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愛おしいあの子が帰ってきた

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私はルーファス。ルーファス・エメ・アルベール。小さな村の神父をしています。貴族の次男でしたが、成人後教会に出家しました。そして、権力争いに巻き込まれてこの小さな村に追いやられたのです。

しかし、ここでの生活はむしろ天国でした。可愛い子供達、敬虔なシスター。村の方々も勤勉で優しく、権力争いに疲れた心を優しく癒してくれました。

子供達はみんな可愛い。けれど、特にミレイという女の子は私にとって特別でした。明るく優しく、誰よりも人を大切に出来る子。天使のようなその少女は、厳しい孤児院の経営を遣り繰りする中での希望そのものでした。一生懸命に働いて、貰ったお小遣いを必至に孤児院の経営のためにと私達に預けてくれる。そんな彼女がいたから、私もシスター達も今まで耐えられた。それなのに、運命はなんと残酷なのでしょうか。

ミレイは、馬車に轢かれて神の国へ旅立ってしまったのです。

馬車に乗っていた侍女は、この子供が突然馬車に突っ込んできたのだと言いました。しかし、ミレイが理由もなくそんなことをするはずがありません。

私は抗議しましたが、侍女にお金を握らさられて孤児院の他の子供達のためを思うなら引き下がれと脅され…それに屈しました。

孤児院の子供達は、ミレイの死にショックを受けて皆塞ぎがちになりました。シスター達も元気がありません。私自身も…ショックを隠しきれずにいました。

時間が少しずつ私達を癒してくれるのを、待つしか無かった。そんな中、ある日あのミレイを轢いた馬車に乗っていた侍女と、マルセル公爵家の姫君が突如現れました。そして、私達に深々と頭を下げます。ミレイが猫を庇ったのだと教えてくれて、孤児院に出資もしてくれました。…そして、こう言いました。

「ライトはテオと仲直りできましたか?…照れ隠しに暴言を吐いていて、心配だったんです」

私は一瞬何を言われたのかわかりませんでした。

「神父様、教えてください」

にっこりと笑うその笑顔は、見た目こそ違えども…ミレイそのものでした。

神よ、神よ!ありがとうございます、主に感謝します!

何がどうなってそうなったのかはわからない。けれど、『ミレイは生きている』。ならば、それだけで十分です。多分、言いふらしていいことではないから、シスターや子供達、村の方々には教えられないけれど。ミレイの仇と認識される以上もう仲良く過ごすことは難しくても。それでも、私は幸福なのです。

主よ。心の底から感謝を捧げます。
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