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メランコーリッシュ、父親と決別する

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「それでな、メランコーリッシュ。少し頼みがある」

「何でしょうか?お父様」

「ぜひ、我がパラディースに支援金を寄越してはくれないだろうか」

…やっぱり、そうですよね。お父様が私にただ会いに来てくれるなんて、そんなこと有り得ませんよね。王妃様が私を気にかけているというのも、お兄様達やお姉様達が私に会いたがっているというのも嘘、なんですよね。わかっていたのに、とても胸が締め付けられる思いです。

「お父様…」

「うむ」

「アトランティデの大切なお金は、アトランティデの国民のために使うべきです。いくらお父様のお願いでも、私のいいように使うわけにはいきません」

「…ふむ。なるほど、確かにその通りだな。だが、生まれ育った国をお前は見捨てることが出来るのか?家族を捨てるというのか?お前はそんな子ではないだろう?」

お父様は情に訴えかける作戦のようですが、私の考えは変わりません。

「お父様。申し訳ありませんが、今の私はニタとアトランティデが第一です。…ごめんなさい」

「待て。…我がパラディースは、今危機にあるのだ。飢饉が迫っている。無辜の民のためにも、どうか支援金を出してくれないか?」

「飢饉が…?」

確かにそれは一大事です。無辜の民まで見捨てるのは、あまりにも…。

「…嘘をつくな」

それまで黙って私達の会話を聞いていたニタが鋭い目でお父様を睨みつけます。…嘘?

「パラディースは飢饉が起きる兆候などない。調べていないとでも思ったか」

ああ、それも嘘だったのですね。悲しいですが、お父様にとって私はやはりどうでもいい存在なのですね。嘘をついても心が痛まないどうでもいい存在。…俯いて涙を堪えます。

「ちっ。亜人族の小僧め…」

「!?お父様、ニタに謝ってください!」

ニタを悪く言うのはお父様であっても許せません!

「ふん!お前のような小娘に何故そんなことを命令されなければならない!パラディースのために金さえ払えないクズめ!」

お父様は開き直ります。…あまりにも酷いです。

「お父様…」

「シュシュを我がアトランティデに連れ帰る際に支援金は既に渡したはずだ。それをたった数ヶ月で使い切ってしまうお前達が悪いんだろう。シュシュを恨むなどお門違いだ!」

ニタが私のために怒ってくれます。…こうなるなら、お父様にお会いするべきではありませんでした。

「ニタ。ごめんなさい、ありがとう」

「シュシュ…?」

「お父様」

「なんだ、金を払う気になったか?」

「私は今日をもって、お父様や王妃様、お兄様達やお姉様達と決別致します。もう、パラディースとはさようならです!」

「シュシュ…!」

「ここまで生かしてやった恩すら忘れたか!この親不孝者め!」

「ふん。ほざくなよ。シュシュを冷遇してきたお前達の自業自得だ!お前達、国王陛下のお帰りだ!丁重に送り返してやれ!」

こうして私は、お父様と決別したのでした。
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