上 下
8 / 22

8 狼さん、暴走タイム!? ※R18※

しおりを挟む
 一年が屋上プールで水泳の授業をしたらしい。

 …つまり、疾風の裸が衆目に晒されたと同義。これは非常に由々しき事態だ。

 だが家に帰った後に唐突にインターホンを鳴らされ誰かと思いきや疾風だった時、俺は嬉しさについうっかり耳と尻尾を出して喜ぶところだった。…危ないところだった。

 …俺の家は古民家様式で、それなりに広い一軒家だ。祖父がこの地を訪れた際に購入し、以来犬狼族の若者が学校に通う為の拠点として使っている。

 …しかし、一人だと広すぎる。周囲が木々に囲まれているから安心して暮らせるのだが。

「先輩の家、落ち着きます」
「そうか?」

 えへへ、と俺の後ろをちょこちょこついて来る疾風。透けると仄かに茶色がかる髪は今濡れていて、消毒液の匂いの中に疾風本来の匂いがあって、しかし他の奴らの匂いも混じり、俺の腹の中で何かが渦巻く。

「…帰れなくしてぇな」
「ほぇ?」

 警戒心無く獣に近づいたらどうなるか、体にしっかり刻み込ませたいな。

「先輩」
「なんだ?」
「俺、今先輩ともっと一緒にいたいって気分です」

 俺の理性が一瞬切れかけた。

「…一緒にいたいじゃ済まされない体にすんぞ」
「元からそうですよ、蒼牙先輩」

 畳の上でちょこんと、俺の左隣に正座する疾風。

「…その、ぎゅーだけで、足りますか?」

 ぱーん。俺の理性が弾け飛ぶような音が聞こえた気がした。

「…後悔するなよ」

 まず疾風を押し倒す。すると、疾風の甘い匂いが一気に色濃くなった。

「せん、ぱい」

 腕を俺の体に回そうとする疾風。だがお預けだ。

「待て、疾風」
「な、なんで」

 なんでと言われてもだな。

「俺は狼だからな。獲物の食い方も荒々しいぜ?」

 そう言って、唇を強引に奪う。舌を掻き回そうとしたら、疾風は俺に全て委ねるようにされるがままにしていた。

「んぅっ、んん…くぅん…」

 びく、びく、と小刻みに跳ねる疾風の身体。少しずつその布を丁寧に剥ぐと、白くて柔らかな肌が現れる。

「せんぱいっ、俺だけとか、やだっ」
「…俺だけ?じゃぁどうされたいか言ってみろ」
「…先輩と、気持ち良くなりたい」

 疾風もどうやらその気のようだ。俺の身体を味わうように撫で、そして服を脱がしていく。…丁度俺も私服…と言っても和服だが、その構造の御陰で難なく上半身裸になった。

「それだけか?」

 少し意地悪を言ったつもりだったのだが、どうやら疾風の目は完全に本気のようだった。

「先輩と一緒に、たくさんいちゃいちゃして、たくさんセックスして、たくさん一緒にいたいっ!」

 俺に飛びこんで、顔を俺の胸に埋め、強請るように鼻を擦りつける。…こんな奴、一人にさせたら絶対他の悪い人間に食われるな、こりゃ。

「…番、なるか」

 こうなったら疾風の全部を引き受けて、囲って、存分に甘やかして、俺も甘えて、それから…

「悪い狼に騙されたお仕置きもしないとな?」
「ふぇ?」
「覚悟しろよ。俺みたいな奴と番になるのがどういうことか」

 番を番たらしめるための、雄の証が疼く。
 早く、早く犯させろ、と身体中が求める。

「まずはこれだ」

 俺の雄を解放する。興奮で満たされて隆起してはいるが、それでもまだ限界には程遠い。

「…大きい…そんな」
「最初は無理しないでいい。口でご奉仕だ、疾風」
「…先輩の、チンポ…」

 可愛らしいキスをするように奉仕を始める疾風。
 先端。裏筋。瘤。丁寧に甘く優しい奉仕は、俺の興奮を高めていく。

「蒼牙、先輩…きもち、いい…?」
「…上手いぞ、疾風」

 ご褒美に頭を撫でると、きゅぅん、と鳴く疾風。これではどちらが犬なのやら。

「よしいい子だ」
「あっ、待って、まだ全部やってな―――」
「よしよしいい子」
「あんっ」

 俺の上で腰を振って悦ぶ疾風。背中を、尻を撫でると俺に体を委ねて、快楽を享受していく。

「それでいい」
「んぁっ…ふわぁぁっ」

 まだ誰にも犯されていないであろう、桃色の乳首を唇でつまみ、吸い上げると上体を反らして、可愛い声で鳴く。

「可愛いぜ、疾風」
「せんぱいっ、しゅきっ、だいしゅきっ、もっと、もっとぉ」

 どうやら興奮による先走りでとうとうパンツが使い物にならなくなっているようだ。…窮屈そうだから脱がして後で洗濯だな。

「…こんなに濡らして、悪い子だなァ?」

 試しに濡れた疾風のパンツの染みに触れ、人差し指で掬い、親指と重ね合わせ、そして離す。
 透明な糸が出来上がった。つまり、前戯だけで相当興奮して仕方ない、ということの証だ。

「あっ…だめっ…せんぱいっ…ひぁんっ」

 瑞々しい果実のような尻を軽く叩くと、それはそれはいい声で喘ぐ疾風。

「あと九回。このお仕置きに耐えたらご褒美だ」
「は、はい…」

 ぺしん、ぱしん。右と左の尻を交互に軽く叩く。全力では壊れてしまうだろう。だから軽く。
 …嗚呼、疾風。早く俺の所に来い。

「あんっ、ひゃんっ、あっ、いたっ、あぅぅっ」

 紅く熟れていく。その度に俺の体に顔を埋めて甘えてくる疾風に俺は興奮していた。

「…十回、終わったぞ。よく耐えたな」
「…おおかみ、さん」

 可愛い。潤んだ瞳から零れる涙も愛おしい。そっと尻尾で腫れた尻を一撫ですると、こいつ、上り詰めていくような声を出し、そして、びくん、と体を強く跳ねた。

「ほー?」
「ごめ、なさ、あぁっ!!」

 どうやら俺の尻尾の一撫ででイったようだ。

「ご褒美はまだなんだぞ?」
「俺、狼さんの、全部が、ごほーび、」

 無理をし過ぎたのか、言い切る前に俺の上ですやすやと寝息を立てる疾風。そっと抱き締めると、くぅん、という声で応えてくる。

「早く、交尾してェよ。俺は」

 眠る疾風の身を綺麗にして布団を用意して…というのは大変だが、悪くはない。

 …穢れの無い、とは、こいつのことだろう、とは思う。それを、こんなに穢しているのは、間違いなく俺だ。

「…つか、畳、どうすっかな」

 疾風が粗相した畳。掃除と手入れと消臭、これまた厄介事が増えた気がする。

―――――

 今日は先輩の家に招待された日。そんなわけで食材を大量に持って行ったら、そこは古き良き家だった。…しかも先輩が和服!!最高!!鎖骨と胸の谷間は是非隠して下さい全人類が絶頂しますっ!!

 …とまぁ、俺は大暴走状態だったんだけど。

 どうやら先輩も同じだったみたいで。押し倒されました。
 そして、お尻を叩かれてじんじんするところに先輩のもふもふ尻尾がふわっと触れた瞬間、俺の股間が爆発しちゃったみたいです。…俺、女の子だったらよかったなぁ。そしたら、先輩と俺の赤ちゃんも夢じゃなかったのに。あと、先輩にも赤ちゃんにもおっぱいあげられるし。…男同士って、切ないなぁ。

 …でも、なんでこんなに胸がきゅーってなって、ぞくぞくするんだろう。
 寝てる間も体が熱くて、先輩がいなくなると不安で、寂しい…
 遠くで雨の音がする。屋根と地面を打つ雨粒の音。あと、葉っぱ。凄く大好きな音楽。

 先輩が俺の事好きだって思ってくれてる今が大好き。
 先輩が大好きっていうエネルギーだけでも生きて行けそう。

 …思ったより早く目が覚めた。ほんのり暗くて、雨の音がちょっとだけ切ない。
 …けど、俺は幸せだよ。幸せの形、多分皆が求めるものと違う気がするけれど。俺、先輩にたくさん大好きって言いたいな。目指せ、世界新記録。

「…んぅ」

 ぼんやり。お尻とチンポがまだひりひりしてる。下半身鍛えないと、またバテそうだぁ。

「…あ、ごはん作ろう」

 今日は富貴鳥。別名、乞食鳥。オーブンでもそこそこいい感じに焼けるから、ちょっと頑張ってみようかな?野菜は…そうだなぁ、野菜たっぷり中華風スープにしようかな?
 それから、明日はお弁当も一緒に作ってみようかな…

「疾風」
「狼さん」

 あ、史上最強のイケメンが現れた。崩した着流し姿が最上級レベルの魅力を引き出している。

「体、大丈夫か?」
「だいじょーぶです。今日も夕飯作りますね」
「そうか」
「ぎゅーってして貰ってからにしようかな」
「分かった。来い、疾風」

 そんな簡単に「来い」なんて言わないで。
 雨の音が聞こえなくなるくらい、先輩が欲しくなるから。
 でも今は。ちゃんとこうしてたいな。

 …俺女の子だ、気分が主に。
 というか、俺、先輩の特大チンポ受け入れてない…本番まで行ってない…てかあれ、何処に入れるの…?俺のお尻…?これは俺、先輩のお嫁さん(候補)としてどうにか頑張らないといけない奴ですかね…?

 あ、今先輩、俺の匂い嗅いでる。尻尾ぱたぱたさせてる音聞こえる。心臓の音もちゃんと聞こえる。…先輩。大好き。

―――――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

【第1部完結】佐藤は汐見と〜7年越しの片想い拗らせリーマンラブ〜

有島
BL
◆社会人+ドシリアス+ヒューマンドラマなアラサー社会人同士のリアル現代ドラマ風BL(MensLove)  甘いハーフのような顔で社内1のナンバーワン営業の美形、佐藤甘冶(さとうかんじ/31)と、純国産和風塩顔の開発部に所属する汐見潮(しおみうしお/33)は同じ会社の異なる部署に在籍している。  ある時をきっかけに【佐藤=砂糖】と【汐見=塩】のコンビ名を頂き、仲の良い同僚として、親友として交流しているが、社内一の独身美形モテ男・佐藤は汐見に長く片想いをしていた。  しかし、その汐見が一昨年、結婚してしまう。  佐藤は断ち切れない想いを胸に秘めたまま、ただの同僚として汐見と一緒にいられる道を選んだが、その矢先、汐見の妻に絡んだとある事件が起きて…… ※諸々は『表紙+注意書き』をご覧ください<(_ _)>

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

つぎはぎのよる

伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。 同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。

処理中です...