7 / 22
7 狼さん、天然(素材100%)ですか?
しおりを挟む
夏。それは地獄の始まり。
特に狼さん…いや、犬狼族にとっては最悪の季節なようで。
「暑い…鼻が曲がる…」
「先輩、意味が分からなくなってます」
屋上で大の字に寝そべってる先輩。尻尾も耳もだらーん、としてる。
「暑いのは自然の摂理だからまだいい、いいんだ。だが、夏になると異常なまでに強い匂いが教室に溜まるのが気に食わん」
「そっか、汗拭きシートとか制汗剤とかの匂い、先輩には相当きついですよね。やっぱり嗅覚がいいんですか?」
「…特に敏感な奴は山奥に離れていても人間の集落から放たれる匂いに気付く奴もいる。」
夏場はとにかく嫌なんだよ、と愚痴を零しつつ起き上がる先輩。胸元を大きくはだけさせてぱたぱたと襟元をつまんで風を起こそうとしている。
…あの。すっごくエロいです。
大胸筋で作り上げられた谷間がなんとも言えません。喉仏のラインも男らしくて、それでいて艶やかな肌は、遠目に見てもモデルか俳優か、と勘違いしてしまう程に様になってる。滴る汗で更に色気が醸しだされてて、俺、凄くドキドキしてます!!
「お前さ」
「ふぁいっ!?」
唐突に起き上がって顔を俺の首筋に近づけて、匂いを嗅いできた。えっ、俺そんなに匂いきついかな…後でシャワー浴びたい、それかお風呂…。
「香水とかはやめとけよ」
「えっ」
なんで、と言われる前に抱き寄せられた。
「俺がマーキングするから」
耳元で甘い低音が俺のモノ宣言。最初からもう既に先輩のモノですけどね。俺。
「俺も、先輩の匂いが欲しいです」
「はっ、そうかよ」
不敵な笑みを浮かべて俺を撫でる先輩。全てが尊くて好き。
「つかお前さ、何か途中で果物でも食ったのか?」
「んむ、今日はデザート食べてないですよ」
「…そうか。」
どうしたんだろう。先輩も果物食べたいのかな?
…果物を美味しく食べる先輩。きっと天然記念物ものかも。
いや、いっそ国宝がいい。こんなイケメンな人他にいないし。
多分俺、先輩の野性的で穏やかな匂いにやられてるのかも。
人工物じゃないよね?天然素材100%の本物だよね?
―――――
暑さに脳がやられてきたのか、唯一、疾風の匂いが救いだった。
ふわりと薫る甘い香り。木の実を頬張る小動物のような、とも思う。ただ一つ、俺が傍にいるとその匂いを強めて俺に飛び込んで、先輩、先輩、とじゃれついてくるのだから始末に負えない。
「(可愛い)」
本当は、汗の匂いが酷いからあまりくっついて欲しくないのだが。こいつはとことん俺を堪能しようと顔を埋め、腕を俺の背中に回し、全身で幸せを伝えてくる。こんなところで発情するのは絶対に避けたいのに、それを許してくれない。隙あらば俺に一線を越えたことを強請る。
…悪い子犬にはしっかり躾けをしないとならないが。生憎俺も悪い狼だ。成り行きを見守りつつ、頃合いを計って美味しく頂こう。
「(早く、こいつと結ばれたい)」
しかし、随分こいつにとっての俺の理想が高い気がする。俺はそこまで綺麗な生き方してないというのにな。
だが、望まれるならそれでいい。俺も応えるまでだ。
「疾風」
「蒼牙先輩?」
「俺が間違えても、笑って許してくれるよな」
「勿論ですよ、先輩」
これじゃぁ、間違えてくれ、と言わんばかりじゃないか。俺も、夏の暑さに随分とやられているようだ。
…いや、春の陽気の時点でこうなることは決まっていたのだろうか。
―――――
その頃屋上の扉に隠れて観察してた人達は。
「うわ、相変わらずいちゃついてるよ」
「いやぁ、邪魔しちゃ悪いなあれ」
「でもさ、この調子じゃ一生あのままじゃない?」
「もうセックスしてるだろあの表情。」
