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妹が呪詛を使ったようです
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虫に噛まれた。…と思ったら、急に呼吸が苦しくなった。胸がドキドキして、身体が熱い。嘔吐もして、そのまま倒れた。
「お嬢様!?お嬢様、どうされたのですか、お嬢様!?」
「…ルナさん!俺はお嬢様をベッドに運んで治癒魔法を掛けておくから、急いで医者と旦那様と奥様を呼んできて!はやく!」
「は、はい!エド、お嬢様をお願いします!」
「任せて!これでも回復魔法は得意なんだ!」
エドが私に回復魔法を掛けてくれる。けれど、回復したそばからすぐにまた原因不明の体調不良が私を襲う。また回復魔法を掛けて、また具合が悪くなって。その繰り返し。いたちごっこの状態だった。
「エド!お嬢様の主治医を連れてきました!旦那様と奥様もいます!」
「ありがとう!ルナさん!お医者様、ミレイ様は回復魔法を掛けても、回復したその瞬間に体調が悪くなるんだ!普通じゃない!」
「ミレイユ、大丈夫か!?」
「ミレイユ、今助けてもらいましょうね。大丈夫、大丈夫よ」
お父様が手を握って励ましてくれる。お母様が頭を撫でて宥めてくれる。
「これは…普通の病気じゃない。おそらく呪いだ」
お医者様が呪いだと言った。
「呪い!?誰がそんな…」
「まさか…マノン、あの子!?」
「旦那様、奥様、今はそんなことよりお嬢様です!私とこの護衛君で回復魔法を掛け続けますので、聖職者を呼んできてください!」
「わ、わかりました!」
「…その必要はないよ」
そこには、いつの間にかフェリクス様が居た。
「フェリクス様!?」
「婚約指輪が光ったから、ミレイに何かあったってすぐにわかってね。転移魔法で来ちゃった。…さて、呪いを掛けた人物が分かっているなら、呪詛返しを発動するには十分だ。義父上、義母上。ミレイを助けるなら、代わりにこの呪いよりもっと強烈な呪詛返しがマノンに降りかかります。それでも、僕にミレイを助けさせてくれますか?」
「…っ!」
「あなた…」
「いや、分かってる…悩んでいる暇はない…お願い致します、フェリクス様。ミレイユを助けてください」
「分かりました。では」
フェリクス様が私の頭をそっと撫でる。
「ミレイ、目をつぶって。…温かな命の温度。安らぎはここに。君の苦痛は、夢のように消えるだろう。さあ、深呼吸をして。吸って…吐いて…。魔力は巡り、僕の魔力が君を満たす…さあ、目を開けて。…これでもう、大丈夫だよ」
フェリクス様の魔力で私の身体は満たされて、いつの間にかあれだけ辛かったのが楽になっていた。
「フェリクス様…私…」
フェリクス様にきつく抱きしめられる。
「よかった…間に合って本当に良かった…っ!」
「フェリクス様…」
更にお父様とお母様にまで抱き締められる。
「ミレイユ、良かった!もう大丈夫だぞ!」
「ああ、本当に良かった!ありがとうございます…フェリクス様、お医者様、エド、ルナ、本当にありがとうございました!」
「いえ、私は人を呼ぶしか出来ませんでしたから」
「俺の回復魔法がミレイ様のお役に立てたなら、よかったよ」
「護衛君の回復魔法があったから間に合ったようなものですな。この老いぼれも力になれて何よりです」
「ミレイ。ごめん。こんな目に遭わせて…僕の方で手を打っておくべきだった。本当にごめん…生きていてくれて、ありがとう…」
「フェリクス様…いいんです。助けに来てくれてありがとうございました。とっても嬉しくて、心強かったです。フェリクス様が来てくれて、本当に良かった」
「ミレイ…君を助けられて本当に良かった」
フェリクス様は身体を離すと私の頭を撫でる。とても安心して私は、なんだか泣けてきた。その時初めてわかった。ああ、私はこんなに怖かったんだなと。なんで今の今まで自覚がなかったのかわからないけれど、怖かったんだとわかると涙が止まらなくて。フェリクス様に泣きついて、わんわん泣いた。フェリクス様は黙って私が泣き止むまで抱き締め続けてくれた。
「お嬢様!?お嬢様、どうされたのですか、お嬢様!?」
「…ルナさん!俺はお嬢様をベッドに運んで治癒魔法を掛けておくから、急いで医者と旦那様と奥様を呼んできて!はやく!」
「は、はい!エド、お嬢様をお願いします!」
「任せて!これでも回復魔法は得意なんだ!」
エドが私に回復魔法を掛けてくれる。けれど、回復したそばからすぐにまた原因不明の体調不良が私を襲う。また回復魔法を掛けて、また具合が悪くなって。その繰り返し。いたちごっこの状態だった。
「エド!お嬢様の主治医を連れてきました!旦那様と奥様もいます!」
「ありがとう!ルナさん!お医者様、ミレイ様は回復魔法を掛けても、回復したその瞬間に体調が悪くなるんだ!普通じゃない!」
「ミレイユ、大丈夫か!?」
「ミレイユ、今助けてもらいましょうね。大丈夫、大丈夫よ」
お父様が手を握って励ましてくれる。お母様が頭を撫でて宥めてくれる。
「これは…普通の病気じゃない。おそらく呪いだ」
お医者様が呪いだと言った。
「呪い!?誰がそんな…」
「まさか…マノン、あの子!?」
「旦那様、奥様、今はそんなことよりお嬢様です!私とこの護衛君で回復魔法を掛け続けますので、聖職者を呼んできてください!」
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「…その必要はないよ」
そこには、いつの間にかフェリクス様が居た。
「フェリクス様!?」
「婚約指輪が光ったから、ミレイに何かあったってすぐにわかってね。転移魔法で来ちゃった。…さて、呪いを掛けた人物が分かっているなら、呪詛返しを発動するには十分だ。義父上、義母上。ミレイを助けるなら、代わりにこの呪いよりもっと強烈な呪詛返しがマノンに降りかかります。それでも、僕にミレイを助けさせてくれますか?」
「…っ!」
「あなた…」
「いや、分かってる…悩んでいる暇はない…お願い致します、フェリクス様。ミレイユを助けてください」
「分かりました。では」
フェリクス様が私の頭をそっと撫でる。
「ミレイ、目をつぶって。…温かな命の温度。安らぎはここに。君の苦痛は、夢のように消えるだろう。さあ、深呼吸をして。吸って…吐いて…。魔力は巡り、僕の魔力が君を満たす…さあ、目を開けて。…これでもう、大丈夫だよ」
フェリクス様の魔力で私の身体は満たされて、いつの間にかあれだけ辛かったのが楽になっていた。
「フェリクス様…私…」
フェリクス様にきつく抱きしめられる。
「よかった…間に合って本当に良かった…っ!」
「フェリクス様…」
更にお父様とお母様にまで抱き締められる。
「ミレイユ、良かった!もう大丈夫だぞ!」
「ああ、本当に良かった!ありがとうございます…フェリクス様、お医者様、エド、ルナ、本当にありがとうございました!」
「いえ、私は人を呼ぶしか出来ませんでしたから」
「俺の回復魔法がミレイ様のお役に立てたなら、よかったよ」
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「フェリクス様…いいんです。助けに来てくれてありがとうございました。とっても嬉しくて、心強かったです。フェリクス様が来てくれて、本当に良かった」
「ミレイ…君を助けられて本当に良かった」
フェリクス様は身体を離すと私の頭を撫でる。とても安心して私は、なんだか泣けてきた。その時初めてわかった。ああ、私はこんなに怖かったんだなと。なんで今の今まで自覚がなかったのかわからないけれど、怖かったんだとわかると涙が止まらなくて。フェリクス様に泣きついて、わんわん泣いた。フェリクス様は黙って私が泣き止むまで抱き締め続けてくれた。
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