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友達

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コトハは給食の時間、みんなと談笑しながらお昼を食べていた。

『コトハちゃんって食べ方綺麗だね』

『そうかな?お兄さんが教えてくれたからかな』

コトハは最初食事のマナーが苦手だったが、僕が根気強く教え続けたら自然と綺麗な食べ方になった。

『そうなんだ。コトハちゃんはお勉強も得意だよね』

『そうかな』

『うん、授業中に先生に指されてもハキハキ答えて正解してたし』

『お兄さんが勉強も見てくれてるからね』

『コトハちゃんのお兄さん本当にすごーい!』

本当にすごいのはコトハだけどね。

覚えは悪いがきちんと理解すれば自分の中に知識を吸収できる。

子供なんてみんなそうかもしれないけど、見守り教えるこちらとしては教え甲斐がある。

『ねえねえコトハちゃん、お昼休みは一緒に遊ぼうよ』

『いいよ』

『じゃあ鬼ごっこしようね!』

『うん!』

しっかりと食べて、お片付けが終わるとそのままお昼休み。

コトハはクラスメイトたちと鬼ごっこをして遊び始めた。

コトハは田舎育ち。

前の村の中では運動神経は普通程度だったが、都会に出ればかなり運動神経が良い方になる。

足がとてもはやいコトハを見て、クラスメイトたちは沸き立つ。

『わあ、コトハちゃんすごーい!』

『はやーい!』

『コトハちゃんはスポーツ万能だね!』

『ふふ、そんなことないよー』

褒められて照れるコトハ。

楽しそうでなによりだ。

その後もコトハはクラスメイトたちに囲まれて楽しく過ごした。

午後三時ごろに学校に迎えに行くと、コトハはまだクラスメイトたちに囲まれていた。

クラスメイトの女子たちは、コトハを迎えにきた僕を見てまたまた沸き立つ。

「え、コトハちゃんのお兄さん!?」

「本当にめちゃくちゃイケメンだー!」

「むしろ美形だー!」

「ふふ、お褒めの言葉をありがとう」

「声もイケボだー!」

きゃっきゃと沸き立つ彼女たちに微笑み、そしてコトハに手を差し伸べた。

「さあ、帰ろうか」

「うん!」

コトハは迷わず僕の手を取る。

クラスメイトたちに手を振ってバイバイして、僕と家路につく。

「今日、学校はどうだった?」

知らないフリをして聞けば、コトハは笑顔で答えてくれる。

「お友達がたくさんできたよ!」

「それは良かった」

「食べ方も褒めてもらえたの!」

「それはすごいね」

「兄様のおかげだよ!」

本当にコトハは可愛い。

「コトハの頑張りの成果だよ」

「ふふ。あとお勉強も成果が出てるみたい!授業の内容ちゃんとわかったよ!こんなの初めて!」

「それは良かった」

「あとね、知らなかったんだけど私って運動は得意みたい!」

「さすがはコトハ」

楽しそうに話すコトハに安心する。

ここでの生活は、コトハも上手くやれそうだ。
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