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神華と獅子王編
5話
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最近、ジレウスが妙にピリピリしてる。
いつからかといえば、
少し前に僕が変な視線を感じたと報告した時から。
多分その時から彼の警戒感がかなり増したのは間違いないと思う。
(あの時は一瞬だったから気のせいかと思ってたけど…)
もしかして何か良くない類の人に目をつけられたのだろうか?
ジレウスも言ってたけど僕の種族は希少で、そのスキルが伝説とまで言われるものらしい。
だから悪い人に知られれば悪用する為に拐われる危険性があるんだって。
(そんなの…絶対にやだ、な)
それってジレウスと離されちゃうってことだよね?
折角この世に生まれて出会うことができた大事な大事な番のジレウスと離される可能性なんて、恐怖以外の何者でもない。
絶対に守るってジレウスは言ってくれたけど、
やっぱり僕自身が何も努力しないのは違うと思うんだ。
……
…………
……………
と、いうわけで。
今日も今日とて一緒に今や日課となった薬草採取を終えて、ギルドの彼の執務室でジレウスが書類作業をしているのをソファーで見つつ、先日彼に教えてもらった魔力操作?なるものを練習している。
なんでも、身体の中や空気中に巡ったり漂っている魔力を自身に取り込んだり正しく循環させると、魔法をスムーズ且つ少ない魔力で行使できるのだとか。
そう、魔法っ!
前世ではあり得ないその不思議な技術をどうやら僕は使えるらしい。
ジレウスやミルドさんの話によると希少種族や肉食動物型の獣人は魔力が強い傾向にあるらしく、制御と操作がちゃんとできないと暴走?する危険があるから物心つく頃にはすぐに学ぶんだって。
覚える手順としては魔力を感知→魔力を操作→魔力を制御の大まかに3手順。
僕の場合はジレウスが手から魔力を流してくれたことによって結構あっさりと感知することができたから、現在は体内に存在する魔力を正しく身体の中で循環させてるところ。
身体の仕組みを前世の知識から多少知っている僕は、
血管を巡って魔力というポカポカと温かい力を余すことなく均等の速さで循環させる用にしているけどこれでいいのかなぁ?
なんだかやる度に日を追って体内に存在する魔力が増えてる気がするんだけど。
…あ、あと何故かジレウスとえ、エッチなことして中に出されるとブワッて体内に彼の魔力も広がる感覚が…。
(…は!?ダメダメ、集中…集中しなきゃ)
ついつい余計なことを考えて魔力の循環が途切れそうになった。
空気中の魔力に関しては魔力が操作できていれば呼吸とともに自然と体内に取り込むことができるそう。
でも僕って馬鹿だから操作と制御って何が違うの?ってジレウスに聞いちゃったんだ。
操作は体内外の魔力を自身の身の内で巡らせて、
意識して取り込んだり魔法やスキルへと変換すること。
制御はその際にどのくらいの魔力を変換して魔法を行使するかを自分で調整できるかをいうんだって。
因みにスキルと呼ばれるものには行使する際に魔力が必要なもの以外にも精神力だったり生命力だったりを消費するものや、逆になんの力も消費することなく行使できるものがあるそう。
(僕のスキルも確か…)
“癒しの手”は魔力
“甘露”は常時発動している
“自己犠牲は生命力
といった具合に必要とする力が違う。
以前ジレウスにステータスの詳細を聞かれた時にはあまり分かってなかったんだけど。
確かに僕のスキルは内容も、そして内容からしてまずい気がする。
人の為に役に立つといえば聞こえはいいけど、きっと本来僕なんかには不相応な能力だとも感じている。
ジレウスやミルドさん、その他の仲良くなった受付や冒険者のお姉さんとかなら、
病気になったり怪我したりしたら助けたいとは思う。
だけど…
(全然知らない人にいきなりスキル使って直せって言われても多分無理…)
ジレウスと番ったあの日ー。
身体は大きくなったけど、やっぱり僕は年齢通りお子様みたい。
まぁこの世界ではもう成人している歳だからこそ彼との番であるという書類もすんなり受理されたのだろうけども。
それでも物語に登場するような誠実な主人公みたいに困っているひとは分け隔てなく助けなければならないなんてどうしても思えないのだから仕方ない。
「…ーキ。コーキ?」
「っふぇ??」
「どうしたぼんやりして。仕事終わったから帰るぞ」
「あ、うん」
どうやら今日の自主訓練時間は終わりを迎えてしまったようだ。
結局全然集中できなかったなぁ…と若干しょぼくれた僕の様子を見て取ったのか、
「今日の晩飯は屋台で適当に済ますか」
「え、僕疲れてないし帰ったら作るよ?」
「いや。最近は弁当から毎朝の朝食から任せっきりだし、偶にはいいだろ。
で、帰ったら訓練の成果でも見てやるよ」
「!!ほんと?」
「ああ。操作や制御ができてもいざという時スキルが使えてナンボだし、
そろそろ簡単な魔法くらい教えてやるよ」
「うんっっ!!」
魔法、使ってみたいんだろう?
ニヤリと野生的に口角を上げて囁くジレウスのかっこよさに見惚れながらも、
どうやら彼が魔法を教えても問題ないと合格を出してくれたのだと気付いた僕は元気よく返事をして帰り支度に取り掛かった。
いつからかといえば、
少し前に僕が変な視線を感じたと報告した時から。
多分その時から彼の警戒感がかなり増したのは間違いないと思う。
(あの時は一瞬だったから気のせいかと思ってたけど…)
もしかして何か良くない類の人に目をつけられたのだろうか?
ジレウスも言ってたけど僕の種族は希少で、そのスキルが伝説とまで言われるものらしい。
だから悪い人に知られれば悪用する為に拐われる危険性があるんだって。
(そんなの…絶対にやだ、な)
それってジレウスと離されちゃうってことだよね?
折角この世に生まれて出会うことができた大事な大事な番のジレウスと離される可能性なんて、恐怖以外の何者でもない。
絶対に守るってジレウスは言ってくれたけど、
やっぱり僕自身が何も努力しないのは違うと思うんだ。
……
…………
……………
と、いうわけで。
今日も今日とて一緒に今や日課となった薬草採取を終えて、ギルドの彼の執務室でジレウスが書類作業をしているのをソファーで見つつ、先日彼に教えてもらった魔力操作?なるものを練習している。
なんでも、身体の中や空気中に巡ったり漂っている魔力を自身に取り込んだり正しく循環させると、魔法をスムーズ且つ少ない魔力で行使できるのだとか。
そう、魔法っ!
前世ではあり得ないその不思議な技術をどうやら僕は使えるらしい。
ジレウスやミルドさんの話によると希少種族や肉食動物型の獣人は魔力が強い傾向にあるらしく、制御と操作がちゃんとできないと暴走?する危険があるから物心つく頃にはすぐに学ぶんだって。
覚える手順としては魔力を感知→魔力を操作→魔力を制御の大まかに3手順。
僕の場合はジレウスが手から魔力を流してくれたことによって結構あっさりと感知することができたから、現在は体内に存在する魔力を正しく身体の中で循環させてるところ。
身体の仕組みを前世の知識から多少知っている僕は、
血管を巡って魔力というポカポカと温かい力を余すことなく均等の速さで循環させる用にしているけどこれでいいのかなぁ?
なんだかやる度に日を追って体内に存在する魔力が増えてる気がするんだけど。
…あ、あと何故かジレウスとえ、エッチなことして中に出されるとブワッて体内に彼の魔力も広がる感覚が…。
(…は!?ダメダメ、集中…集中しなきゃ)
ついつい余計なことを考えて魔力の循環が途切れそうになった。
空気中の魔力に関しては魔力が操作できていれば呼吸とともに自然と体内に取り込むことができるそう。
でも僕って馬鹿だから操作と制御って何が違うの?ってジレウスに聞いちゃったんだ。
操作は体内外の魔力を自身の身の内で巡らせて、
意識して取り込んだり魔法やスキルへと変換すること。
制御はその際にどのくらいの魔力を変換して魔法を行使するかを自分で調整できるかをいうんだって。
因みにスキルと呼ばれるものには行使する際に魔力が必要なもの以外にも精神力だったり生命力だったりを消費するものや、逆になんの力も消費することなく行使できるものがあるそう。
(僕のスキルも確か…)
“癒しの手”は魔力
“甘露”は常時発動している
“自己犠牲は生命力
といった具合に必要とする力が違う。
以前ジレウスにステータスの詳細を聞かれた時にはあまり分かってなかったんだけど。
確かに僕のスキルは内容も、そして内容からしてまずい気がする。
人の為に役に立つといえば聞こえはいいけど、きっと本来僕なんかには不相応な能力だとも感じている。
ジレウスやミルドさん、その他の仲良くなった受付や冒険者のお姉さんとかなら、
病気になったり怪我したりしたら助けたいとは思う。
だけど…
(全然知らない人にいきなりスキル使って直せって言われても多分無理…)
ジレウスと番ったあの日ー。
身体は大きくなったけど、やっぱり僕は年齢通りお子様みたい。
まぁこの世界ではもう成人している歳だからこそ彼との番であるという書類もすんなり受理されたのだろうけども。
それでも物語に登場するような誠実な主人公みたいに困っているひとは分け隔てなく助けなければならないなんてどうしても思えないのだから仕方ない。
「…ーキ。コーキ?」
「っふぇ??」
「どうしたぼんやりして。仕事終わったから帰るぞ」
「あ、うん」
どうやら今日の自主訓練時間は終わりを迎えてしまったようだ。
結局全然集中できなかったなぁ…と若干しょぼくれた僕の様子を見て取ったのか、
「今日の晩飯は屋台で適当に済ますか」
「え、僕疲れてないし帰ったら作るよ?」
「いや。最近は弁当から毎朝の朝食から任せっきりだし、偶にはいいだろ。
で、帰ったら訓練の成果でも見てやるよ」
「!!ほんと?」
「ああ。操作や制御ができてもいざという時スキルが使えてナンボだし、
そろそろ簡単な魔法くらい教えてやるよ」
「うんっっ!!」
魔法、使ってみたいんだろう?
ニヤリと野生的に口角を上げて囁くジレウスのかっこよさに見惚れながらも、
どうやら彼が魔法を教えても問題ないと合格を出してくれたのだと気付いた僕は元気よく返事をして帰り支度に取り掛かった。
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