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第二章 帝国編
閑話 退場を果たした二人(カサンドラの場合)
しおりを挟む※要望が多かったため、
閑話にて彼女達のその後を少しだけ書かせてもらいました!
あまり愉快な話ではないので、
不快な気分になりたくない方は回避して下さい( ̄^ ̄)ゞ
まずは1人目!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(カサンドラの場合)
ーレーギル公爵家・屋敷内当主の執務室ー
カサンドラ『お父様!!何故、何故私が修道院などに!!?』
レーギル公爵『……何故、と……。
お前が言うのか、サラ?』
カサンドラ『ええ言いますわ!何処に可愛い娘を修道院…
それもあんな戒律の厳しいと評判の場所に
送る親がいるというのですか!!?』
レーギル公爵『ここにいるだろうが。
はぁぁ……本当に、育て方を誤った…。
親の責としてせめてそれだけはお前に詫びねばならんな。
娘可愛さに甘やかしすぎた結果がこれでは……!』
カサンドラ『なっ、何を仰って……。
お父様、どうか考え直して下さいまし!
私はもう一度陛下にお目通りして選定をやり直してもらわねばなら』
レーギル公爵『っまだいうかッッこの愚か者め!!』
カサンドラ『ッッキャア!!』
パン!!(頬を強く叩く音)
カサンドラ『……痛いっ!叩くなど…酷いですわお父様!!』
レーギル公爵『張り手一つで何を大袈裟な。…これでも足りぬくらいだぞ!
どうやらお前、いや貴様は自分が何をしでかしたのか、
全く理解していないらしいな』
カサンドラ『………??』
レーギル公爵『……本当に、分からんようだな…。
いよいよもって救い難い娘だ……。
恥というものを知らずに育ってしまった貴様の残念な頭にも
理解できるよう、
分かりやすく一度だけ貴様の罪を教えてやろう』
カサンドラ『……罪?罪ですって!!?
私が一体何の罪を犯したと!!』
レーギル公爵『全て、陛下の使いの者らから話は聞いているとも。
選定の為に特別に滞在を許された後宮で
侍女や後宮勤めの女官らへ暴言を吐いた罪。
その際に後宮に備えられていた花瓶や茶器など様々な備品を
故意に破損した罪。
集められた他の令嬢達へのあからさまな侮蔑と
公爵の身分を傘にきた発言の数々。
陛下の座す白磁宮へ警備の騎士に怪我を負わせて入り込み。
………陛下の執務室に許可なく入り、
好き放題に自ら話しかけた罪。
…… 他にも陛下主催の昼の交流会で、
婚約者候補として参加を許されたにも関わらず
とても淑女には見られぬ身なりで陛下の御前に立ち、
そこでも醜態を晒して強制的にここへ帰宅させられるなど
……列挙に暇がないわ!!
よくもまぁこれだけの失態と醜態を
この短い期間に晒してくれたものだな』
カサンドラ『そんな!失態?醜態!?
私そんなつもりは!!』
レーギル公爵『ここに至ってよもや覚えがないなどと
世迷言を言ってくれるなよ?
今し方上げた失態の中でも陛下への度重なる無礼の数々。
それだけで本来ならばその場で断罪されても
おかしくはなかったのだぞ!!
貴様がここへと戻ってこれたのは単に陛下の御温情。
公爵家に対する配慮があったからなのだ!!』
バンッッ!!(デスクを強く叩きつける音)
カサンドラ『……ヒッッ!』
レーギル公爵『可哀想なサン……(公爵の妻・サンティアナの愛称)。
貴様が娼婦の如き淫らな身なりで帰宅し、
あまつさえ貴様を連れてきた陛下の使いから話を聞くや
私に泣いて謝り体調を崩して寝込んでしまったわ!!
ー…貴様のせいで我が家の品位は地の底まで落ちたわ!
この、恥知らずめ。
本当に礼儀や恥というものを理解しているというのなら!
……床に頭を擦り付けて謝罪の一つもして然るべきであろうが!』
カサンドラ『……っ!しょ、娼婦の如きとは
言い過ぎではございませんかお父様!?
あのドレスは陛下に気に入って頂こうと私が厳選して…』
レーギル公爵『ここまで言っても気にするのはそこ、か。
実の母は倒れ、私もこれから改めて陛下へ
謝罪をしに参内せねばならんというに…。
それもこれも、貴様が犯した失態の為に!!
………最早、親子の情も尽きたわ。
精々修道院にて、
その甘え切った考えを矯正して残りの人生を過ごすことだな』
カサンドラ『嫌……嫌ですわ!!修道院行きなど!!
それに残りの人生なんて……!?
一時的な処置ではないのですか!!?』
レーギル公爵『……貴様に僅かでも反省の態度があったなら、
そうしていただろうな。が、
もうその気も失せた』
コンコン……ガチャ(ノック音と扉が開く音)
執事『失礼致します旦那様。
……旦那様用の馬車と修道院行きの馬車、
二台とも準備が整いましてございます』
カサンドラ『ー……え?』
レーギル公爵『ご苦労、すぐ行く。
……手を煩わせてすまないが、此奴を馬車に乗せてくれるか』
執事『……御意』
カサンドラ『待って……待って下さいお父さ』
レーギル公爵『ー…ああ、言い忘れるところであったな。
修道院に入ったその瞬間から貴様とは親子の縁も切らせてもらう。
…これより後、二度と公爵の家名を語ることも、
ここへ姿を見せることも許さん、決してな!
………………連れて行け』
執事『はっ!!
……お嬢様、大人しくこちらへ』
カサンドラ『っ何を勝手に触れているの無礼者!!
嫌よっ助けてお父様!!嫌ぁぁぁぁー…………』
ずるずる………バタン(なにかが引きずられ、扉が閉まる音)
レーギル公爵『…………』
キィィィ………(ゆっくりと扉が開く音)
サンティアナ『……あなた……あの子は、行ったの……?』
レーギル公爵『サン!!……ああ、今し方行ったよ。
さ、まだ本調子には程遠いのであろう?
もう少し部屋で休んでいるといい』
サンティアナ『ええ……そうさせてもらいますわ』
キィィィ………パタン(ゆっくりと扉が閉まる音)
レーギル公爵『ー……さて、私も参内するとしようか……。
…陛下には合わせる顔もないな……』
その日、公爵家の紋章付きの馬車と簡素な馬車、
二台の馬車が時を置かずして密かに公爵家から走り出たのだったー。
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