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一緒にお昼寝

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「早く早く!」

「はい、第三王子殿下」

第三王子殿下の許可のもと、第三王子殿下とお昼寝をすることになった。

…いや、本来ならダメだと思うんだけど。

ただ、人の温もりが恋しいのだろう第三王子殿下のことを考えるとやっぱり断れないよね。うん。

「アンナ、もうちょっとこっちに寄って」

「はい、これでどうでしょう?」

「ぎゅってして」

「はい、ぎゅー」

第三王子殿下を優しく包み込むように抱きしめる。母の温もりを感じたいのだろう、ぎゅうぎゅう抱きついてくるので第三王子殿下の背中と頭を撫でる。

「大丈夫ですよ、第三王子殿下。もう、寂しい思いなんてさせませんからね」

「うん、約束」

「はい、約束です」

そうしているうちに、第三王子殿下はウトウトしだしたのでそのまま眠れるように背中をトントンする。気付いたら第三王子殿下は寝ていた。

「よいしょっと」

そっと第三王子殿下から離れてベッドから降りる。

さすがに、ずっとあの体勢で寝てるとあらぬ誤解が生まれそうなので、これは許して欲しい。

…ただ、私のお仕事はお世話係。第三王子殿下が寝ている間は、何をしていればいいだろう?

「…見守りかな」

結論。第三王子殿下の見守り。第三王子殿下の部屋の椅子を一つ拝借して、ベッドの脇に置いてその上に座る。でも、なんだか朝早く起きたからか少し眠い。そして、ほんのちょっとだけと思ってそのまま目を閉じる。

そんなつもりはなかったのに、すっと意識が落ちた。

「んん…ん!?」

はっと目が覚めた。仕事中に寝てしまったのかと肝が冷える。ベッドを見れば、まだすやすやと眠っている第三王子殿下。まだ主人が目覚める前に目覚められたのは、それは良いのだが。

「…だ、第二王子殿下」

何故かそこに第二王子殿下までいた。

「あ、兄上からお前のことは聞いてる。弟が世話になるな。楽にしていいぜ」

「は、はい」

「いやぁ、俺の弟ってこんな可愛い顔してるのな」

「将来はイケメン確定ですね」

「だよな?」

二人で顔を見合わせて頷いた。

「俺さ、昨日お前と弟を見かけたんだ。でも声をかける勇気がなかった。俺は弟一人守れない腰抜けだからな」

「いや、そ、そんな…」

「…でも、兄上が今日二人と話したっていうから居ても立っても居られない気分になって」

「そうでしたか…」

「弟は、お前に対して非常に懐いていると聞く。これからもよろしく頼むぜ」

そういう第二王子殿下は真剣で。

「第三王子殿下の健康の為、全力で頑張ります」

「はは、頼もしいお嬢さんだ」

そんな中、やっと目を覚ました第三王子殿下。

「んん…アンナ…」

「はい、第三王子殿下」

「…椅子?」

「はい、いつまでもあのまま寝るのは流石にちょっと…」

私を見つけてジト目で見てくる第三王子殿下だが、多少は許して欲しい。添い寝なんてして怒られるのは私なのだ。

「あれ、お兄さんは…」

「俺はラファエル。お前の二番目の兄だ」

「ラファエルお兄様…?」

「おう」

第二王子殿下は第三王子殿下の頭を撫でる。第三王子殿下はなすがままだ。

「悪いな、弟よ。無力な兄を許してくれ」

「?」

「お前の置かれている境遇を知りながら、何もしてやれない。俺は自分が恥ずかしい」

そう言った第二王子殿下に対して、第三王子殿下は頭を優しく撫でた。

「え」

「大丈夫。僕、アンナと一緒に居られるとそれだけで幸せなんだ。それに、こうしてお兄様に会えて嬉しい」

「サミュエル、お前は良い子だなぁ…」

私が思ったより複雑な家庭環境のようだけど、兄弟で会って話せて良かった…のかな?

第三王子殿下がこれからもっともっと幸せになるために、第一王子殿下や第二王子殿下とも仲良くなってくれたら嬉しいな。
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