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謎の人の正体はとんでもなかった

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「ふふ、やっぱり」

「え」

「お嬢様、君は過去視ができるんだね」

フードのお兄さんはやっぱり笑う。

「根源に接続すると…過去世を取り戻すだけでなく、さまざまな能力が開花する可能性があるのだけど。そっか、君の場合は過去視なんだね」

「じゃあ…あの夢は本当にあったことなの?」

「そうだね。ああけれど…そのお話は屋敷の中ではしない方がいい。また別の機会にね」

フードのお兄さんは、私の唇に自分の人差し指を当てる。

たしかに、パパには間違っても聞かせたくないお話だ。

「…大丈夫。裁かれるべきは裁かれ、遺された人々は痛みを抱えつつも今は前を向いている」

「うん…」

「君のおかげで前を向けた人も一人いるだろ?」

パパのことかな。

「そうかな」

「そうだよ」

ふと、フードのお兄さんは手を差し出してきた。

「なに?」

「お兄さんと一緒に、パパのところに行こう」

「え?」

今はまともにパパの顔を見れないんだけど。

「…お兄さん、ひどい」

「ふふ。ごめんね、意地悪じゃないんだよ」

「じゃあなんで?」

今パパのところに連れて行くことないのに。

「…君のパパに頼まれてるから」

「なにを?」

「君の面倒を見てくれって」

…むう。

「やだ」

「そう言わずに」

「今はやだ」

「じゃあ、しょうがない」

フードのお兄さんは私を抱っこする。

「え」

「暴れると落ちるから大人しくね」

「防犯ブザー…」

「それはやめて」

仕方がないから大人しくする。

フードのお兄さんに連れられて、パパのところにきた。

パパは中庭でお茶の準備をしてたみたい。フードのお兄さんのためなのかな。

「アニエス。アリスティドと一緒だったのか」

「アリスティド?」

「なんだ、お前名乗ってなかったのか」

「ふふ」

フードのお兄さんは私を降ろす。

そしてフードを取った。

そのお顔は、パパや私にそっくりだった。

イケメンだろうとは思っていたけど、え?

「え」

「そいつはアニエスや俺の先祖だ」

「先祖…?」

お兄さんを見つめる。

「改めまして、僕はアリスティド・アナスターズ・アメティスト。アメティスト家の始祖だよ」

「???」

「僕も根源の接続者でね。開花した才能は溢れる魔力。ただ、そのせいで死に損なってるのさ。老化も止まってしまったし、健康そのものだし、誰にも殺せない強さがあるからね。でもずっと侯爵でいるのもつまんないから子孫に爵位を譲ったんだけど」

どうやら、フードのお兄さんは本当にパパや私のご先祖様のようです。
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