21 / 21
洗濯機と食器洗い機の発明
しおりを挟む
「うーん…」
みんながいつも通りアンディーヴの部屋に入り浸っていた所、今度は薊が難しい顔をしている。
「薊、どうしました?」
「第二皇子殿下…僕、第二皇子殿下のお抱え作家にしてもらってから貰った給料は孤児院に仕送りもしてるんですけど、やっぱり孤児院は僕の仕送りだけじゃ大変そうだなって」
「そうですか…偉いですね、薊」
アンディーヴは薊の頭を撫でる。薊はちょっと恥ずかしそうだが嬉しいようだ。
「それで、少しでも負担を減らさないかなって思って、考えてみたら洗濯と食器洗いが大変だったよなぁって思って」
「…なるほど」
「その…僕は平民だから魔法は使えないけど、みんなが力を貸してくれたらなって…でも、厚かましいかなって…」
「そんなことないです!薊のためなら協力します!」
「そうだよ。何水臭いこと言ってるの」
「なら、洗濯装置と食器洗い装置を作ろう。ついでに売ろう」
「試作品は薊の孤児院に無償で提供します。それくらいなら、薊も遠慮なく孤児院に貢献できるでしょう?」
「…みんな、ありがとう」
薊は目に涙を溜める。プリュネがそっといい匂いのするハンカチで拭ってやる。
「でも、洗濯と食器洗いね。水魔法と風魔法の併用でいける?」
「あ、風魔法を併用するなら、ついでに乾燥機能も付けましょう!」
「いいんじゃない?ねえ、アンディー」
「ええ。乾燥機能もスイッチ一つで切り替えできるようにしましょう」
「なら次はデザインだな」
「冷蔵庫も空気調整機も白にしたし、色は白の方が合うんじゃない?」
「洗濯装置は白にして、食器洗い装置は中の様子が見えるように蓋だけガラス製にしたら?」
「それもいいね」
「なら…見た目は…。これでどうですか?」
アンディーヴがイメージをスケッチする。
「わあ、食器洗い装置はいい感じじゃない?中の様子も見えるから洗い残しとかの不安も解消されるし」
「洗濯機はあえてこのフォルムなのか?」
「ずんぐりむっくりの方が可愛いでしょう?」
「可愛い…可愛い…?」
「か、可愛いと思います!」
プリュネがすかさずフォローする。デザインは早々に決まり、宮廷錬金術師達の元へスケッチを持って行く。宮廷錬金術師達も慣れたもので、直ぐに試作品を提供してくれた。そのままの足で宮廷魔術師達の元へ行く。
「宮廷魔術師達、邪魔するぞ」
「ウィスタリア殿下、皇太子殿下、第二皇子殿下、ご機嫌麗しく」
「またお前達の力を貸してくれないか」
「もちろんです。今回は何をしましょう?」
「リュー兄様、あのね、水魔法と風魔法で洗濯装置と食器洗い装置を作って欲しいの!両方とも乾燥機能もつけてくれる?洗いと乾燥の切り替えスイッチはここ!使用期限は十年くらいで!」
「わかったよ、リュリュ。ちょっと待ってね」
水魔法と風魔法を詠唱し、すぐに試作品を完成させるヴォリュビリス。すぐに実際使ってみたが、洗濯、食器洗い、その乾燥ともに完璧だ。
「ありがとう。すぐに量産体制に入ってくれ」
「はい、皇太子殿下」
「ところで名前はどうする?」
「そのまま洗濯機と食器洗い機でいいんじゃない?」
「わかりやすいしいいかも」
そして薊の育った孤児院に無償で試作品を提供した。ついでに言うと薊には言っていないが冷蔵庫と空気調整機も試作品を無償で提供している。薊は孤児院からのお礼の手紙でそれを知ってプリュネ達に改めて頭を下げた。そんな薊をみんなで撫でてやる。こうしてみんなの仲は更に深まった。また、洗濯機も食器洗い機も評判は上々で飛ぶように売れた。国庫も潤って、今まで洗濯と食器洗いに割いていた時間を仕事に割振れるようになった人々のおかげで経済も活発になったのだった。
みんながいつも通りアンディーヴの部屋に入り浸っていた所、今度は薊が難しい顔をしている。
「薊、どうしました?」
「第二皇子殿下…僕、第二皇子殿下のお抱え作家にしてもらってから貰った給料は孤児院に仕送りもしてるんですけど、やっぱり孤児院は僕の仕送りだけじゃ大変そうだなって」
「そうですか…偉いですね、薊」
