23 / 66
祈祷
しおりを挟む
「ただいまー」
「おかえり、コトハ」
「手洗いうがいしてくるね」
「うん」
コトハは最初こそ僕が送り迎えしていたけれど、今ではお友達と帰宅している。
僕はコトハが学校に行ってから帰ってくるまでの間に占いをして、帰ってきたらコトハの宿題と予習復習を見守る。
そして夕飯を一緒に作って食べる。
なのだが。
「兄様、うがいと手洗い終わったよ!」
「はい、お利口さん。コトハは偉いね」
「えへへ…あの、お勉強の前に一つ聞いていい?」
「なにかな?」
コトハがちょっと不安そうな顔をするので心配になる。
「あの、えっとね」
「うん」
「今日学校で、ナギさんは祈祷のサービスはしないのかって聞かれたんだけど…どうなのかなって」
なんだそんなことかと安心する。
深刻な話でなくてよかった。
「大丈夫だよ、コトハ」
「え?」
「僕は祈祷のサービスを増やしたところで困らないから」
「そうなの?」
「うん、コトハが学校に行っている間しか仕事しないって決めてるから過労にはならないよ」
コトハが首をかしげる。
「過労?」
「働きすぎちゃうことだよ」
「そっか。じゃあ兄様は時間を決めて働いてるから大丈夫…なんだよね?」
「そうそう、そういうこと。ただその分、お部屋のお掃除が日曜に一気にやらなきゃいけなくなっちゃったけどね」
コトハが学校に行っている間はずっと仕事だから、休みの日にお掃除せざるを得ない。
とはいえコトハは日曜日はお友達と遊んだりしているので、暇を持て余させたりはしないで済んでいるが。
「本当はコトハとお出かけしたりしたいんだけどな」
「夏休みになったら一緒にお出かけしようね!」
「いいね!そうしよう」
ああでもその間、占いや祈祷はどうしようか。
コトハが夏休みの宿題や予習復習を片付けている間にやるようにしようか。
「じゃあ、今度祈祷のサービス追加しておくね」
「うん!でもあんまり無理はしないでね、兄様」
「さっきも言った通り、無理はしないから大丈夫だよ」
「うん!」
僕をこんなに心配してくれるなんて、コトハはなんていい子だろう。
ヒトでない僕を、こんなにも好いていてくれるなんて。
「コトハ」
「なに?兄様」
「大好きだよ」
「私も兄様が大好き!」
コトハはパッと笑顔になる。
この笑顔を、これからも守り続けよう。
「じゃあ、宿題やるね」
「うん、隣で見てるね」
そしてコトハの宿題と予習復習を見てあげる。
内容をわかりやすく噛み砕いて教えれば、賢いコトハはきちんとその内容を覚えてくれた。
コトハはやっぱり教え甲斐があるなぁ。
「おかえり、コトハ」
「手洗いうがいしてくるね」
「うん」
コトハは最初こそ僕が送り迎えしていたけれど、今ではお友達と帰宅している。
僕はコトハが学校に行ってから帰ってくるまでの間に占いをして、帰ってきたらコトハの宿題と予習復習を見守る。
そして夕飯を一緒に作って食べる。
なのだが。
「兄様、うがいと手洗い終わったよ!」
「はい、お利口さん。コトハは偉いね」
「えへへ…あの、お勉強の前に一つ聞いていい?」
「なにかな?」
コトハがちょっと不安そうな顔をするので心配になる。
「あの、えっとね」
「うん」
「今日学校で、ナギさんは祈祷のサービスはしないのかって聞かれたんだけど…どうなのかなって」
なんだそんなことかと安心する。
深刻な話でなくてよかった。
「大丈夫だよ、コトハ」
「え?」
「僕は祈祷のサービスを増やしたところで困らないから」
「そうなの?」
「うん、コトハが学校に行っている間しか仕事しないって決めてるから過労にはならないよ」
コトハが首をかしげる。
「過労?」
「働きすぎちゃうことだよ」
「そっか。じゃあ兄様は時間を決めて働いてるから大丈夫…なんだよね?」
「そうそう、そういうこと。ただその分、お部屋のお掃除が日曜に一気にやらなきゃいけなくなっちゃったけどね」
コトハが学校に行っている間はずっと仕事だから、休みの日にお掃除せざるを得ない。
とはいえコトハは日曜日はお友達と遊んだりしているので、暇を持て余させたりはしないで済んでいるが。
「本当はコトハとお出かけしたりしたいんだけどな」
「夏休みになったら一緒にお出かけしようね!」
「いいね!そうしよう」
ああでもその間、占いや祈祷はどうしようか。
コトハが夏休みの宿題や予習復習を片付けている間にやるようにしようか。
「じゃあ、今度祈祷のサービス追加しておくね」
「うん!でもあんまり無理はしないでね、兄様」
「さっきも言った通り、無理はしないから大丈夫だよ」
「うん!」
僕をこんなに心配してくれるなんて、コトハはなんていい子だろう。
ヒトでない僕を、こんなにも好いていてくれるなんて。
「コトハ」
「なに?兄様」
「大好きだよ」
「私も兄様が大好き!」
コトハはパッと笑顔になる。
この笑顔を、これからも守り続けよう。
「じゃあ、宿題やるね」
「うん、隣で見てるね」
そしてコトハの宿題と予習復習を見てあげる。
内容をわかりやすく噛み砕いて教えれば、賢いコトハはきちんとその内容を覚えてくれた。
コトハはやっぱり教え甲斐があるなぁ。
56
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
新しい人生を貴方と
緑谷めい
恋愛
私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。
突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。
2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。
* 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
痛みは教えてくれない
河原巽
恋愛
王立警護団に勤めるエレノアは四ヶ月前に異動してきたマグラに冷たく当たられている。顔を合わせれば舌打ちされたり、「邪魔」だと罵られたり。嫌われていることを自覚しているが、好きな職場での仲間とは仲良くしたかった。そんなある日の出来事。
マグラ視点の「触れても伝わらない」というお話も公開中です。
別サイトにも掲載しております。
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる