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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第104話 父の思い出を探して

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「ねぇ、もうこいつほっといて入国して良いかな…。」
「良いんじゃないかにゃ…。私らいれば多分入れるし…。」
「役立たずのくせに何しに来たんですかね。この性豪騎士。」

ラルカさんの一言にがふっ!!と再び胸にダメージを受けてるカイザ。

「くそ…!私に一体何の恨みがあってこんなこと…!」
「あ、そういえば聞いてくださいよ。私この人にこの前誘拐されて縛られて痛めつけられたんですよ。
どう思いますか皆さん?」

女性騎士の皆様が「ぇぇ‥こんな若い子を…?」「やだぁ…」「最低…」と言い出して軽蔑の眼差しでカイザを見出した。

「ぐふぉぁあああっ!!やめっ!やめてくれ!誤解‥でもないか‥あながちやったことは間違ってないが経緯と言い方がだなっ!!」
「えぇ…本当にやったんですか団長…不潔です。」

女性騎士さんがザワザワしながらどんどん距離を置きだす。

「はい、誘拐されて縛られてぶっといものをおなかの奥まで刺されて…痛かったなぁ?」

ここぞとばかりに執拗に嫌らしく恨みを込めて責めてやる…。
言葉の刃は時に人を殺す!
私は言葉の刃でこいつをぶっ殺す!!


「何なら最初は私の妹を!私の目の前で!縛り付けて動けなくしてぶっといものでズンズン突き刺してましたよね!何ならそこにいる他の男騎士と一緒に!!」

他の男性騎士の顔もみるみる青ざめる。
してやったり。

「敵国の女性とは言え、そう言うのはどうかと思います団長。」
「女の敵ですね。いつ私達も適当な理由をつけられて太いものをズンズンされるか…。」
「最低…。こいつら生かしておいて良いんですかね…?」

女性騎士はどんどん男性側を敵として認識し始めた。
よし!良いぞ!!

「ぶっといものぶっといものって!私達の剣で突き刺したことを卑猥な言い方をするな!!」
「きゃぁぁぁっ!私達の剣ですってぇぇえ!」
「やっぱり団長達は性豪騎士だったんですね!軽蔑します!」
「ちっ、ちが…も、ほんと…やめてっ…許して、許してください…。この通りです…。」

よし、勝った。戦わずして勝ったぞ!
言葉の刃はやはり強し!!
だが…。

「え?許されると思ってるんですか?
甘くないですか?女性を敵にした事を後悔させるにはまだまだ足りないんですけどぉ?嫁入り前の生娘のお腹を剣で突き刺した罪はそう簡単に消せませんよ?わかってます?」
「くっ…!わ、わかった!何が望みだ!
できる範囲なら貴様の要望を聞いてやろうじゃないか!
それで良いだろう!!」
「まぁ、要望を聞いたところで貴方が性豪騎士扱いなままなのは変わらないけどね。」

さて、ここまでは割と計画通り。
カイザが出てくる時に女性騎士の皆様が来てくれたことは良い方向で計画外だったけども♪

「そうね、要望は幾つかあるわ。
とりあえず、私も出来もしない事をやれとは言わない。
1つ目は入国する私達を丁重に扱う事。
2つ目は私の質問にはなるべく答える事。
3つ目はこの国に現れたとか言うワイズマンとおもしき人の情報をよこす事。以上。」
「そうか、最悪、死ねと言われれば死ぬ覚悟すらあったのだがな。その範囲で良いなら私もそれを受け入れよう。」
「何、急に気持ち悪い。前回と比べて大人しすぎない?」
「それはだな…、正直なところ我々全員何故あんな奇行に及んだのか自分でも理解に苦しんでいるのだ。
騎士としてあるまじき行いだと思うしな。自害も考えた。」
「ふぅん、でもまた私見た時殺そうとしてなかった?」

そう言うと、カイザは私の手を取り真剣な眼で

「殺そうと思った。何故かはわからない。強い恨みのような黒い感情が湧き上がって来てな…。
だから、君にしかできない事を願う。我が剣を奪ってくれ。先ほど二人にしたように君のその手で。」
「団長!正気ですか!?それはつまり剣王を裏切ると言う行為ですよ!?」
「構わん!私は騎士としての自分の誇りを失って生きるくらいなら裏切り者でも構わん!」

私はカイザの手を振り払った。

「知らないわよ。自分でなんとかしろバカ。
あんた、団長ってことは強いんでしょ?自分の事くらい自分で何とかしろ。私を利用するな。」
「はは、手厳しいな…。
では、自責の念を込めて君の要望に応えるとしよう。
意義のある物は今この場で私を捉えるなり殺すなり好きにするが良い。私に敵うならな。
敵わないと知る物は、今は私に従え。私からは以上だ。」

その言葉に一斉に騎士団の人たちがざわめき出した。

「団長、それはつまり連帯責任を取れと?」
「いや、お前達を死なせる気はない。
何かあればその時の責任は私一人で取る。
それに私は今言ったぞ。意義のある物は私に刃向かえとな。」
「敵わないとわかっててそう言う事を言うのは、貴方の得意技ですからね…。良いですよ。従いましょう。」
「すまないな皆。助かる。」

と言うわけで、私の計画や予想を遥かに超えて団員全員が私達の味方になってくれることになった。

「さて、行こうかワイズマンの娘子よ。」
「えぇ、よろしく頼むわ団長さん。」
「にゃぁ…、この流れは流石にビックリにゃ…。
カリスマってやつかにゃ?」
「どこまで計算してたかは存じ上げませんが、頭がキレる所も彼の方に似てると知れた事は、何だか微笑ましくもありますね。」
「うむ!流石私が鍛えただけあるな!」
「「「貴方は関係ない」にゃ」です」わ」

そんなこんなで私たちは元お父さんの領地である西の都に大手を振って入国できる事になった。

「うむ!セントラルのように文明開花が進んでると思ったが思いっきり15年前と変わらないな!まるで田舎町のようだ!!」
「まぁー…それだけ私たちの主人は偉大だったと言う事ですね…。作り手や研究者が居なければ文明は発展しませんし…。」
「あれから15年暮らしてるけど、主な収入は隣国へ出稼ぎと言うやつのが多いにゃね~。あとは剣闘士たちによる賭け試合でなけなしの日銭を増やそうとしてそのまま全財産を無くして死にかける奴らと…。
まぁ、酷いとまでは行かにゃいし生活が変わることも大してはないにゃね。

ただ、魔剣の因子を打ち込まれてた事で、隣国の領地以外に出る事が出来なくなっていたのが唯一面倒なところだったかにゃ。」

なるほど…。じゃあ今のこの土地はお父さんがいた頃と大して変わってないんだ。

この景色をお父さんも見てたんだって思うとなんか不思議な気分…。

「あれ?魔剣因子を打ち込まれてると隣国以外の領地に出れないならなんでカイザたちはセントラルに出れたの?」
「それは無論、事前に剣王様により命じられたり許諾を得ていれば可能だからだ。
我ら聖豪騎士団は騎士になった時点で許可を得ているようなものだ。
戦争に駆り出されることもあるからな。
とは言っても、私も今まで戦争などろくに行った事はないが…。」
「15年前に特殊なアクセサリーを使って攻め込んで来たことがありましたよね?
あの時は私たちやアルバも見事に洗脳されて、この国の敵になりましたが…。」
「ん?なんだその話は…?私はその件については知らないな…。」
「そうなのにゃ?結構な数の人間がそっちの国のものと思われる魔導士によって操られたんにゃけど…。
まぁ案の定、あの人がばちこーんって軽く一捻りして一件落着したにゃね。」

そう言えばお母さんが言ってたっけ。
お父さんたちが結婚する直前に大規模な襲撃があった事と、逆に要人大集結!な結婚式の日には何も起こらず平和に終わった事。

そして、お父さんの失踪したその日にまさかの襲撃が起こった事。

「ねぇカイザ。あなたたちはお父さん…ワイズマンの情報は何か持ってないの?」
「君達も噂の真相を確かめに来た口だろう?実の所、私も噂の出所などを調べる為に此方に滞在してる次第だ。
色々と噂を調べる途中でセントラルにいる君達のもとへと向かったのだが…。
本当にあの時の私はどうしていたのだろう…。
今思い出しても自分が許せん…。」
「もう良いよ。魔が刺したってやつって事で納得しとく。
あの謎の人が助けてくれたからなんとかなってるし。
まぁ、恨んではおくけど。」
「あぁ、それで構わん。
むしろその恨み、生涯忘れてくれるな。
殺したくなればいつでも殺してくれて構わん。
私はそれほどの事をしたのだからな。

さて、話を戻すが例のワイズマンについてだが、目撃証言が集中していたのは、やはりと言うべきかワイズマン降臨の地と言われている例の洞窟なのだ。
しかしだな…、噂の真相を確かめようと何人か私たちの団員も向かったのだが、一向に見つけることはできていないのだ…。」

例の洞窟…。エステレラさんから聞いてた話だと、この世界にお父さんが現れたときに居たのが西の都の端っこあたりにある洞窟だったらしい。
西の都の冒険者が、良く狩りとか新しい武器のテストとかも兼ねてよく行くと言われている洞窟で、なんでもその最深部にある行き止まりの壁からお父さんは現れたとか。

ただ、最深部なんて言われてるけど、実際はレアアイテムとかの手前の盗掘者避けのトラップを踏むと強制転移されることもあるらしい。
ようは強制転移させてその先の魔物で始末させると言う仕組みになってるダンジョンなのだとか。

実際、そのトラップで強制転移してしまい死にかけたのが、今ではセントラルの剣士団団長を務める【焔の戦士 アリファーン】、そして東の塔で東の魔女と共にこの国の科学の発展に貢献している【星の魔女 リュナ】

当時、お父さんは「戦士ちゃんと妹ちゃん」と呼んでいたとかなんとか。

この土地に「名前」の文化が生まれる前はそう呼ばれていたらしい。

ちなみにリュナさんは私の姉妹のリィヴェルの育ての親であり師匠でもある人だ。

「例の洞窟…かぁ…。でも結局カイザのとこの部下さんは会えてないんだよね?」
「そうだな。先日、君達を助けに来た例の男と再び出会える事を期待していたのだが成果はまるでないな。
かといって、噂のタネになったと思える似た様な力を持つものにも出くわさない。」
「そっか…。もういっそ、ダンジョン最深部でお父さん助けてーとか叫んでやろうかしら…。」
「それで現れるなら私たちも苦労しないが…。
ただ、あれが君たちの父親という保証はないのだろう?」
「それ以前に私は父親の声も仕草も口癖も喋り方もろくに知らないし…。写真は見せてもらったけど…。」

お父さんの顔は写真でしか見た事ない。
母親の姿も同じく。
お母さんは15年前の戦いの後に私たちを産んだ後、私をエステレラさんに、リィヴェルをリュナさんと東の魔女さんに預けて、お父さんを探して旅に出てしまったから…。

「そう言えば、私のお母さんも今どこに居るんだろ…。」
「ヴェルデ様なら、この街に滞在しているが…。」
「は?えっ?お母さんこの街に居るの!?ていうかヴェルデ様って…。」
「ワイズマンの奥方様で君の母君、そして、本来ならこの都が国になるなら姫となるかもしれなかったお方だからな。
尊厳の意味も込めてヴェルデ様と呼んでいる。
それ以前に、一方的に戦いを挑まれてコテンパンにやられてから誰も逆らえないと言った方が正しいな…。」
「なるほどな!ヴェルデは気性が多少荒いからな!
納得だ!!とは言えリィン、母親には合っていかないのか?」

お父さんと違って私たちを捨てたわけじゃないけど、産まれて14年余り直接は会ってない…。
時々、お父さんが作った「ケータイ」て魔道具でお話したことはあるけど…。

「エ、エステレラさん!お母さんに私どんな顔して会えば良いと思う?」
「そうだな!娘は立派になりました!とか言えば良いんじゃないか?何なら近くに来てるから今から会おうと電話してやろう!」

エステレラさんがそう言って「ケータイ」を手に持つと

「いらねぇよエステレラ、その馬鹿でかい声でこの街に来たことは丸わかりだからな。
で、これはどういう事だ?オレは娘を頼む。死なせる事は許さないからなと言って託した筈だが…。」
「おう!ヴェルデ!久しぶりだな!見ての通りお前の娘は立派に育っているぞ!!」
「ほう…。どの辺がだ?」
「胸以外は全部だな!!」

私はお母さんとおもしき人の目の前でエステレラさんにドロップキックをかましてやった。

何でお母さんとおもしき人って言ったかって?

だって…だってだってだってだって!!
写真で見たお母さんと違って、背も高いしおっぱいもお尻も大きいし、腹筋も程よく割れてるし、超綺麗な人なんだもん!!私と違って!!!!

この人絶対私のお母さんじゃない…!

だって…。

私のおっぱい…おっきくないもんっ!!!
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