18 / 97
一緒にお昼寝
しおりを挟む
「早く早く!」
「はい、第三王子殿下」
第三王子殿下の許可のもと、第三王子殿下とお昼寝をすることになった。
…いや、本来ならダメだと思うんだけど。
ただ、人の温もりが恋しいのだろう第三王子殿下のことを考えるとやっぱり断れないよね。うん。
「アンナ、もうちょっとこっちに寄って」
「はい、これでどうでしょう?」
「ぎゅってして」
「はい、ぎゅー」
第三王子殿下を優しく包み込むように抱きしめる。母の温もりを感じたいのだろう、ぎゅうぎゅう抱きついてくるので第三王子殿下の背中と頭を撫でる。
「大丈夫ですよ、第三王子殿下。もう、寂しい思いなんてさせませんからね」
「うん、約束」
「はい、約束です」
そうしているうちに、第三王子殿下はウトウトしだしたのでそのまま眠れるように背中をトントンする。気付いたら第三王子殿下は寝ていた。
「よいしょっと」
そっと第三王子殿下から離れてベッドから降りる。
さすがに、ずっとあの体勢で寝てるとあらぬ誤解が生まれそうなので、これは許して欲しい。
…ただ、私のお仕事はお世話係。第三王子殿下が寝ている間は、何をしていればいいだろう?
「…見守りかな」
結論。第三王子殿下の見守り。第三王子殿下の部屋の椅子を一つ拝借して、ベッドの脇に置いてその上に座る。でも、なんだか朝早く起きたからか少し眠い。そして、ほんのちょっとだけと思ってそのまま目を閉じる。
そんなつもりはなかったのに、すっと意識が落ちた。
「んん…ん!?」
はっと目が覚めた。仕事中に寝てしまったのかと肝が冷える。ベッドを見れば、まだすやすやと眠っている第三王子殿下。まだ主人が目覚める前に目覚められたのは、それは良いのだが。
「…だ、第二王子殿下」
何故かそこに第二王子殿下までいた。
「あ、兄上からお前のことは聞いてる。弟が世話になるな。楽にしていいぜ」
「は、はい」
「いやぁ、俺の弟ってこんな可愛い顔してるのな」
「将来はイケメン確定ですね」
「だよな?」
二人で顔を見合わせて頷いた。
「俺さ、昨日お前と弟を見かけたんだ。でも声をかける勇気がなかった。俺は弟一人守れない腰抜けだからな」
「いや、そ、そんな…」
「…でも、兄上が今日二人と話したっていうから居ても立っても居られない気分になって」
「そうでしたか…」
「弟は、お前に対して非常に懐いていると聞く。これからもよろしく頼むぜ」
そういう第二王子殿下は真剣で。
「第三王子殿下の健康の為、全力で頑張ります」
「はは、頼もしいお嬢さんだ」
そんな中、やっと目を覚ました第三王子殿下。
「んん…アンナ…」
「はい、第三王子殿下」
「…椅子?」
「はい、いつまでもあのまま寝るのは流石にちょっと…」
私を見つけてジト目で見てくる第三王子殿下だが、多少は許して欲しい。添い寝なんてして怒られるのは私なのだ。
「あれ、お兄さんは…」
「俺はラファエル。お前の二番目の兄だ」
「ラファエルお兄様…?」
「おう」
第二王子殿下は第三王子殿下の頭を撫でる。第三王子殿下はなすがままだ。
「悪いな、弟よ。無力な兄を許してくれ」
「?」
「お前の置かれている境遇を知りながら、何もしてやれない。俺は自分が恥ずかしい」
そう言った第二王子殿下に対して、第三王子殿下は頭を優しく撫でた。
「え」
「大丈夫。僕、アンナと一緒に居られるとそれだけで幸せなんだ。それに、こうしてお兄様に会えて嬉しい」
「サミュエル、お前は良い子だなぁ…」
私が思ったより複雑な家庭環境のようだけど、兄弟で会って話せて良かった…のかな?
第三王子殿下がこれからもっともっと幸せになるために、第一王子殿下や第二王子殿下とも仲良くなってくれたら嬉しいな。
「はい、第三王子殿下」
第三王子殿下の許可のもと、第三王子殿下とお昼寝をすることになった。
…いや、本来ならダメだと思うんだけど。
ただ、人の温もりが恋しいのだろう第三王子殿下のことを考えるとやっぱり断れないよね。うん。
「アンナ、もうちょっとこっちに寄って」
「はい、これでどうでしょう?」
「ぎゅってして」
「はい、ぎゅー」
第三王子殿下を優しく包み込むように抱きしめる。母の温もりを感じたいのだろう、ぎゅうぎゅう抱きついてくるので第三王子殿下の背中と頭を撫でる。
「大丈夫ですよ、第三王子殿下。もう、寂しい思いなんてさせませんからね」
「うん、約束」
「はい、約束です」
そうしているうちに、第三王子殿下はウトウトしだしたのでそのまま眠れるように背中をトントンする。気付いたら第三王子殿下は寝ていた。
「よいしょっと」
そっと第三王子殿下から離れてベッドから降りる。
さすがに、ずっとあの体勢で寝てるとあらぬ誤解が生まれそうなので、これは許して欲しい。
…ただ、私のお仕事はお世話係。第三王子殿下が寝ている間は、何をしていればいいだろう?
「…見守りかな」
結論。第三王子殿下の見守り。第三王子殿下の部屋の椅子を一つ拝借して、ベッドの脇に置いてその上に座る。でも、なんだか朝早く起きたからか少し眠い。そして、ほんのちょっとだけと思ってそのまま目を閉じる。
そんなつもりはなかったのに、すっと意識が落ちた。
「んん…ん!?」
はっと目が覚めた。仕事中に寝てしまったのかと肝が冷える。ベッドを見れば、まだすやすやと眠っている第三王子殿下。まだ主人が目覚める前に目覚められたのは、それは良いのだが。
「…だ、第二王子殿下」
何故かそこに第二王子殿下までいた。
「あ、兄上からお前のことは聞いてる。弟が世話になるな。楽にしていいぜ」
「は、はい」
「いやぁ、俺の弟ってこんな可愛い顔してるのな」
「将来はイケメン確定ですね」
「だよな?」
二人で顔を見合わせて頷いた。
「俺さ、昨日お前と弟を見かけたんだ。でも声をかける勇気がなかった。俺は弟一人守れない腰抜けだからな」
「いや、そ、そんな…」
「…でも、兄上が今日二人と話したっていうから居ても立っても居られない気分になって」
「そうでしたか…」
「弟は、お前に対して非常に懐いていると聞く。これからもよろしく頼むぜ」
そういう第二王子殿下は真剣で。
「第三王子殿下の健康の為、全力で頑張ります」
「はは、頼もしいお嬢さんだ」
そんな中、やっと目を覚ました第三王子殿下。
「んん…アンナ…」
「はい、第三王子殿下」
「…椅子?」
「はい、いつまでもあのまま寝るのは流石にちょっと…」
私を見つけてジト目で見てくる第三王子殿下だが、多少は許して欲しい。添い寝なんてして怒られるのは私なのだ。
「あれ、お兄さんは…」
「俺はラファエル。お前の二番目の兄だ」
「ラファエルお兄様…?」
「おう」
第二王子殿下は第三王子殿下の頭を撫でる。第三王子殿下はなすがままだ。
「悪いな、弟よ。無力な兄を許してくれ」
「?」
「お前の置かれている境遇を知りながら、何もしてやれない。俺は自分が恥ずかしい」
そう言った第二王子殿下に対して、第三王子殿下は頭を優しく撫でた。
「え」
「大丈夫。僕、アンナと一緒に居られるとそれだけで幸せなんだ。それに、こうしてお兄様に会えて嬉しい」
「サミュエル、お前は良い子だなぁ…」
私が思ったより複雑な家庭環境のようだけど、兄弟で会って話せて良かった…のかな?
第三王子殿下がこれからもっともっと幸せになるために、第一王子殿下や第二王子殿下とも仲良くなってくれたら嬉しいな。
63
お気に入りに追加
2,784
あなたにおすすめの小説
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
死を願われた薄幸ハリボテ令嬢は逆行して溺愛される
葵 遥菜
恋愛
「死んでくれればいいのに」
十七歳になる年。リリアーヌ・ジェセニアは大好きだった婚約者クラウス・ベリサリオ公爵令息にそう言われて見捨てられた。そうしてたぶん一度目の人生を終えた。
だから、二度目のチャンスを与えられたと気づいた時、リリアーヌが真っ先に考えたのはクラウスのことだった。
今度こそ必ず、彼のことは好きにならない。
そして必ず病気に打ち勝つ方法を見つけ、愛し愛される存在を見つけて幸せに寿命をまっとうするのだ。二度と『死んでくれればいいのに』なんて言われない人生を歩むために。
突如として始まったやり直しの人生は、何もかもが順調だった。しかし、予定よりも早く死に向かう兆候が現れ始めてーー。
リリアーヌは死の運命から逃れることができるのか? そして愛し愛される人と結ばれることはできるのか?
そもそも、一体なぜ彼女は時を遡り、人生をやり直すことができたのだろうかーー?
わけあって薄幸のハリボテ令嬢となったリリアーヌが、逆行して幸せになるまでの物語です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる