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聖女認定式です!
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ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。今日はルリジオンという聖皇国に来ています。各国の王女が集められ、聖女認定式を行うのです。聖女認定式とはそのものずばり、聖女の資格がある王女を調べて定める儀式です。聖女とは、百年に一度、闇の沼地を浄化出来る能力を授かる王女のことを指します。大体百年に一度なのでこの周期に合わせて聖女認定式は行われますが、稀に少し早めに聖女の力を発現する王女もいるそうです。
まさか私が聖女ってことはないと思うので、規模は小さい代わりに高度な文化を有するきらきらした聖皇国を楽しんで行こうと思います!
「リンネ?緊張してるのか?」
「ううん。ティラン兄様は私が聖女だと思う?」
「…」
「ほらね、だから緊張なんてしてないよ!」
「…ターブルロンドのご子息。言ってやるべきか?」
「ノブルです。…国王陛下が言うべきだとお考えなら、そうされた方がよろしいかと」
?
なんの話?
「…王女殿下」
「なあに?フォルス」
「もし王女殿下が聖女様なら、俺は何があっても闇の沼地の浄化に付き従います」
「え?」
フォルスは真剣な表情です。
「…わかった。無いと思うけど、その時はよろしくね」
フォルスは私の言葉に、珍しく嬉しそうにはにかみます。
「あ、じゃあ俺も付いてくよ!魔力持ちだし役に立つよ!」
レーグルもすっかりその気のようです。
「ふふ。じゃあレーグルもよろしくね」
「任せてよ!」
「皆様、抜け駆けなさらないでくださいませ!王女殿下、もちろん私も連れて行ってくださいますよね!?」
ミレアさんは私の手を両手で包み至近距離でそう言ってくれる。
「あはは、もちろん!みんなで行けば怖くないね!」
「おや、そのみんなに僕は入っているのかな?」
「ヴァイス様!ヴァイス様も来てくれるなら百人力です!」
「ふふ、そう。リンネにそう言って貰えると嬉しいな」
「…っ!」
何故かレーグルは悔しそうな表情をしています。宮廷魔術師なのに、魔力でヴァイス様に勝てないのが悔しいのでしょうか?
「リンネ様。ぜひ私も連れて行ってください」
「ふふ、ノブル君も来てくれるの?嬉しいな。じゃあ、無いと思うけどもし聖女に選ばれたらみんなよろしくね」
「はい」
「もちろん。任せてよ」
「私もお役に立てるように頑張りますわ!」
「リンネと世界を巡れるなんて、楽しみだな」
「国を離れられない国王陛下の分まで、お守りします」
「…ふん。ターブルロンドのご子息も言うようになったな」
みんなでわいわいとお話していると、いよいよ聖女認定式が始まります。壇上で、認定式用の魔力のこもった水晶が台座におかれ、各国の王女がそれに手をかざしていきます。みんな手をかざしては肩を落としています。私は最初から聖女になんて選ばれるはずがないと高を括っていたのですが…。
「…え」
私が手をかざすと、水晶がきらきらと優しい光を放って輝きます。え、嘘。
「おめでとうございます、リンネアル・サント・エルドラド王女殿下。貴女が今代の聖女だとここに認定されました」
会場は拍手喝采。私は頭真っ白。
「黄金郷の百合姫の称号だけでなく、聖女にまでなってしまわれるとは!」
「素晴らしい!」
いやいや。いやいやいや。
「私が聖女…ですか?不具合とか間違いとかではなく?」
「はい、間違いありません」
…。
「さあ、聖女としてのお言葉を皆に」
やばい、選ばれると思ってなかったから考えてなかった。
「…えっと。が、頑張ってみんなと協力して、闇の沼地を浄化出来るよう努力しますのでよろしくお願いします…?」
こ、こんなスピーチでいいんでしょうか?
「…聖女様万歳!」
「万歳!」
うわぁあああ!ごめんなさい!私が選ばれてごめんなさい!
「…では、早速ですが明日から聖女としての初のお仕事、イストワールの闇の沼地の浄化をよろしくお願いします」
儀式を取り仕切っていたルリジオンの教皇様が早速最初のお仕事を伝えてくれます。
「…っ!が、頑張ります!」
うわぁ、本当に聖女に選ばれちゃったんだ。みんなの注目を集めて壇上から降ります。これからどうしよう、本当に私に闇の沼地を浄化する力があるのかな?出来るのかな?
「王女殿下、聖女認定おめでとうございます!」
「リンネ、君やっぱりすごいよ!」
ミレアさんとレーグルは自分のことのように喜んでくれます。
「リンネ。大丈夫だよ、僕がついているからね」
ヴァイス様はいち早く私の不安を察して励ましてくれます。
「王女殿下、俺、頑張りますから。絶対に王女殿下を危険には晒しません」
フォルスは私を守ると改めて誓ってくれます。
「リンネ様、私も魔力供給など出来る限りのサポートをさせていただきます。どうか、リンネ様は胸を張って聖女としての勤めを果たしてください」
ノブル君も激励してくれます。
「リンネ」
「ティラン兄様!」
「…あまり、無理はするなよ」
心配してくれるティラン兄様。…うん、みんながいるんだし、大丈夫だよね!
