3 / 10
その3
しおりを挟む宇佐 義弘 27歳。
現在、同期の見てはならない買い物を目撃してしまい、危機に瀕しております。
え、誰に言ってるのかって?やけくそだよこんちくしょう!!
てかこの件前にもやった気がするっっ!
……どうしてこうなった。
都市部の渋滞もなんのその。
あっさりと辿り着いたマンションの、その上層階にある大神の部屋にあっという間の速さで連れ込まれ、広々としたリビングの木目調なテーブルへと自分の戦利品を放られ。
ベッドルームを突っ切った先にある脱衣場にて衣服を剥ぎ取られようとした段になってようやく慌てはじめた僕は
「家飲みに誘われたんじゃないのか!?
えとっ、えと、は、話したりとか・・!」
と無理があると薄々気付きつつも言い募って
服を必死で抑えながら大神を見上げてへらりと笑ってみせたものの。
自分の言葉と抵抗を意にも介さず、今や獲物を狙う目で自分を凝視する男はくぐもった笑いを漏らして口角を上げた。
「だから話すんだろう?身体で」
「いやいやいや何言ってんの何言っちゃってるの!?
ボディランゲージって外国人じゃないよ僕ぁ!」
「んなことはわかってる、同期だからな。
そっちこそあんな時間にあのコンビニにいるとか…。
まぁ戦利品も見られたしあんなこと言うくらいだ。
俺が現在どんな状態なのか…わかってんだろう?」
「わ、わかりませんわかりませんわかりたくな…ちょっー!」
「全くもってレジ前のお前の推理は的中だおめでとう名探偵くん。
俺はここ3週間出張続きで絶賛欲求不満中、なんなら暴発寸前だ。
てな訳でそんな俺の状況をあの一瞬で見抜いてくれたうさぎ君には発言の責任をとってもらいます。
はぁ…や・ら・せ・ろ」
「い、ぃいやぁぁぁぁ…!!」
いうや、あっという間に下着以外を全て脱がされた僕はバスルームへと連行された。
※ ※ ※
シャアアアアアアアあぁぁ・・・
「うわっぷ!うぅ…」
あっという間に濡れ鼠になった僕。
唯一脱いでいなかった下着までぐっしょりとシャワーの生温かい湯が染み込み、
うん、地味に気持ちが悪い。
強引にバスルームに連行してシャワーを頭からぶっかけてくれた元凶といえば服すら脱いでおらず、綺麗なタイル状の壁面に備え付けられたパネルを操作していつの間にやら広い浴槽に湯まで溜めている。
「?何を睨んでいる」
「どの口が言って…てか何この状況」
「だからヤる前に入浴は基本エチケットだろ。
んん、それとも風呂に入らない方が燃えるタチなのかうさぎは?」
「っはぁ!?そんなわけな…って、さっきからそのうさぎ呼び、何?
やめて欲しいんだけど」
「だって経理の連中みんなそう呼んでんぞ。
ウサギちゃんとかうさちゃん先輩とか。ちゃん呼びしないだけマシだと思え」
「くそっあの人ら…!と、とにかく。
僕には宇佐 義弘って立派な名前があんの!ー…て、話逸れてるし!
ヤらせろって、せ、セックスてことだよな…?」
「それ以外何があると?」
「だからさぁー、何故に僕?
そりゃあ勝手に戦利品覗いたのもレジ前で余計なこと言っちゃったのも悪かったけど僕男だし!」
「ああ知ってる」
「大神ってモテるじゃん!」
「それも否定しないな」
「(くっムカつく)だ、だったらわざわざ男の僕なんて相手に選ばなくても!
それに元々だれか相手が」
「いねぇ」
「は?」
「だから決まった相手なんぞいない。
確かに溜まってたからな、繁華街の適当な店で飲んで適当な相手でも引っ掛けようとは思ってたしだからこそあんな物をあんな場所で調達してたんだが…うさぎに会って気が変わった」
「…それはそれで最低だな。誰でもいいってことかよ?
そんなの女性に失礼」
「俺はゲイだ…」
「え、は?」
「だから。俺は、ゲイだ。
因みに女は仕事上以外のプライベートではできるだけ絡みたくないほど嫌いだ」
『ピィ~!お湯が溜まりました!適温です!』
とのちょっとばかし間の抜けた機械の音声とほぼ同時、中々衝撃的なカミングアウトを聞いてしまった。
数瞬間思考停止して硬直してしまっていた僕は、いつの間にやら脱衣を済ませていた大神に抱えられて間抜けにもあっさりと湯船に身体を沈められた。…お姫様抱っこで。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】
あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。
【登場人物】
★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。
★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。
★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。
★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。
★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。
逢瀬はシャワールームで
イセヤ レキ
BL
高飛び込み選手の湊(みなと)がシャワーを浴びていると、見たことのない男(駿琉・かける)がその個室に押し入ってくる。
シャワールームでエロい事をされ、主人公がその男にあっさり快楽堕ちさせられるお話。
高校生のBLです。
イケメン競泳選手×女顔高飛込選手(ノンケ)
攻めによるフェラ描写あり、注意。
年上が敷かれるタイプの短編集
あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。
予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です!
全話独立したお話です!
【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】
------------------
新しい短編集を出しました。
詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
ストレスを感じすぎた社畜くんが、急におもらししちゃう話
こじらせた処女
BL
社会人になってから一年が経った健斗(けんと)は、住んでいた部屋が火事で焼けてしまい、大家に突然退去命令を出されてしまう。家具やら引越し費用やらを捻出できず、大学の同期であった祐樹(ゆうき)の家に転がり込むこととなった。
家賃は折半。しかし毎日終電ギリギリまで仕事がある健斗は洗濯も炊事も祐樹に任せっきりになりがちだった。罪悪感に駆られるも、疲弊しきってボロボロの体では家事をすることができない日々。社会人として自立できていない焦燥感、日々の疲れ。体にも心にも余裕がなくなった健斗はある日おねしょをしてしまう。手伝おうとした祐樹に当たり散らしてしまい、喧嘩になってしまい、それが張り詰めていた糸を切るきっかけになったのか、その日の夜、帰宅した健斗は玄関から動けなくなってしまい…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる