上 下
125 / 161
第二章  帝国編

閑話  退場を果たした二人(カサンドラの場合)

しおりを挟む

※要望が多かったため、
閑話にて彼女達のその後を少しだけ書かせてもらいました!
あまり愉快な話ではないので、
不快な気分になりたくない方は回避して下さい( ̄^ ̄)ゞ
まずは1人目!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



(カサンドラの場合)


ーレーギル公爵家・屋敷内当主の執務室ー





カサンドラ『お父様!!何故、何故私が修道院などに!!?』

レーギル公爵『……何故、と……。

      お前が言うのか、サラ?』

カサンドラ『ええ言いますわ!何処に可愛い娘を修道院…
     それもあんな戒律の厳しいと評判の場所に
     送る親がいるというのですか!!?』

レーギル公爵『ここにいるだろうが。
      
      はぁぁ……本当に、育て方を誤った…。
      親の責としてせめてそれだけはお前に詫びねばならんな。
      娘可愛さに甘やかしすぎた結果がこれでは……!』

カサンドラ『なっ、何を仰って……。
     お父様、どうか考え直して下さいまし!
     私はもう一度陛下にお目通りして選定をやり直してもらわねばなら』

レーギル公爵『っまだいうかッッこの愚か者め!!』

カサンドラ『ッッキャア!!』


パン!!(頬を強く叩く音)


カサンドラ『……痛いっ!叩くなど…酷いですわお父様!!』

レーギル公爵『張り手一つで何を大袈裟な。…これでも足りぬくらいだぞ!
      どうやらお前、いや貴様は自分が何をしでかしたのか、
      全く理解していないらしいな』

カサンドラ『………??』

レーギル公爵『……本当に、分からんようだな…。
      いよいよもって救い難い娘だ……。
      恥というものを知らずに育ってしまった貴様の残念な頭にも
      理解できるよう、
      分かりやすく一度だけ貴様の罪を教えてやろう』

カサンドラ『……罪?罪ですって!!?
     私が一体何の罪を犯したと!!』

レーギル公爵『全て、陛下の使いの者らから話は聞いているとも。
      選定の為に特別に滞在を許された後宮で
      侍女や後宮勤めの女官らへ暴言を吐いた罪。
      その際に後宮に備えられていた花瓶や茶器など様々な備品を
      故意に破損した罪。
      集められた他の令嬢達へのあからさまな侮蔑と
      公爵の身分を傘にきた発言の数々。
      陛下のおわす白磁宮へ警備の騎士に怪我を負わせて入り込み。
      ………陛下の執務室に許可なく入り、
      好き放題に話しかけた罪。
      
      …… 他にも陛下主催の昼の交流会で、
      婚約者候補として参加を許されたにも関わらず
      とても淑女には見られぬ身なりで陛下の御前に立ち、
      そこでも醜態を晒して強制的にここへ帰宅させられるなど
      ……列挙に暇がないわ!!

      よくもまぁこれだけの失態と醜態を
      この短い期間に晒してくれたものだな』

カサンドラ『そんな!失態?醜態!?
     私そんなつもりは!!』

レーギル公爵『ここに至ってよもや覚えがないなどと
      世迷言を言ってくれるなよ?
      今し方上げた失態の中でも陛下への度重なる無礼の数々。
      それだけで本来ならばその場で断罪されても
      おかしくはなかったのだぞ!!
      
      貴様がここへと戻ってこれたのはひとえに陛下の御温情。
      公爵家に対する配慮があったからなのだ!!』


バンッッ!!(デスクを強く叩きつける音)

カサンドラ『……ヒッッ!』


レーギル公爵『可哀想なサン……(公爵の妻・サンティアナの愛称)。
      貴様が娼婦の如き淫らな身なりで帰宅し、
      あまつさえ貴様を連れてきた陛下の使いから話を聞くや
      私に泣いて謝り体調を崩して寝込んでしまったわ!!
      ー…貴様のせいで我が家の品位は地の底まで落ちたわ!
      この、恥知らずめ。
      本当に礼儀や恥というものを理解しているというのなら!
      ……床に頭を擦り付けて謝罪の一つもして然るべきであろうが!』

カサンドラ『……っ!しょ、娼婦の如きとは
     言い過ぎではございませんかお父様!?
     あのドレスは陛下に気に入って頂こうと私が厳選して…』

レーギル公爵『ここまで言っても気にするのはそこ、か。
      実の母は倒れ、私もこれから改めて陛下へ
      謝罪をしに参内せねばならんというに…。
      それもこれも、貴様が犯した失態の為に!!

      ………最早、親子の情も尽きたわ。
      精々修道院にて、
      その甘え切った考えを矯正して残りの人生を過ごすことだな』

カサンドラ『嫌……嫌ですわ!!修道院行きなど!!
     それになんて……!?
     一時的な処置ではないのですか!!?』

レーギル公爵『……貴様に僅かでも反省の態度があったなら、
      そうしていただろうな。が、
      もうその気も失せた』


コンコン……ガチャ(ノック音と扉が開く音)

執事『失礼致します旦那様。
  ……旦那様用の馬車と修道院行きの馬車、
  二台とも準備が整いましてございます』

カサンドラ『ー……え?』


レーギル公爵『ご苦労、すぐ行く。
      ……手を煩わせてすまないが、此奴を馬車に乗せてくれるか』

執事『……御意』

カサンドラ『待って……待って下さいお父さ』


レーギル公爵『ー…ああ、言い忘れるところであったな。
      修道院に入ったその瞬間から貴様とは親子の縁も切らせてもらう。
      …これより後、二度と公爵の家名を語ることも、
      ここへ姿を見せることも許さん、決してな!

      ………………連れて行け』

執事『はっ!!
  ……お嬢様、大人しくこちらへ』

カサンドラ『っ何を勝手に触れているの無礼者!!
     嫌よっ助けてお父様!!嫌ぁぁぁぁー…………』


ずるずる………バタン(なにかが引きずられ、扉が閉まる音)




レーギル公爵『…………』




キィィィ………(ゆっくりと扉が開く音)

サンティアナ『……あなた……あの子は、行ったの……?』

レーギル公爵『サン!!……ああ、今し方行ったよ。
      さ、まだ本調子には程遠いのであろう?
      もう少し部屋で休んでいるといい』


サンティアナ『ええ……そうさせてもらいますわ』



キィィィ………パタン(ゆっくりと扉が閉まる音)




レーギル公爵『ー……さて、私も参内するとしようか……。
      …陛下には合わせる顔もないな……』



その日、公爵家の紋章付きの馬車と簡素な馬車、
二台の馬車が時を置かずして密かに公爵家から走り出たのだったー。


      
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。 ※※※※※※※※※※※※※ 魔族 vs 人間。 冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。 名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。 人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。 そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。 ※※※※※※※※※※※※※ 短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。 お付き合い頂けたら嬉しいです!

生まれたときから今日まで無かったことにしてください。

はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。 物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。 週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。 当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。 家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。 でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。 家族の中心は姉だから。 決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。 ………… 処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。 本編完結。 番外編数話続きます。 続編(2章) 『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。 そちらもよろしくお願いします。

ゼラニウムの花束をあなたに

ごろごろみかん。
恋愛
リリネリア・ブライシフィックは八歳のあの日に死んだ。死んだこととされたのだ。リリネリアであった彼女はあの絶望を忘れはしない。 じわじわと壊れていったリリネリアはある日、自身の元婚約者だった王太子レジナルド・リームヴと再会した。 レジナルドは少し前に隣国の王女を娶ったと聞く。だけどもうリリネリアには何も関係の無い話だ。何もかもがどうでもいい。リリネリアは何も期待していない。誰にも、何にも。 二人は知らない。 国王夫妻と公爵夫妻が、良かれと思ってしたことがリリネリアを追い詰めたことに。レジナルドを絶望させたことを、彼らは知らない。 彼らが偶然再会したのは運命のいたずらなのか、ただ単純に偶然なのか。だけどリリネリアは何一つ望んでいなかったし、レジナルドは何一つ知らなかった。ただそれだけなのである。 ※タイトル変更しました

継母の心得

トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】 ※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。 山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。 治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。 不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!? 前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった! 突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。 オタクの知識を使って、子育て頑張ります!! 子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です! 番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。

死んだ日の朝に巻き戻りしました  ら、溺愛生活がリスタート?

ピコっぴ
ファンタジー
婚約者に裏切られ、家族に見限られ、絶望の中、飛び込みをした⋯⋯ ら、泳げる者は入水自殺は無理なのだと判る まして、我が血族は精霊術で名を上げた名家 水霊が私を死なせなかったし、あまりの苦しさに藻搔いて、岸に辿り着いてしまった 結局、本当のところ、死にたい訳ではなかったのだ それがわかったので、なんとか生き直そうと思った矢先、事故で死んでしまった 愚かな自分に泣けてくるけど、その涙を流す身体ももう動かない 精霊の導きであの世へ⋯⋯ と、思っていたのに、目が覚めたら、投身自殺した当日の朝に戻っていた?

継母の心得 〜 番外編 〜

トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。 【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】

【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?

氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!   気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、 「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。  しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。  なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。  そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります! ✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

window
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。 「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」 ある日ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。

処理中です...