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心臓が止まるかと思った

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教徒たちの相手を終え、さあキューの待つ部屋に行こうとしたその時。

教徒たちの話を聞いてやるための部屋に、キューのお目付役を任せたはずの教徒が駆け込んできた。

その近くにキューの姿はなく、当の本人は余程焦った様子で。

一瞬でキューに何か良くないことが起こったとわかったのに。

脳味噌がそれを受け入れるのを拒んだ。

「…どうしたんだい、そんなに慌てて?キューはどうしたのかな」

「…っ、申し訳ありません!キュー様がっ…ふ、不測の事態が起こりましてっ」

その言葉でようやく、本当にキューの身に何かが起きたと受け入れる。

何かとは一体何があったのか、なんてどうでもいい。

ただ、キューに良くないことが起こったという事実だけで胸がキュッとなった。

本気で、心臓が止まったかと思った。

かと思えば、次の瞬間にはドクドクと嫌な音を立てて。

「…っ!」

声にならない声を上げて、とにかく走り出した。

向かう先はキューの部屋。

おそらくそこにいるはずだから。

もう、いつもの側仕えの教徒やキューのお目付役の教徒の声なんて聞こえない。

早くキューの姿を見たくて、生きているかだけでも確認したくて。

「キュー!」

「…兄様?」

血相を変えて飛び込んだ先。

キューの部屋で見たものは。

部屋でぐったりしているキューの姿。

生きていたと安心するより先に、こんなにぐったりするなんてなにがあったのかと焦り。

いきなりのオレの登場と動転したオレの様子に、目を白黒させるキューのことを安心させる余裕はなかった。

「キュー、ああ可哀想に!どうしたんだい?何があったの!?」

「えっと、兄様落ち着いて。深呼吸して」

「今はそんな場合じゃっ…」

焦るオレにキューはぐったりしていた身体を、おそらくは無理矢理に起こしてぎゅっとしがみついてきた。

「キュー…?」

「お願い、兄様。深呼吸して。このままじゃ兄様が先に倒れる」

キューの不安げな様子に、少しだけ冷静さを取り戻す。

そうだ、オレがこの子を守らねば。

ここで倒れては元も子もない。

「…すーっ、…はーっ」

「上手、もう一回」

「…すーっ、…はーっ」

「最後にもう一回」

「…すーっ、…はーっ」

キューの導きによって落ち着きを取り戻す。

妹にかっこ悪いところを見せてしまった。

取り敢えず、謝らないと。

「ごめんね、キュー。取り乱した」

「ううん、大丈夫」

「兄様ももう大丈夫だから、もう一度横になろうね」

その身体をそっと横たえる。

可哀想に、その身体はまだぐったりとしている。
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