アンディーヴは薊の頭を撫でる。薊はちょっと恥ずかしそうだが嬉しいようだ。
「それで、少しでも負担を減らさないかなって思って、考えてみたら洗濯と食器洗いが大変だったよなぁって思って」
「…なるほど」
「その…僕は平民だから魔法は使えないけど、みんなが力を貸してくれたらなって…でも、厚かましいかなって…」
「そんなことないです!薊のためなら協力します!」
「そうだよ。何水臭いこと言ってるの」
「なら、洗濯装置と食器洗い装置を作ろう。ついでに売ろう」
「試作品は薊の孤児院に無償で提供します。それくらいなら、薊も遠慮なく孤児院に貢献できるでしょう?」
「…みんな、ありがとう」
薊は目に涙を溜める。プリュネがそっといい匂いのするハンカチで拭ってやる。
「でも、洗濯と食器洗いね。水魔法と風魔法の併用でいける?」
「あ、風魔法を併用するなら、ついでに乾燥機能も付けましょう!」
「いいんじゃない?ねえ、アンディー」
「ええ。乾燥機能もスイッチ一つで切り替えできるようにしましょう」
「なら次はデザインだな」
「冷蔵庫も空気調整機も白にしたし、色は白の方が合うんじゃない?」
「洗濯装置は白にして、食器洗い装置は中の様子が見えるように蓋だけガラス製にしたら?」
「それもいいね」
「なら…見た目は…。これでどうですか?」
アンディーヴがイメージをスケッチする。
「わあ、食器洗い装置はいい感じじゃない?中の様子も見えるから洗い残しとかの不安も解消されるし」
「洗濯機はあえてこのフォルムなのか?」
「ずんぐりむっくりの方が可愛いでしょう?」
「可愛い…可愛い…?」
「か、可愛いと思います!」
プリュネがすかさずフォローする。デザインは早々に決まり、宮廷錬金術師達の元へスケッチを持って行く。宮廷錬金術師達も慣れたもので、直ぐに試作品を提供してくれた。そのままの足で宮廷魔術師達の元へ行く。
「宮廷魔術師達、邪魔するぞ」
「ウィスタリア殿下、皇太子殿下、第二皇子殿下、ご機嫌麗しく」
「またお前達の力を貸してくれないか」
「もちろんです。今回は何をしましょう?」
「リュー兄様、あのね、水魔法と風魔法で洗濯装置と食器洗い装置を作って欲しいの!両方とも乾燥機能もつけてくれる?洗いと乾燥の切り替えスイッチはここ!使用期限は十年くらいで!」
「わかったよ、リュリュ。ちょっと待ってね」
水魔法と風魔法を詠唱し、すぐに試作品を完成させるヴォリュビリス。すぐに実際使ってみたが、洗濯、食器洗い、その乾燥ともに完璧だ。
「ありがとう。すぐに量産体制に入ってくれ」
「はい、皇太子殿下」
「ところで名前はどうする?」
「そのまま洗濯機と食器洗い機でいいんじゃない?」
「わかりやすいしいいかも」
そして薊の育った孤児院に無償で試作品を提供した。ついでに言うと薊には言っていないが冷蔵庫と空気調整機も試作品を無償で提供している。薊は孤児院からのお礼の手紙でそれを知ってプリュネ達に改めて頭を下げた。そんな薊をみんなで撫でてやる。こうしてみんなの仲は更に深まった。また、洗濯機も食器洗い機も評判は上々で飛ぶように売れた。国庫も潤って、今まで洗濯と食器洗いに割いていた時間を仕事に割振れるようになった人々のおかげで経済も活発になったのだった。
1
お気に入りに追加
155
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
どうか、お幸せになって下さいね。伯爵令嬢はみんなが裏で動いているのに最後まで気づかない。
しげむろ ゆうき
恋愛
キリオス伯爵家の娘であるハンナは一年前に母を病死で亡くした。そんな悲しみにくれるなか、ある日、父のエドモンドが愛人ドナと隠し子フィナを勝手に連れて来てしまったのだ。
二人はすぐに屋敷を我が物顔で歩き出す。そんな二人にハンナは日々困らされていたが、味方である使用人達のおかげで上手くやっていけていた。
しかし、ある日ハンナは学園の帰りに事故に遭い……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる