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私のしたことの罪と罰

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あの後。

キューケンとかいう女を怪我させたからだろう。

我が子爵家は突然、色々な家と縁を切られた。

貴族社会においてそれはあまりにも致命的で。

パラディース教がどれほど我が国の貴族社会に浸透してきているのか思い知らされると同時に、それを敵に回したのだと再確認させられた。

「なんてことしたの!この親不孝者!」

「お前のせいで我が子爵家は終わりだ!」

身体が弱かった私。

溺愛してくれた両親は、最後の希望としてゴッドリープ様に縋った。

ゴッドリープ様は不思議なお力で私を癒した。

それ以降私は健康になった。

だが、今はどうだろう。

「ごほっ、ごほっ…ごめんなさい、お父様、お母様…」

「お前なんて産まなければよかった!」

「お前さえいなければよかった!」

私を愛して、私のためにゴッドリープ様に縋った両親は。

ゴッドリープ様に刃向かった私を詰り蔑み要らない子だと糾弾する。

ゴッドリープ様に癒していただき健康になった私は。

身体がどんどん弱り、いつ死んでもおかしくない。

心細いのに、もう両親は私の手を握ってはくれない。

「…せめて、苦しまずに逝きたい」

その願いが叶うことはなく、私はやがて血を吐くようになった。

血交じりの痰を伴う咳はとても苦しい。

まるで、私のしたことを責め立てるかのよう。

身体もろくに動かせず、ただベッドの上で丸まってやり過ごすだけ。

ここまで来るとさすがに、両親は枕元で私を責めることはなくなった。

「…けれど、会いに来てはくれない」

ぽつりと溢れた独り言は、声がかすれた酷いもの。

両親は、今お上に掛け合って爵位と領地を返上する手続きをしている。

ボディーガードを雇いつつ、私財の一部を投資に当ててなんとか今後のやり繰りを模索しているらしい。

そして、それがうまく行けば私に出来るだけ良い治療を受けさせると言ってくれた。

けれどそれまでは、落ち着くまでは両親は忙しいから。

「あえない…」

会ってはくれない。

手を握ってはくれない。

わかっている、全部自業自得だ。

両親はなにも悪いことをしていないのに私に巻き込まれた。

それなのに結局は見捨てないで、酷いことを言ってごめんねと言ってまた助けようとしてくれている。

「ごめんなさい」

巻き込んでごめんなさい。

辛い思いをさせてごめんなさい。

それなのに寂しいと思ってごめんなさい。

会いたいと思ってごめんなさい。

手を繋いで欲しいと思ってごめんなさい。

「まだ、しにたくない…」

せめて、もう一度。

両親に抱きしめられてから死にたい。

本当に、ごめんなさい。

ゴッドリープ様の大切な女の子を傷つけてごめんなさい。

身勝手なことを思って、やらかしたこと全部…ごめんなさい。

「…?」

心の中で、ただひたすらに謝罪していたら。

なにか、尻尾見たいなものがちらっと見えて。

意識が暗転した。
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