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本当は誰にも見せたくなかった

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シュシュは今日、お披露目式で見事に俺の婚約者としての務めを果たした。シュシュの生い立ちを聞く限り、パラディースの王女だったとはいえこのような正式な場に出ること自体が珍しいはずだ。緊張したはずなのによくやってくれた。さすがは俺の運命の番だな。

「シュシュ、今日はよくやったな」

お披露目式でヘトヘトに疲れ果てたシュシュを労い頭を撫でる。シュシュは少し疲れ顔だが嬉しそうに微笑む。可愛い。

「ニタがそばに居てくれたおかげです」

「…。そう嬉しいことを言ってくれるなよ」

キスしたいのを我慢するのも大変なんだから。そんな俺の胸中を知らないシュシュは首を傾げる。

「?…ニタは嫌ですか?」

「嫌じゃない。嫌じゃないんだが…、シュシュが可愛すぎて困る」

俺がそう言うと、顔を赤く染めるシュシュ。そういう反応が一々可愛すぎて困る。

「え、あ、えっと…」

顔を赤く染めたまま困ったような表情でオロオロするシュシュ。だから、一々可愛いって。可愛すぎて思わず余計にそんな表情が見たくなるからやめてくれ。

「…」

「…」

「シュシュ」

「は、はい、ニタ」

「今日、本当は誰にも見せたくなかった」

「え?」

「シュシュのこと。皇帝という立場を考えると、シュシュを俺の婚約者として紹介しないといけないから、我慢したけど。こんなに可愛い子を紹介して、拐われないか心配だった」

「!?いえ、そんな!いえいえそんな!」

「いや、本当に」

「に、ニタ!」

更に真っ赤になって俺の胸をポンポンと叩くシュシュ。…もしかして、これで本気で殴っているつもりか?益々心配になるんだが…。

「もう、今日のニタは意地悪です!」

「シュシュが可愛すぎるのが悪い」

「だ、だから意地悪しないでください!」

「可愛いって言うのが意地悪なら、これからも意地悪し続けるぞ?」

「ニタ!」

「ふ、わかったわかった」

「本当にわかったんですか!?」

「ほどほどにしておく。…シュシュがそうやって可愛い顔をしない限り、多分な」

「もう、やめる気ないじゃないですか!」

「…くく、ははは」

「もう!笑い事じゃないです!私はいっつもニタのせいでドキドキしっぱなしなんですからね!ドキドキし過ぎてそのうち倒れたら、ニタのせいです!」

「それは困るな。亜人族にとって運命の番を亡くすのはイコール人生の終わりと同じだ」

「じゃあもう意地悪しないでください!」

「意地悪しないのは無理だから、今のうちに愛を囁きまくって慣らしておこうか、シュシュ」

「もう、ニタったら!」
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