8 / 55
本当は誰にも見せたくなかった
しおりを挟む
シュシュは今日、お披露目式で見事に俺の婚約者としての務めを果たした。シュシュの生い立ちを聞く限り、パラディースの王女だったとはいえこのような正式な場に出ること自体が珍しいはずだ。緊張したはずなのによくやってくれた。さすがは俺の運命の番だな。
「シュシュ、今日はよくやったな」
お披露目式でヘトヘトに疲れ果てたシュシュを労い頭を撫でる。シュシュは少し疲れ顔だが嬉しそうに微笑む。可愛い。
「ニタがそばに居てくれたおかげです」
「…。そう嬉しいことを言ってくれるなよ」
キスしたいのを我慢するのも大変なんだから。そんな俺の胸中を知らないシュシュは首を傾げる。
「?…ニタは嫌ですか?」
「嫌じゃない。嫌じゃないんだが…、シュシュが可愛すぎて困る」
俺がそう言うと、顔を赤く染めるシュシュ。そういう反応が一々可愛すぎて困る。
「え、あ、えっと…」
顔を赤く染めたまま困ったような表情でオロオロするシュシュ。だから、一々可愛いって。可愛すぎて思わず余計にそんな表情が見たくなるからやめてくれ。
「…」
「…」
「シュシュ」
「は、はい、ニタ」
「今日、本当は誰にも見せたくなかった」
「え?」
「シュシュのこと。皇帝という立場を考えると、シュシュを俺の婚約者として紹介しないといけないから、我慢したけど。こんなに可愛い子を紹介して、拐われないか心配だった」
「!?いえ、そんな!いえいえそんな!」
「いや、本当に」
「に、ニタ!」
更に真っ赤になって俺の胸をポンポンと叩くシュシュ。…もしかして、これで本気で殴っているつもりか?益々心配になるんだが…。
「もう、今日のニタは意地悪です!」
「シュシュが可愛すぎるのが悪い」
「だ、だから意地悪しないでください!」
「可愛いって言うのが意地悪なら、これからも意地悪し続けるぞ?」
「ニタ!」
「ふ、わかったわかった」
「本当にわかったんですか!?」
「ほどほどにしておく。…シュシュがそうやって可愛い顔をしない限り、多分な」
「もう、やめる気ないじゃないですか!」
「…くく、ははは」
「もう!笑い事じゃないです!私はいっつもニタのせいでドキドキしっぱなしなんですからね!ドキドキし過ぎてそのうち倒れたら、ニタのせいです!」
「それは困るな。亜人族にとって運命の番を亡くすのはイコール人生の終わりと同じだ」
「じゃあもう意地悪しないでください!」
「意地悪しないのは無理だから、今のうちに愛を囁きまくって慣らしておこうか、シュシュ」
「もう、ニタったら!」
「シュシュ、今日はよくやったな」
お披露目式でヘトヘトに疲れ果てたシュシュを労い頭を撫でる。シュシュは少し疲れ顔だが嬉しそうに微笑む。可愛い。
「ニタがそばに居てくれたおかげです」
「…。そう嬉しいことを言ってくれるなよ」
キスしたいのを我慢するのも大変なんだから。そんな俺の胸中を知らないシュシュは首を傾げる。
「?…ニタは嫌ですか?」
「嫌じゃない。嫌じゃないんだが…、シュシュが可愛すぎて困る」
俺がそう言うと、顔を赤く染めるシュシュ。そういう反応が一々可愛すぎて困る。
「え、あ、えっと…」
顔を赤く染めたまま困ったような表情でオロオロするシュシュ。だから、一々可愛いって。可愛すぎて思わず余計にそんな表情が見たくなるからやめてくれ。
「…」
「…」
「シュシュ」
「は、はい、ニタ」
「今日、本当は誰にも見せたくなかった」
「え?」
「シュシュのこと。皇帝という立場を考えると、シュシュを俺の婚約者として紹介しないといけないから、我慢したけど。こんなに可愛い子を紹介して、拐われないか心配だった」
「!?いえ、そんな!いえいえそんな!」
「いや、本当に」
「に、ニタ!」
更に真っ赤になって俺の胸をポンポンと叩くシュシュ。…もしかして、これで本気で殴っているつもりか?益々心配になるんだが…。
「もう、今日のニタは意地悪です!」
「シュシュが可愛すぎるのが悪い」
「だ、だから意地悪しないでください!」
「可愛いって言うのが意地悪なら、これからも意地悪し続けるぞ?」
「ニタ!」
「ふ、わかったわかった」
「本当にわかったんですか!?」
「ほどほどにしておく。…シュシュがそうやって可愛い顔をしない限り、多分な」
「もう、やめる気ないじゃないですか!」
「…くく、ははは」
「もう!笑い事じゃないです!私はいっつもニタのせいでドキドキしっぱなしなんですからね!ドキドキし過ぎてそのうち倒れたら、ニタのせいです!」
「それは困るな。亜人族にとって運命の番を亡くすのはイコール人生の終わりと同じだ」
「じゃあもう意地悪しないでください!」
「意地悪しないのは無理だから、今のうちに愛を囁きまくって慣らしておこうか、シュシュ」
「もう、ニタったら!」
0
お気に入りに追加
471
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前
地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。
あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。
私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。
アリシア・ブルームの復讐が始まる。
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
婚約破棄していただき、誠にありがとうございます!
風見ゆうみ
恋愛
「ミレニア・エンブル侯爵令嬢、貴様は自分が劣っているからといって、自分の姉であるレニスに意地悪をして彼女の心を傷付けた! そのような女はオレの婚約者としてふさわしくない!」
「……っ、ジーギス様ぁ」
キュルルンという音が聞こえてきそうなくらい、体をくねらせながら甘ったるい声を出したお姉様は。ジーギス殿下にぴったりと体を寄せた。
「貴様は姉をいじめた罰として、我が愚息のロードの婚約者とする!」
お姉様にメロメロな国王陛下はジーギス様を叱ることなく加勢した。
「ご、ごめんなさい、ミレニアぁ」
22歳になる姉はポロポロと涙を流し、口元に拳をあてて言った。
甘ったれた姉を注意してもう10年以上になり、諦めていた私は逆らうことなく、元第2王子であり現在は公爵の元へと向かう。
そこで待ってくれていたのは、婚約者と大型犬と小型犬!?
※過去作品の改稿版です。
※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観や話の流れとなっていますのでご了承ください。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
両親も義両親も婚約者も妹に奪われましたが、評判はわたしのものでした
朝山みどり
恋愛
婚約者のおじいさまの看病をやっている間に妹と婚約者が仲良くなった。子供ができたという妹を両親も義両親も大事にしてわたしを放り出した。
わたしはひとりで家を町を出た。すると彼らの生活は一変した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる