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ウィスタリア王子の暇つぶし

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今日はプリュネの休日である。しかしながらプリュネにとって休みはつまらない。暇である。誰かを占える仕事がある日の方が楽しい。暇を持て余しているプリュネの部屋に、誰かが訪ねてきた。

「はい…ウィスタリア殿下?」

「やあ!プリュネちゃん。今日はレンもアンディーも公務で忙しくてさぁ。暇なんだよね。一緒にお茶でもどう?中庭で」

「よろしいのですか?是非!」

同じく暇を持て余していたウィスタリアからの誘いはとてもありがたい。プリュネは二つ返事で了承した。

中庭に移動すると薔薇が咲き誇っている。椅子とテーブルが用意されていて、その上には高価な紅茶とお菓子ばかり。すぐにプリュネは上機嫌になり、それを見てウィスタリアは少し笑った。歳下なのもあるだろうけれど、少しばかり子供っぽいプリュネが可愛らしい。

「なんの話をしようかな…うーん」

あまりに刺激的な話をこの娘と二人きりの時にすると友達二人に怒られそうな気もする。さてどうしたものか。

「そういえば、プローディギウム聖国の神話はとても面白いと聞きました!」

「…。プローディギウムに興味があるの?嬉しいな」

ウィスタリアは少し悩んだが話に乗ることにした。

「はい!どんなお話なのでしょうか?」

「じゃあ、お話しようか。そうだ!宗教画もあるんだよね。見ながら説明しようか」

「はい!ありがとうございます!」

ウィスタリアがプリュネに宗教画を見せながら説明したプローディギウム教の神話はこの様なものだ。

プローディギウムの神祖、『ウィスタリア』は神と人の合いの子。彼は他の神々との争いの末にプローディギウムの土地を手に入れ、プローディギウム聖国を興す。すると主神が『ウィスタリア』に奇跡を起こす力を祝福として与えた。そのため『ウィスタリア』の子孫は奇跡を起こす力を持つ神の子とされる。

『ウィスタリア』の子孫であるプローディギウム聖国には、他の神々との軋轢のため様々な天災が降り注ぐが、必ず王家から出家したプローディギウム教の教皇が全ての民を奇跡の力で救うのだ。教皇となるのは必ずその代で五番目に生まれる王家の男子。名前は必ず『ウィスタリア』と付けられる。

「カッコいい神話ですね!ウィスタリア殿下!」

「そう?」

「はい!特に教皇様のご活躍とか!」

「…実際にはそんないいもんじゃないけど、そう言われて嫌な気持ちにはならないね」

ウィスタリアは目をキラキラさせて喜ぶプリュネに少しだけ救われる気がした。
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