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 リュカは、自分の赤らんだ顔をリズに見せたくなくて、片手の甲で隠し、ふいっと、横を向いた。

でも、またすぐにリズの様子をを伺うようにチラリと視線をリズに戻す。リズはそんなリュカの反応に益々、瞳を輝かせた。

(リュカさんってば、何でもできて、背も高くて大人っぽくて、こういうの慣れてるって思ってたけど、もしかして、ものすごい照れ屋さんなのでは!?)

リズはもう少しリュカをからかいたくて、チョンッと、リュカの手を触ってみた。リュカは、明らかにびくっと、したが、今度は逃げるどころか、食い付かんばかりの速さで、リズの手をぐいっと掴んだ。

「なんなんすか、さっきから、リズは、あんまり俺に不用意に触ると」

そう言うと、かぱっと口を開けて

「食っちゃいますよ」

と、リズの指先をぱくっと咥えた。

「ひゃわっ!!ダメです、食べないで」
「ハハッ」

「リュカさんのバカ」

眉根を下げて、睨んだつもりが、体格差が有りすぎて、下から上目遣いで見詰めてるだけになる。

リュカは、掴んだ指先に、今度はちゅと、キスをした。

「わかってんすか?俺があんたの事、好きだって、かぶりつきたいくらい、好きだって」

「はわわっ」

「解ってないなら、あんまり刺激しないでくださいよ、俺、反撃は得意なんで、ついやり過ぎちゃうかも」

ぐいっと、手を引かれ、腰を抱き寄せられた。リュカの胸にすぽっと、収まって、リズは迂闊な行動を後悔した。

「ううっ、あんまり、いじめないでください」
「んーー、へいへい」

「もう、触らないから、離して下さいってば」
「んーーー、どうしようかな」

「リュカさん、僕だって反撃しますよ」
「へぇ、何をしてくれるんすか?」

「えっと……んんっ、ちゅ」

リュカの胸の上に、リズは自分の唇を軽く押し付けた。押し付けたは良いが、耳まで赤くなってしまって、恥ずかしくて顔を上げられない。

「あーーーやばい、やられた、ハハッ、これは心臓もたない、はーーーリズ」

ぎゅっと、抱き締められ、リュカの吐息が耳にかかる。

「かわい」

ぽそっと、かすれた声で囁かれ、リズは益々顔を上げられなくなった。

しばらく、リュカはリズの自由を奪っていたが、満足したのか、するっと、腕を解いた。

「さ、そろそろ宿に戻るか」
「はぃ」

手を繋ぎ直す、リュカの手は、いつも剣を振り回しているからだろうか、大きくて固くて、長い指先はひんやりとしていた。リズの薬剤で荒れた手を、大切そうに、柔らかく握る。

「手、痛くない?」
「痛くないですよ」

自分の力加減が、少しでもリズを傷つけないように、今度はリュカにしては、ずいぶんとゆっくりと歩調を緩め、二人は寄り添い、歩いた。

その時、上空から、キューーーンという、甲高い声が聞こえて、夜空を見上げると、大きな鷲が、リュカ目掛けて急降下してきた。

「わぁっ!!」
「どうした、リズ」
「え、鷹が……」

鷹に向かってリズと呼んだリュカが、一瞬目を游がせ、腕に停まった鷹に視線を戻した。

鷹の足についた、小さな文入れから、紙を取り出しサッと読むと、その文をぎゅっと、握りしめた。

「リズ、ごめんちょっと急いで宿に戻ろう」
「え、どうしたんですか、この鷹はいったい」

「こいつは、俺の鷹、手紙を運んだり、色々役に立ってくれる」

「へぇ、お利口さんなんですね」

リュカの肩でバサバサと羽を整えた鷹は、まん丸の金色目でリズを一瞬みて、すぐにリュカに餌を催促する。

「悪いな、いま何もないんだ、後でやるから」

鷹はがっかりした様で、それが可愛らしく、リズはクスッと笑った。












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