34 / 60
婚約者は面白くないそうです
しおりを挟む
先輩方に協力してもらいつつコラムを書いてみる。とりあえずまずは魔法薬が如何に貴重かということと、これから価格崩壊しない程度に量産できるシステムを作るべきだということを書いてみる。先輩方は価格崩壊しない程度に量産できるシステムを作るという考えがなかったらしく、関心された。
「魔法薬の量産をシステム化かぁ。凄くいいアイデアだと思うよ」
「ただ、魔法薬を作るには良質な薬草や水の他に魔力を必要とするからなぁ…」
「魔法薬は需要に対して供給が少ない。価格崩壊しない程度に量産するというのはこれから必要になるとは思う。…問題は作り手の少なさだな」
「魔力がないと作れませんからね…魔力を多く持つ貴族はわざわざ魔法薬を作らなくてもお金がありますから…」
「俺達みたいに魔法薬の研究に没頭する貴族なんて希だしなぁ」
「僕は爵位を継がないから薬師になるつもりだけど、他の貴族の次男や三男なんかは婿養子に入ったりとか教会で出家するのが普通だしね」
「俺の妹達はみんな良家に嫁ぐことが決まってる。薬師になりたがる貴族なんてまずいない」
「だからこそ、国が支援してシステム化した方が良いと思うんですよね」
「国が支援かぁ…なるほどなぁ。潤沢な資金を調達出来れば、あるいは…いやでも、魔力がある奴は金があるしなぁ?」
「あ、待って。確か魔力を増強する魔法薬も有ったよね?それを貧しい平民に飲ませて、その平民を薬師として育てるシステムを作るとかは?」
「それならなんとかなりそうだな。今のところ国庫も潤っているし、いっそのこと上申するか?」
「待て待てお前たち、なんで学園新聞のコラムからそこまで話が広がるんだ?上申しても変わり者扱いを受けるだけだ、やめておけ。フェリクス殿下の御世になったらミレイ君から提案すれば良いだろう」
「ちぇっ!良い案だと思うんだけどなー」
「まあでもそうなるよね」
「ミレイ、フェリクス殿下によろしく」
「わかりました!頑張って提案してみます!」
「だから、フェリクス殿下の御世になったらって言ってるだろうに」
そんなことを話しながらコラムも書き上げ、イレール先生に提出する。さあ帰ろうと帰り支度を始めた時、部室のドアが開いた。
「ミレイ、今日は用事があって帰りが遅くなったんだ。一緒に帰ろう?」
「フェリクス様!ありがとうございます、一緒に帰ります!」
フェリクス様と帰れるなんて嬉しいな。
「やあ、皆様ご機嫌よう。僕の婚約者がお世話になってます」
「フェリクス殿下、ご機嫌よう。こちらこそ、ミレイ様にはとても良くしていただいてます」
「ご機嫌よう。フェリクス殿下とミレイ様はラブラブですね!いやぁ、羨ましい限りです!」
「ご機嫌よう。ミレイ様はとても魔法薬の研究に没頭しておいでです。やる気のある入部生に来てもらえて皆とても喜んでいます」
「ご機嫌よう、フェリクス殿下。ミレイ君が学園新聞のコラムを書いたので、よかったら今度読んでみてください。とても良い記事だと思います」
「そっかそっか。先輩方も先生も、本当にミレイをありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「じゃ、帰るよ、ミレイ」
「あっ…は、はい!」
自然に恋人繋ぎで手を握られて、フェリクス様に連れられて帰る。顔が赤くなった私を、先輩方も先生もニヤニヤ笑いながら見送ってくれた。もう!先輩方も先生もこういう時には意地悪です!
「…ミレイ」
「はい、フェリクス様」
「魔法薬研究部ってあんなに男ばっかりなんだね?」
にっこり笑って振り返るフェリクス様。黒いオーラが見える。私なにかしちゃった?
「…ま、ミレイはそういう意味で魔法薬研究部に入部したわけじゃないのはわかっているけれどね」
フェリクス様は私の頬をむにょむにょと弄る。
「フェリクス様、何か怒ってますか?」
「君鈍すぎ。怒ってるんじゃなくて…嫉妬してんの」
嫉妬?なんで?
