
「私達がこうして豊かな暮らしをしているうちに今も苦しんでいる国民達が…なんてことなの…」
ぐずぐずと泣く姉姫さま。可哀想に…恵まれて育ったまだ七歳の子供にはきついだろうな。
「私、今すぐにお父様に掛け合ってくるわ。それで、このお城のドレスとか装飾品とかを売って、スラム街の民への救済に当ててもらうの!」
出た、姉姫さまのお花畑思考。お優しい姉姫さまだけれど、心が綺麗過ぎてまだ清濁併せ呑むことを知らない。国王さまと王妃さまも大変だな。まあ、ここは本来ならシュテル様が止めて考え直させるところ。私がその役割を果たしましょう。
「姉姫さま、落ち着いてくださいませ」
…姉姫さまにこっそりと精神安定用の魔法をかける。妹に魔法をかけられるとは思っていないのだろう、姉姫さまはすごく無防備。姉姫さまはすぐに落ち着きを取り戻します。
「あ…ごめんなさいね、妹の前で取り乱したりして」
「いえ…あの姉姫さま。私達がこうして豊かな生活をすることも意味があることだと思うのです」
「え?」
「私達が守るべき民は何もスラム街の民だけではありません。普通の暮らしを営む平民や、裕福な商家。騎士達や貴族達だって私達の可愛い民なのです」
「それはもちろん。でも…」
「私達がまるで平民のような生活を送っていたら他国はどう思うでしょう。きっと舐められます。最悪、この国を乗っ取ろうとする国もあるかもなのです」
「…まあ!なんてこと!」
姉姫さまは指摘されてようやく気付いたらしい、顔が青ざめている。
「それじゃあ、私がしようとしていたことは多くの民を傷つけていたかも知れないのね…」
「でも、それでも私達に出来ることもあるはずなのです。一緒に考えてみませんか?姉姫さま」
「…!ええ、ええ、そうね。そうしましょう!」
姉姫さまは元気を取り戻し、いつもの笑顔で早速貧困政策を考え出す。
原作では、スラム街に学校と治療術師を無償で提供する政策を打ち出していた。姉姫さまに弱い国王さまと王妃さまはすぐにそれを叶えた。その費用は、まあ当然のごとく脇役姫マルゲリットの宮から引き出されてはいたが。まあ、妥当なところだろう。マルゲリットは散財はせずに基本節約思考だったみたいだしちょうど良かったくらいかもしれない。…それでもちょっと納得いかないけれども。
私も当然、いつ何があってもいいようにナディアさんに頼んで節約思考で宮を切り盛りしてもらっている。だから今回の貧困政策で費用を引き出されても大丈夫。
ということで、思う存分貧困政策を考えてみようじゃないか!
ー…
結局、私達が考えた貧困政策は大きく分けて四つ。経済支援と、生活支援、就労支援に教育支援だ。前世の社会の勉強で習ったことを活かした。
「…うん、これはいいんじゃないかしら!」
「ええ、いい案だとと思います。姉姫さま」
「…あとは財源よね」
うんうん、姉姫さまも理想と現実をちゃんと見られるみたいでなにより。
「…それなら、私の宮から出しますよ」
「え?でも…」
「使うべきところでは、しっかりと使っていますが、それ以外では節約していますから。大丈夫です」
「…じゃあ、お願いしてもいい?」
「もちろんです!」
「…私も、メグを見習わなくちゃ」
え?なにが?
「…メグは私の妹なのに、私よりしっかりとしていて羨ましいわ。頼りないお姉様でごめんなさいね」
あ、姉姫さまがブルーになってる!
「そ、そんなことないです、姉姫さま!姉姫さまと相談出来たから、貧困政策の案が出来上がったのです!自信を持って欲しいのです!」
「ふふ。そうね、ありがとう」
いつもの花が咲くような笑み。よかったー。万が一姉姫さまを泣かせたら国王さまと王妃さまになにされるかわからない。
「じゃあ、早速お父様達にお願いに行きましょう?」
「私はここで待ってます」
「そう?じゃあ待っていてね。また来るわ」
こうして貧困政策は始まりました。
ー…
…まだ貧困政策は始まったばかり。実を結ぶかはこれから次第ですが、順調にスタートを切りました。スラム街の民達からの評価は高いようです。
姉姫さまは満足そうです。シュテル様にも褒められました。とても良い政策だと思う。俺は良い婚約者を持てた幸せ者だと手紙に書いてありました。照れるー。
王妃さまは姉姫さまだけの手柄にしたかったみたいで、私と一緒に考えたこと、私の宮からお金が出ていることが公になっているのがむかつくようですが、姉姫さまのおねだりには勝てなかったようです。
国王さまは、なんだか難しい表情をしてました。なーんか気になるんですよね。聞いてもなにも言ってくれないんですけれども。
幼少期編の目立ったストーリーは、あとは水害くらいかな。大雨が降って、その被害で村が流されるところまで出てたんだよね。姉姫さまも悲しむだろうし、犠牲者は出したくない。なんとかしないとだなぁ。
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