「つか、ツッコミ入れなくていいのか?」
「へ?何が?」
「…屋上、もうすぐプール開きで掃除するってさ」
「それもそーだね」
「じゃ、せーのっ」
「「「いつまでいちゃついてるんだはよ帰れお前らッ!!!!!」」」
特に狼さん…いや、犬狼族にとっては最悪の季節なようで。
「暑い…鼻が曲がる…」
「先輩、意味が分からなくなってます」
屋上で大の字に寝そべってる先輩。尻尾も耳もだらーん、としてる。
「暑いのは自然の摂理だからまだいい、いいんだ。だが、夏になると異常なまでに強い匂いが教室に溜まるのが気に食わん」
「そっか、汗拭きシートとか制汗剤とかの匂い、先輩には相当きついですよね。やっぱり嗅覚がいいんですか?」
「…特に敏感な奴は山奥に離れていても人間の集落から放たれる匂いに気付く奴もいる。」
夏場はとにかく嫌なんだよ、と愚痴を零しつつ起き上がる先輩。胸元を大きくはだけさせてぱたぱたと襟元をつまんで風を起こそうとしている。
…あの。すっごくエロいです。
大胸筋で作り上げられた谷間がなんとも言えません。喉仏のラインも男らしくて、それでいて艶やかな肌は、遠目に見てもモデルか俳優か、と勘違いしてしまう程に様になってる。滴る汗で更に色気が醸しだされてて、俺、凄くドキドキしてます!!
「お前さ」
「ふぁいっ!?」
唐突に起き上がって顔を俺の首筋に近づけて、匂いを嗅いできた。えっ、俺そんなに匂いきついかな…後でシャワー浴びたい、それかお風呂…。
「香水とかはやめとけよ」
「えっ」
なんで、と言われる前に抱き寄せられた。
「俺がマーキングするから」
耳元で甘い低音が俺のモノ宣言。最初からもう既に先輩のモノですけどね。俺。
「俺も、先輩の匂いが欲しいです」
「はっ、そうかよ」
不敵な笑みを浮かべて俺を撫でる先輩。全てが尊くて好き。
「つかお前さ、何か途中で果物でも食ったのか?」
「んむ、今日はデザート食べてないですよ」
「…そうか。」
どうしたんだろう。先輩も果物食べたいのかな?
…果物を美味しく食べる先輩。きっと天然記念物ものかも。
いや、いっそ国宝がいい。こんなイケメンな人他にいないし。
多分俺、先輩の野性的で穏やかな匂いにやられてるのかも。
人工物じゃないよね?天然素材100%の本物だよね?
―――――
暑さに脳がやられてきたのか、唯一、疾風の匂いが救いだった。
ふわりと薫る甘い香り。木の実を頬張る小動物のような、とも思う。ただ一つ、俺が傍にいるとその匂いを強めて俺に飛び込んで、先輩、先輩、とじゃれついてくるのだから始末に負えない。
「(可愛い)」
本当は、汗の匂いが酷いからあまりくっついて欲しくないのだが。こいつはとことん俺を堪能しようと顔を埋め、腕を俺の背中に回し、全身で幸せを伝えてくる。こんなところで発情するのは絶対に避けたいのに、それを許してくれない。隙あらば俺に一線を越えたことを強請る。
…悪い子犬にはしっかり躾けをしないとならないが。生憎俺も悪い狼だ。成り行きを見守りつつ、頃合いを計って美味しく頂こう。
「(早く、こいつと結ばれたい)」
しかし、随分こいつにとっての俺の理想が高い気がする。俺はそこまで綺麗な生き方してないというのにな。
だが、望まれるならそれでいい。俺も応えるまでだ。
「疾風」
「蒼牙先輩?」
「俺が間違えても、笑って許してくれるよな」
「勿論ですよ、先輩」
これじゃぁ、間違えてくれ、と言わんばかりじゃないか。俺も、夏の暑さに随分とやられているようだ。
…いや、春の陽気の時点でこうなることは決まっていたのだろうか。
―――――
その頃屋上の扉に隠れて観察してた人達は。
「うわ、相変わらずいちゃついてるよ」
「いやぁ、邪魔しちゃ悪いなあれ」
「でもさ、この調子じゃ一生あのままじゃない?」
「もうセックスしてるだろあの表情。」
「つか、ツッコミ入れなくていいのか?」
「へ?何が?」
「…屋上、もうすぐプール開きで掃除するってさ」
「それもそーだね」
「じゃ、せーのっ」
「「「いつまでいちゃついてるんだはよ帰れお前らッ!!!!!」」」
1
お気に入りに追加
324
あなたにおすすめの小説
俺は成人してるんだが!?~長命種たちが赤子扱いしてくるが本当に勘弁してほしい~
アイミノ
BL
ブラック企業に務める社畜である鹿野は、ある日突然異世界転移してしまう。転移した先は森のなか、食べる物もなく空腹で途方に暮れているところをエルフの青年に助けられる。
これは長命種ばかりの異世界で、主人公が行く先々「まだ赤子じゃないか!」と言われるのがお決まりになる、少し変わった異世界物語です。
※BLですがR指定のエッチなシーンはありません、ただ主人公が過剰なくらい可愛がられ、尚且つ主人公や他の登場人物にもカップリングが含まれるため、念の為R15としました。
初投稿ですので至らぬ点が多かったら申し訳ないです。
投稿頻度は亀並です。
俺の顔が美しすぎるので異世界の森でオオカミとクマから貞操を狙われて困る。
篠崎笙
BL
山中深月は美しすぎる高校生。いきなり異世界に跳ばされ、オオカミとクマ、2人の獣人から求婚され、自分の子を産めと要求されるが……
※ハッピーエンドではありません。
※攻2人と最後までしますが3Pはなし。
※妊娠・出産(卵)しますが、詳細な描写はありません。
もふもふ好きにはたまらない世界でオレだけのもふもふを見つけるよ。
サクラギ
BL
ユートは人族。来年成人を迎える17歳。獣人がいっぱいの世界で頑張ってるよ。成人を迎えたら大好きなもふもふ彼氏と一緒に暮らすのが夢なんだ。でも人族の男の子は嫌われてる。ほんとうに恋人なんてできるのかな?
R18 ※ エッチなページに付けます。
他に暴力表現ありです。
可愛いお話にしようと思って書きました。途中で苦しめてますが、ハッピーエンドです。
よろしくお願いします。
全62話
俺の伴侶はどこにいる〜ゼロから始める領地改革 家臣なしとか意味分からん〜
琴音
BL
俺はなんでも適当にこなせる器用貧乏なために、逆に何にも打ち込めず二十歳になった。成人後五年、その間に番も見つけられずとうとう父上静かにぶちギレ。ならばと城にいても楽しくないし?番はほっとくと適当にの未来しかない。そんな時に勝手に見合いをぶち込まれ、逃げた。が、間抜けな俺は騎獣から落ちたようで自分から城に帰還状態。
ならば兄弟は優秀、俺次男!未開の地と化した領地を復活させてみようじゃないか!やる気になったはいいが………
ゆるゆる〜の未来の大陸南の猫族の小国のお話です。全く別の話でエリオスが領地開発に奮闘します。世界も先に進み状況の変化も。番も探しつつ……
世界はドナシアン王国建国より百年以上過ぎ、大陸はイアサント王国がまったりと支配する世界になっている。どの国もこの大陸の気質に合った獣人らしい生き方が出来る優しい世界で北から南の行き来も楽に出来る。農民すら才覚さえあれば商人にもなれるのだ。
気候は温暖で最南以外は砂漠もなく、過ごしやすく農家には適している。そして、この百年で獣人でも魅力を持つようになる。エリオス世代は魔力があるのが当たり前に過ごしている。
そんな世界に住むエリオスはどうやって領地を自分好みに開拓出来るのか。
※この物語だけで楽しめるようになっています。よろしくお願いします。
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる