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元悪役令嬢の婚約者、メランコーリッシュに仲を取り持ってもらう
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ご機嫌よう。メランコーリッシュです。今日はプーロ様と一緒にハンカチに刺繍を入れています。
「まあまあ。本当に上達しましたわね、メランコーリッシュ王女」
「プーロ様のお陰です」
「あら、うふふ。ええ、もっと言ってくださってもかまいませんわよ」
「もう、プーロ様ったら」
あははうふふとじゃれ合いながら刺繍を入れていきます。
「そのハンカチ、ニタ従兄様に?」
「ええ。プーロ様は、ラットフィナート様に?」
「…ええ、まあ、一応。この間、ちょっとだけ言い過ぎてしまいましたから、その…仲直りに、と、思いまして」
「あらまあ」
やっぱり、運命の番というのは亜人族にとっては大切な存在なのですね。
「で、出来上がったら、仲直りして差し上げてもよろしいかと思ったんですわ」
「そうなんですね。応援してます」
「応援していただくほどのことではありませんけれど…ありがとう、メランコーリッシュ王女」
「ふふ、はい」
私達がそんな会話をしていると、ちょうどいいタイミングでラットフィナート様が私達のところにいらっしゃいました。
「ろ、ロロ!」
「ナート!もう、また私とメランコーリッシュ王女の邪魔をしに来たんですの!?懲りませんわね!」
「違うんだ。あの、これ…」
「…まあ、可愛らしい風鈴草」
「メランコーリッシュ王女殿下と君の仲に嫉妬するばかりか、君をその場から連れ出そうとまでしたこと、後悔してるんだ。たしかに僕の嫉妬は行き過ぎだった。これからは、女友達に関しては口出ししないって約束するよ。許してくれないかな」
「…私にだけ?」
「メランコーリッシュ王女殿下も、本当に申し訳ありませんでした」
「いえいえ、お気になさらないでください。…プーロ様、仲直りするなら今ですよ」
「…。ま、まあ、私も、ちょっと言い過ぎましたし、…お、お互い様、ということにしておいて差し上げますわ」
「…!ロロ、君はなんて優しいんだ!」
ばっと飛びついてぎゅうぎゅうとプーロ様を抱きしめるラットフィナート様。
「ちょっと!人前で何をしますの!?離れてくださいまし!」
「ロロ、大好きだ!」
「それはわかりましたわ!放してくださいまし!」
「…わかったよ」
渋々といった感じでプーロ様を放すラットフィナート様。
「愛してるよ、ロロ」
「…。私も好きですわよ」
何はともあれ、仲直り出来て良かったです。
「あ、ロロ、刺繍をしてたんだね」
「ええ、その…貴方に」
「えっ」
「このハンカチを、差し上げようと思って…」
「ロロ!」
「だから、人前で抱きつかないでくださいまし!」
人前でなければいいのかなんて無粋なツッコミは入れないでおきますね。
「まあまあ。本当に上達しましたわね、メランコーリッシュ王女」
「プーロ様のお陰です」
「あら、うふふ。ええ、もっと言ってくださってもかまいませんわよ」
「もう、プーロ様ったら」
あははうふふとじゃれ合いながら刺繍を入れていきます。
「そのハンカチ、ニタ従兄様に?」
「ええ。プーロ様は、ラットフィナート様に?」
「…ええ、まあ、一応。この間、ちょっとだけ言い過ぎてしまいましたから、その…仲直りに、と、思いまして」
「あらまあ」
やっぱり、運命の番というのは亜人族にとっては大切な存在なのですね。
「で、出来上がったら、仲直りして差し上げてもよろしいかと思ったんですわ」
「そうなんですね。応援してます」
「応援していただくほどのことではありませんけれど…ありがとう、メランコーリッシュ王女」
「ふふ、はい」
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「…私にだけ?」
「メランコーリッシュ王女殿下も、本当に申し訳ありませんでした」
「いえいえ、お気になさらないでください。…プーロ様、仲直りするなら今ですよ」
「…。ま、まあ、私も、ちょっと言い過ぎましたし、…お、お互い様、ということにしておいて差し上げますわ」
「…!ロロ、君はなんて優しいんだ!」
ばっと飛びついてぎゅうぎゅうとプーロ様を抱きしめるラットフィナート様。
「ちょっと!人前で何をしますの!?離れてくださいまし!」
「ロロ、大好きだ!」
「それはわかりましたわ!放してくださいまし!」
「…わかったよ」
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「…。私も好きですわよ」
何はともあれ、仲直り出来て良かったです。
「あ、ロロ、刺繍をしてたんだね」
「ええ、その…貴方に」
「えっ」
「このハンカチを、差し上げようと思って…」
「ロロ!」
「だから、人前で抱きつかないでくださいまし!」
人前でなければいいのかなんて無粋なツッコミは入れないでおきますね。
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