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幼少期編スタートです!
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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。ようやく五歳になりました。もうすぐ姉姫さまの物語の幼少期編(六歳から)がスタートします。
まあ、原作通りネグレクトを受けてます。特に可愛がられるわけでもなく放置です。乳母すら付かなかったため侍女さん達に面倒を見てもらっていました。ただ、赤ちゃんの頃から愛嬌を振りまきまくって手も掛からない子供だったため、むしろ侍女さん達からの評判は上々。侍女さん達も見様見真似ながら色々なマナーを教えてくれました。ええ、はい、家庭教師も付けてもらっていません。まあともかく、誰にも愛されない脇役姫から、侍女さん達からの評判は上々な脇役姫になりました。
さて、今日はおそらく、姉姫さまが私の待遇を両親である国王さま、王妃さまに訴えて、家庭教師と専属の侍女をつけるように説得する日。それをたまたま隣国シュテルンヒンメル国からアルカンシエル国に来ていた第一王子、シュトラール・シュテルンヒンメルに見つかり、大いに気に入られてそのまま婚約者の座に収まるのだ。しかしそうは問屋が卸しません。姉姫さまが動くより先に、私の方から国王さま、王妃さまに訴えて婚約者イベントは防がせてもらいます!
ということで国王さま、王妃さまの元へいざ行かん!
「国王さま、王妃さま、今日はお話があって参りました。どうかお時間を与えてくださいませ」
「あらあら…自分の立場がわかっていないのかしら、この子は」
「こうして生かしてやっているだけでも、感謝してもらいたいものなのだがな」
相変わらずの塩対応。くそぅ。
「お言葉ですが。その国王さまと王妃さまの態度についてお話させていただきたく」
「…なんですって?」
「私は仮にも国王さまの血を引く身。さすがに、専属侍女も家庭教師も付けないのはどうかと」
「な、なんだと?」
「私がもし、民衆の前でヘマでもしたらどうするのですか。それに、姉姫さまにもしいい人が出来た時、他国に嫁いでしまった場合は私が王位を継承するのです。…少なくとも今のところは。ですから、ね?」
ね?と圧をかけてみる。国王さまと王妃さまはむぐぐと口を閉ざす。…まあ、三年後に第一王子が誕生するのだけれども。
「それに、国王さまと王妃さまはあまりにもあからさまに私を邪魔者扱いし過ぎです。民衆がこの様子を見たらどう思うかお判りでしょう?せめて表面的には取り繕いましょうよ」
「…、わかった、もうよい。家庭教師と専属侍女はつけてやるから下がれ」
「あなた!?」
「ありがとうございます、国王さま!それでは失礼します、王妃さま!」
るんるん気分で謁見の間を出る。これで姉姫さまの王太子ルートの第一歩は邪魔できた。これであとは幼少期編のうちにシュテル様に媚を売っておけばいいんじゃないかな?新しい物好きらしいし、何か貢ぎ物でも…と、考えていた時だった。急に声をかけられた。
「おい、お前」
「はい?」
振り返るとそこには、シュテル様がいた。
「…っ!ご、ご機嫌よう」
侍女さん達に教えてもらった通りに、礼をとる。…ど、どうしよう。大丈夫だよね?
「…へえ、家庭教師も付けてもらってないのに、よく勉強してるじゃないか」
よ、よかった!合ってた!
「先程の会話、悪いが盗み聞きしていた。すまない。だが、お前、なかなかやるじゃないか」
「い、いえ…お恥ずかしい限りです…」
「一応聞くが、名前は?」
「マルゲリット・アルカンシエルです。シュトラール・シュテルンヒンメル王子殿下」
「…うん。気に入った」
「え?」
このセリフは、まさか!
「お前、今日から俺の婚約者になれ」
よっしゃー!
「は、はい、光栄です!」
「俺の婚約者たる者、何者にも負けない教養を身につけてもらうぞ。頑張れよ。国王陛下と王妃陛下には俺から伝えよう」
「ありがとうございます!」
「それと、俺のことはシュテルと呼べ。俺もお前をメグと呼ぼう」
「はい、シュテル様!」
「ふっ…素直だな。可愛い奴」
シュテル様はそういうと、私の頬にキスを落とす。キザだなー、そういうとこ好き。ともかく早くも目標達成ー!私なんてナイスタイミングだったんだ!でも油断はできない。だって、姉姫さまがいるから。いつ姉姫さまに揺らいでもおかしくはないのだ。これからは毎日こまめにラブレターを贈ろう。小説での姉姫さまのように。
あとは、あれだ。幼少期編での誘拐事件。姉姫さまが敵国、ノイモーントの者に誘拐されるのだ。それを颯爽と助けるシュテル様。そこからさらに甘いラブロマンスが展開されるのだ。
…絶対に、阻止してみせる。
まあ、原作通りネグレクトを受けてます。特に可愛がられるわけでもなく放置です。乳母すら付かなかったため侍女さん達に面倒を見てもらっていました。ただ、赤ちゃんの頃から愛嬌を振りまきまくって手も掛からない子供だったため、むしろ侍女さん達からの評判は上々。侍女さん達も見様見真似ながら色々なマナーを教えてくれました。ええ、はい、家庭教師も付けてもらっていません。まあともかく、誰にも愛されない脇役姫から、侍女さん達からの評判は上々な脇役姫になりました。
さて、今日はおそらく、姉姫さまが私の待遇を両親である国王さま、王妃さまに訴えて、家庭教師と専属の侍女をつけるように説得する日。それをたまたま隣国シュテルンヒンメル国からアルカンシエル国に来ていた第一王子、シュトラール・シュテルンヒンメルに見つかり、大いに気に入られてそのまま婚約者の座に収まるのだ。しかしそうは問屋が卸しません。姉姫さまが動くより先に、私の方から国王さま、王妃さまに訴えて婚約者イベントは防がせてもらいます!
ということで国王さま、王妃さまの元へいざ行かん!
「国王さま、王妃さま、今日はお話があって参りました。どうかお時間を与えてくださいませ」
「あらあら…自分の立場がわかっていないのかしら、この子は」
「こうして生かしてやっているだけでも、感謝してもらいたいものなのだがな」
相変わらずの塩対応。くそぅ。
「お言葉ですが。その国王さまと王妃さまの態度についてお話させていただきたく」
「…なんですって?」
「私は仮にも国王さまの血を引く身。さすがに、専属侍女も家庭教師も付けないのはどうかと」
「な、なんだと?」
「私がもし、民衆の前でヘマでもしたらどうするのですか。それに、姉姫さまにもしいい人が出来た時、他国に嫁いでしまった場合は私が王位を継承するのです。…少なくとも今のところは。ですから、ね?」
ね?と圧をかけてみる。国王さまと王妃さまはむぐぐと口を閉ざす。…まあ、三年後に第一王子が誕生するのだけれども。
「それに、国王さまと王妃さまはあまりにもあからさまに私を邪魔者扱いし過ぎです。民衆がこの様子を見たらどう思うかお判りでしょう?せめて表面的には取り繕いましょうよ」
「…、わかった、もうよい。家庭教師と専属侍女はつけてやるから下がれ」
「あなた!?」
「ありがとうございます、国王さま!それでは失礼します、王妃さま!」
るんるん気分で謁見の間を出る。これで姉姫さまの王太子ルートの第一歩は邪魔できた。これであとは幼少期編のうちにシュテル様に媚を売っておけばいいんじゃないかな?新しい物好きらしいし、何か貢ぎ物でも…と、考えていた時だった。急に声をかけられた。
「おい、お前」
「はい?」
振り返るとそこには、シュテル様がいた。
「…っ!ご、ご機嫌よう」
侍女さん達に教えてもらった通りに、礼をとる。…ど、どうしよう。大丈夫だよね?
「…へえ、家庭教師も付けてもらってないのに、よく勉強してるじゃないか」
よ、よかった!合ってた!
「先程の会話、悪いが盗み聞きしていた。すまない。だが、お前、なかなかやるじゃないか」
「い、いえ…お恥ずかしい限りです…」
「一応聞くが、名前は?」
「マルゲリット・アルカンシエルです。シュトラール・シュテルンヒンメル王子殿下」
「…うん。気に入った」
「え?」
このセリフは、まさか!
「お前、今日から俺の婚約者になれ」
よっしゃー!
「は、はい、光栄です!」
「俺の婚約者たる者、何者にも負けない教養を身につけてもらうぞ。頑張れよ。国王陛下と王妃陛下には俺から伝えよう」
「ありがとうございます!」
「それと、俺のことはシュテルと呼べ。俺もお前をメグと呼ぼう」
「はい、シュテル様!」
「ふっ…素直だな。可愛い奴」
シュテル様はそういうと、私の頬にキスを落とす。キザだなー、そういうとこ好き。ともかく早くも目標達成ー!私なんてナイスタイミングだったんだ!でも油断はできない。だって、姉姫さまがいるから。いつ姉姫さまに揺らいでもおかしくはないのだ。これからは毎日こまめにラブレターを贈ろう。小説での姉姫さまのように。
あとは、あれだ。幼少期編での誘拐事件。姉姫さまが敵国、ノイモーントの者に誘拐されるのだ。それを颯爽と助けるシュテル様。そこからさらに甘いラブロマンスが展開されるのだ。
…絶対に、阻止してみせる。
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