「その顔は分かってないな…はぁ。まあ、いいよ。分かって変にあいつらを意識されるより、何も考えてない方がよっぽどマシ」
「あいつら?意識?」
「なんでもないよ。…ああ、もう寮に着いたね。また明日」
「はい、また明日!」
フェリクス様の背中が見えなくなるまで手を振る。フェリクス様は時折振り向いて手を振ってくれた。ああ、今日も充実した一日だったなぁ。
「魔法薬の量産をシステム化かぁ。凄くいいアイデアだと思うよ」
「ただ、魔法薬を作るには良質な薬草や水の他に魔力を必要とするからなぁ…」
「魔法薬は需要に対して供給が少ない。価格崩壊しない程度に量産するというのはこれから必要になるとは思う。…問題は作り手の少なさだな」
「魔力がないと作れませんからね…魔力を多く持つ貴族はわざわざ魔法薬を作らなくてもお金がありますから…」
「俺達みたいに魔法薬の研究に没頭する貴族なんて希だしなぁ」
「僕は爵位を継がないから薬師になるつもりだけど、他の貴族の次男や三男なんかは婿養子に入ったりとか教会で出家するのが普通だしね」
「俺の妹達はみんな良家に嫁ぐことが決まってる。薬師になりたがる貴族なんてまずいない」
「だからこそ、国が支援してシステム化した方が良いと思うんですよね」
「国が支援かぁ…なるほどなぁ。潤沢な資金を調達出来れば、あるいは…いやでも、魔力がある奴は金があるしなぁ?」
「あ、待って。確か魔力を増強する魔法薬も有ったよね?それを貧しい平民に飲ませて、その平民を薬師として育てるシステムを作るとかは?」
「それならなんとかなりそうだな。今のところ国庫も潤っているし、いっそのこと上申するか?」
「待て待てお前たち、なんで学園新聞のコラムからそこまで話が広がるんだ?上申しても変わり者扱いを受けるだけだ、やめておけ。フェリクス殿下の御世になったらミレイ君から提案すれば良いだろう」
「ちぇっ!良い案だと思うんだけどなー」
「まあでもそうなるよね」
「ミレイ、フェリクス殿下によろしく」
「わかりました!頑張って提案してみます!」
「だから、フェリクス殿下の御世になったらって言ってるだろうに」
そんなことを話しながらコラムも書き上げ、イレール先生に提出する。さあ帰ろうと帰り支度を始めた時、部室のドアが開いた。
「ミレイ、今日は用事があって帰りが遅くなったんだ。一緒に帰ろう?」
「フェリクス様!ありがとうございます、一緒に帰ります!」
フェリクス様と帰れるなんて嬉しいな。
「やあ、皆様ご機嫌よう。僕の婚約者がお世話になってます」
「フェリクス殿下、ご機嫌よう。こちらこそ、ミレイ様にはとても良くしていただいてます」
「ご機嫌よう。フェリクス殿下とミレイ様はラブラブですね!いやぁ、羨ましい限りです!」
「ご機嫌よう。ミレイ様はとても魔法薬の研究に没頭しておいでです。やる気のある入部生に来てもらえて皆とても喜んでいます」
「ご機嫌よう、フェリクス殿下。ミレイ君が学園新聞のコラムを書いたので、よかったら今度読んでみてください。とても良い記事だと思います」
「そっかそっか。先輩方も先生も、本当にミレイをありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ」
「じゃ、帰るよ、ミレイ」
「あっ…は、はい!」
自然に恋人繋ぎで手を握られて、フェリクス様に連れられて帰る。顔が赤くなった私を、先輩方も先生もニヤニヤ笑いながら見送ってくれた。もう!先輩方も先生もこういう時には意地悪です!
「…ミレイ」
「はい、フェリクス様」
「魔法薬研究部ってあんなに男ばっかりなんだね?」
にっこり笑って振り返るフェリクス様。黒いオーラが見える。私なにかしちゃった?
「…ま、ミレイはそういう意味で魔法薬研究部に入部したわけじゃないのはわかっているけれどね」
フェリクス様は私の頬をむにょむにょと弄る。
「フェリクス様、何か怒ってますか?」
「君鈍すぎ。怒ってるんじゃなくて…嫉妬してんの」
嫉妬?なんで?
「その顔は分かってないな…はぁ。まあ、いいよ。分かって変にあいつらを意識されるより、何も考えてない方がよっぽどマシ」
「あいつら?意識?」
「なんでもないよ。…ああ、もう寮に着いたね。また明日」
「はい、また明日!」
フェリクス様の背中が見えなくなるまで手を振る。フェリクス様は時折振り向いて手を振ってくれた。ああ、今日も充実した一日だったなぁ。
21
お気に入りに追加
392
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
四回目の人生は、お飾りの妃。でも冷酷な夫(予定)の様子が変わってきてます。
千堂みくま
恋愛
「あぁああーっ!?」婚約者の肖像画を見た瞬間、すべての記憶がよみがえった。私、前回の人生でこの男に殺されたんだわ! ララシーナ姫の人生は今世で四回目。今まで三回も死んだ原因は、すべて大国エンヴィードの皇子フェリオスのせいだった。婚約を突っぱねて死んだのなら、今世は彼に嫁いでみよう。死にたくないし!――安直な理由でフェリオスと婚約したララシーナだったが、初対面から夫(予定)は冷酷だった。「政略結婚だ」ときっぱり言い放ち、妃(予定)を高い塔に監禁し、見張りに騎士までつける。「このままじゃ人質のまま人生が終わる!」ブチ切れたララシーナは前世での経験をいかし、塔から脱走したり皇子の秘密を探ったりする、のだが……。あれ? 冷酷だと思った皇子だけど、意外とそうでもない? なぜかフェリオスの様子が変わり始め――。
○初対面からすれ違う二人が、少しずつ距離を縮めるお話○最初はコメディですが、後半は少しシリアス(予定)○書き溜め→予約投稿を繰り返しながら連載します。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
断罪された挙句に執着系騎士様と支配系教皇様に目をつけられて人生諸々詰んでる悪役令嬢とは私の事です。
甘寧
恋愛
断罪の最中に前世の記憶が蘇ったベルベット。
ここは乙女ゲームの世界で自分がまさに悪役令嬢の立場で、ヒロインは王子ルートを攻略し、無事に断罪まで来た所だと分かった。ベルベットは大人しく断罪を受け入れ国外追放に。
──……だが、追放先で攻略対象者である教皇のロジェを拾い、更にはもう一人の対象者である騎士団長のジェフリーまでがことある事にベルベットの元を訪れてくるようになる。
ゲームからは完全に外れたはずなのに、悪役令嬢と言うフラグが今だに存在している気がして仕方がないベルベットは、平穏な第二の人生の為に何とかロジェとジェフリーと関わりを持たないように逃げまくるベルベット。
しかし、その行動が裏目に出てロジェとジェフリーの執着が増していく。
そんな折、何者かがヒロインである聖女を使いベルベットの命を狙っていることが分かる。そして、このゲームには隠された裏設定がある事も分かり……
独占欲の強い二人に振り回されるベルベットの結末はいかに?
※完全に作者の趣味です。
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる