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洗濯機と食器洗い機の発明

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「うーん…」

みんながいつも通りアンディーヴの部屋に入り浸っていた所、今度は薊が難しい顔をしている。

「薊、どうしました?」

「第二皇子殿下…僕、第二皇子殿下のお抱え作家にしてもらってから貰った給料は孤児院に仕送りもしてるんですけど、やっぱり孤児院は僕の仕送りだけじゃ大変そうだなって」

「そうですか…偉いですね、薊」

アンディーヴは薊の頭を撫でる。薊はちょっと恥ずかしそうだが嬉しいようだ。

「それで、少しでも負担を減らさないかなって思って、考えてみたら洗濯と食器洗いが大変だったよなぁって思って」

「…なるほど」

「その…僕は平民だから魔法は使えないけど、みんなが力を貸してくれたらなって…でも、厚かましいかなって…」

「そんなことないです!薊のためなら協力します!」

「そうだよ。何水臭いこと言ってるの」

「なら、洗濯装置と食器洗い装置を作ろう。ついでに売ろう」

「試作品は薊の孤児院に無償で提供します。それくらいなら、薊も遠慮なく孤児院に貢献できるでしょう?」

「…みんな、ありがとう」

薊は目に涙を溜める。プリュネがそっといい匂いのするハンカチで拭ってやる。

「でも、洗濯と食器洗いね。水魔法と風魔法の併用でいける?」

「あ、風魔法を併用するなら、ついでに乾燥機能も付けましょう!」

「いいんじゃない?ねえ、アンディー」

「ええ。乾燥機能もスイッチ一つで切り替えできるようにしましょう」

「なら次はデザインだな」

「冷蔵庫も空気調整機も白にしたし、色は白の方が合うんじゃない?」

「洗濯装置は白にして、食器洗い装置は中の様子が見えるように蓋だけガラス製にしたら?」

「それもいいね」

「なら…見た目は…。これでどうですか?」

アンディーヴがイメージをスケッチする。

「わあ、食器洗い装置はいい感じじゃない?中の様子も見えるから洗い残しとかの不安も解消されるし」

「洗濯機はあえてこのフォルムなのか?」

「ずんぐりむっくりの方が可愛いでしょう?」

「可愛い…可愛い…?」

「か、可愛いと思います!」

プリュネがすかさずフォローする。デザインは早々に決まり、宮廷錬金術師達の元へスケッチを持って行く。宮廷錬金術師達も慣れたもので、直ぐに試作品を提供してくれた。そのままの足で宮廷魔術師達の元へ行く。

「宮廷魔術師達、邪魔するぞ」

「ウィスタリア殿下、皇太子殿下、第二皇子殿下、ご機嫌麗しく」

「またお前達の力を貸してくれないか」

「もちろんです。今回は何をしましょう?」

「リュー兄様、あのね、水魔法と風魔法で洗濯装置と食器洗い装置を作って欲しいの!両方とも乾燥機能もつけてくれる?洗いと乾燥の切り替えスイッチはここ!使用期限は十年くらいで!」

「わかったよ、リュリュ。ちょっと待ってね」

水魔法と風魔法を詠唱し、すぐに試作品を完成させるヴォリュビリス。すぐに実際使ってみたが、洗濯、食器洗い、その乾燥ともに完璧だ。

「ありがとう。すぐに量産体制に入ってくれ」

「はい、皇太子殿下」

「ところで名前はどうする?」

「そのまま洗濯機と食器洗い機でいいんじゃない?」

「わかりやすいしいいかも」

そして薊の育った孤児院に無償で試作品を提供した。ついでに言うと薊には言っていないが冷蔵庫と空気調整機も試作品を無償で提供している。薊は孤児院からのお礼の手紙でそれを知ってプリュネ達に改めて頭を下げた。そんな薊をみんなで撫でてやる。こうしてみんなの仲は更に深まった。また、洗濯機も食器洗い機も評判は上々で飛ぶように売れた。国庫も潤って、今まで洗濯と食器洗いに割いていた時間を仕事に割振れるようになった人々のおかげで経済も活発になったのだった。
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