「…うん、頑張る!」
私の頭を撫でてくれるティラン兄様。その後そのまま聖女認定のお祝いパーティーになり、みんなの期待を一身に受けて一日を終えました。
まさか私が聖女ってことはないと思うので、規模は小さい代わりに高度な文化を有するきらきらした聖皇国を楽しんで行こうと思います!
「リンネ?緊張してるのか?」
「ううん。ティラン兄様は私が聖女だと思う?」
「…」
「ほらね、だから緊張なんてしてないよ!」
「…ターブルロンドのご子息。言ってやるべきか?」
「ノブルです。…国王陛下が言うべきだとお考えなら、そうされた方がよろしいかと」
?
なんの話?
「…王女殿下」
「なあに?フォルス」
「もし王女殿下が聖女様なら、俺は何があっても闇の沼地の浄化に付き従います」
「え?」
フォルスは真剣な表情です。
「…わかった。無いと思うけど、その時はよろしくね」
フォルスは私の言葉に、珍しく嬉しそうにはにかみます。
「あ、じゃあ俺も付いてくよ!魔力持ちだし役に立つよ!」
レーグルもすっかりその気のようです。
「ふふ。じゃあレーグルもよろしくね」
「任せてよ!」
「皆様、抜け駆けなさらないでくださいませ!王女殿下、もちろん私も連れて行ってくださいますよね!?」
ミレアさんは私の手を両手で包み至近距離でそう言ってくれる。
「あはは、もちろん!みんなで行けば怖くないね!」
「おや、そのみんなに僕は入っているのかな?」
「ヴァイス様!ヴァイス様も来てくれるなら百人力です!」
「ふふ、そう。リンネにそう言って貰えると嬉しいな」
「…っ!」
何故かレーグルは悔しそうな表情をしています。宮廷魔術師なのに、魔力でヴァイス様に勝てないのが悔しいのでしょうか?
「リンネ様。ぜひ私も連れて行ってください」
「ふふ、ノブル君も来てくれるの?嬉しいな。じゃあ、無いと思うけどもし聖女に選ばれたらみんなよろしくね」
「はい」
「もちろん。任せてよ」
「私もお役に立てるように頑張りますわ!」
「リンネと世界を巡れるなんて、楽しみだな」
「国を離れられない国王陛下の分まで、お守りします」
「…ふん。ターブルロンドのご子息も言うようになったな」
みんなでわいわいとお話していると、いよいよ聖女認定式が始まります。壇上で、認定式用の魔力のこもった水晶が台座におかれ、各国の王女がそれに手をかざしていきます。みんな手をかざしては肩を落としています。私は最初から聖女になんて選ばれるはずがないと高を括っていたのですが…。
「…え」
私が手をかざすと、水晶がきらきらと優しい光を放って輝きます。え、嘘。
「おめでとうございます、リンネアル・サント・エルドラド王女殿下。貴女が今代の聖女だとここに認定されました」
会場は拍手喝采。私は頭真っ白。
「黄金郷の百合姫の称号だけでなく、聖女にまでなってしまわれるとは!」
「素晴らしい!」
いやいや。いやいやいや。
「私が聖女…ですか?不具合とか間違いとかではなく?」
「はい、間違いありません」
…。
「さあ、聖女としてのお言葉を皆に」
やばい、選ばれると思ってなかったから考えてなかった。
「…えっと。が、頑張ってみんなと協力して、闇の沼地を浄化出来るよう努力しますのでよろしくお願いします…?」
こ、こんなスピーチでいいんでしょうか?
「…聖女様万歳!」
「万歳!」
うわぁあああ!ごめんなさい!私が選ばれてごめんなさい!
「…では、早速ですが明日から聖女としての初のお仕事、イストワールの闇の沼地の浄化をよろしくお願いします」
儀式を取り仕切っていたルリジオンの教皇様が早速最初のお仕事を伝えてくれます。
「…っ!が、頑張ります!」
うわぁ、本当に聖女に選ばれちゃったんだ。みんなの注目を集めて壇上から降ります。これからどうしよう、本当に私に闇の沼地を浄化する力があるのかな?出来るのかな?
「王女殿下、聖女認定おめでとうございます!」
「リンネ、君やっぱりすごいよ!」
ミレアさんとレーグルは自分のことのように喜んでくれます。
「リンネ。大丈夫だよ、僕がついているからね」
ヴァイス様はいち早く私の不安を察して励ましてくれます。
「王女殿下、俺、頑張りますから。絶対に王女殿下を危険には晒しません」
フォルスは私を守ると改めて誓ってくれます。
「リンネ様、私も魔力供給など出来る限りのサポートをさせていただきます。どうか、リンネ様は胸を張って聖女としての勤めを果たしてください」
ノブル君も激励してくれます。
「リンネ」
「ティラン兄様!」
「…あまり、無理はするなよ」
心配してくれるティラン兄様。…うん、みんながいるんだし、大丈夫だよね!
「…うん、頑張る!」
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