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妖精王様は嫉妬深い
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「ねえ、もういい加減あんな人間見捨てたら?救いようないでしょ」
「妖精王様。それでも私は彼を救いたいのです」
「君に一方的な婚約破棄を突きつけた男だよ?」
「そんなバカな人でも。それでも助けたいのです」
自らの求婚をいつまでも断り、前の男を助けようとばかりする。そんな愛し子セレスティアの真っ直ぐな瞳に、妖精王であるファランは呆れ果てる。
「君の男の趣味がわからない。なんで僕よりあんな男を選ぶの」
「幼少期に病弱であった私のために、手に入れるのも苦労する薬草を取ってきたのは彼なのです」
「…ふぅん」
「そんな彼を見捨てられません」
「…つまり、恩義に報いたいと?恋愛感情ではないの?」
ファランの探るような目に、少したじろぐものの素直にうなずくセレスティア。
「はい。彼のおかげで、この歳まで生きられたのです。感謝しているのです」
「なるほどねぇ。救いたいって、具体的には?」
「えっと…彼は婚約破棄を勝手に宣言したことで勘当されて、平民の愛人さんにも捨てられて独りぼっちです。お友達にも見捨てられたそうです。せめて、独りぼっちでも生きていけるように生活基盤を固めてあげたいです」
「…甘いなぁ。優しすぎるよ、セレスティア。でも、だからこそ僕は君に惹かれるんだろうね。…いいよ、わかった。なら、僕がなんとかしてあげよう」
セレスティアはそのファランの言葉に瞳を輝かせた。
「本当ですか!?」
「うん、可愛い君のためだからね」
「ありがとうございます、妖精王様!」
「そのかわり」
ファランは跪いてセレスティアの左手を取り、その手の甲にキスをする。
「…僕の求婚を、受け入れてはいただけませんか。我が魂の主人よ」
「…っ」
魂の主人。唯一真実の愛を誓う者にのみ使う名称。セレスティアは、正直怯んだ。受け入れて仕舞えば、永遠に手放してはもらえないだろう。それこそ、死後も。
けれど。
「…わかりました、妖精王様。貴方が私の魂の主人です」
「本当に?…ありがとう、嬉しいよ」
「そのかわり…」
「わかってる。彼のことは、僕に任せて?妖精王の名にかけて、彼の生活を安定させてあげよう」
その言葉に安心したように笑うセレスティア。ファランは、やはりあの男への嫉妬は消えないが約束は約束だと動き出した。
「約束を守ってくださってありがとうございます、妖精王様」
「なに。ギャンブルで一山当てさせるなんて僕達妖精に掛かればお茶の子さいさいさ!」
セレスティアの元婚約者は、ギャンブルで一山当てた。成金として一気に注目され、今では貴族であった頃より贅沢をしている。
「…一度ギャンブルで稼いだ男がもしもまたギャンブルに手を出したらどうなるかなんて、僕にはわからないけどね」
「え?」
「ああいや、なんでもないよ。気にしないで」
一度は助けてやったのだ。その後どうなろうが、僕と妻となる魂の主人には関係ない。ファランはそう考えている。
セレスティアは、目の前の男の嫉妬深さを理解しきれていなかった。
だが、その分愛情深い男だ。セレスティアはそばから離れようとしない限りは、幸せで在り続けられるだろう。
「妖精王様。それでも私は彼を救いたいのです」
「君に一方的な婚約破棄を突きつけた男だよ?」
「そんなバカな人でも。それでも助けたいのです」
自らの求婚をいつまでも断り、前の男を助けようとばかりする。そんな愛し子セレスティアの真っ直ぐな瞳に、妖精王であるファランは呆れ果てる。
「君の男の趣味がわからない。なんで僕よりあんな男を選ぶの」
「幼少期に病弱であった私のために、手に入れるのも苦労する薬草を取ってきたのは彼なのです」
「…ふぅん」
「そんな彼を見捨てられません」
「…つまり、恩義に報いたいと?恋愛感情ではないの?」
ファランの探るような目に、少したじろぐものの素直にうなずくセレスティア。
「はい。彼のおかげで、この歳まで生きられたのです。感謝しているのです」
「なるほどねぇ。救いたいって、具体的には?」
「えっと…彼は婚約破棄を勝手に宣言したことで勘当されて、平民の愛人さんにも捨てられて独りぼっちです。お友達にも見捨てられたそうです。せめて、独りぼっちでも生きていけるように生活基盤を固めてあげたいです」
「…甘いなぁ。優しすぎるよ、セレスティア。でも、だからこそ僕は君に惹かれるんだろうね。…いいよ、わかった。なら、僕がなんとかしてあげよう」
セレスティアはそのファランの言葉に瞳を輝かせた。
「本当ですか!?」
「うん、可愛い君のためだからね」
「ありがとうございます、妖精王様!」
「そのかわり」
ファランは跪いてセレスティアの左手を取り、その手の甲にキスをする。
「…僕の求婚を、受け入れてはいただけませんか。我が魂の主人よ」
「…っ」
魂の主人。唯一真実の愛を誓う者にのみ使う名称。セレスティアは、正直怯んだ。受け入れて仕舞えば、永遠に手放してはもらえないだろう。それこそ、死後も。
けれど。
「…わかりました、妖精王様。貴方が私の魂の主人です」
「本当に?…ありがとう、嬉しいよ」
「そのかわり…」
「わかってる。彼のことは、僕に任せて?妖精王の名にかけて、彼の生活を安定させてあげよう」
その言葉に安心したように笑うセレスティア。ファランは、やはりあの男への嫉妬は消えないが約束は約束だと動き出した。
「約束を守ってくださってありがとうございます、妖精王様」
「なに。ギャンブルで一山当てさせるなんて僕達妖精に掛かればお茶の子さいさいさ!」
セレスティアの元婚約者は、ギャンブルで一山当てた。成金として一気に注目され、今では貴族であった頃より贅沢をしている。
「…一度ギャンブルで稼いだ男がもしもまたギャンブルに手を出したらどうなるかなんて、僕にはわからないけどね」
「え?」
「ああいや、なんでもないよ。気にしないで」
一度は助けてやったのだ。その後どうなろうが、僕と妻となる魂の主人には関係ない。ファランはそう考えている。
セレスティアは、目の前の男の嫉妬深さを理解しきれていなかった。
だが、その分愛情深い男だ。セレスティアはそばから離れようとしない限りは、幸せで在り続けられるだろう。
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