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その晩は戦勝宴が開かれ、オアシスはおおにぎわいとなった。リズと共に酒場に入ってきた主役のリュカには人が群がり、リズはリズで、羽目を外しすぎた人達の介抱に駆り出され、せっかく両想いになったのに、ゆっくりもできず、離れて、だが、お互いにチラチラと視線を交わす。
リュカはコップに注がれた酒をグビッと飲みながら、隣に座っているモーガンに問いかけた。
「なぁ、リズをどう思う?」
「ど、どうとは、あの将軍飲み過ぎでは」
モーガンは、リュカに水を勧めようと、手に持っている酒と水を変えようとしていた。だが、リュカは煩わしそうに、ぴっぴっと手を振った。
「いらん、俺は酔わん、なぁ、リズさぁ、可愛すぎるだろ」
「あぁ……はぃ」
「お前、まさかリズのこと」
「あ、モーガンは完全にリズさんの眼中にないですから、安心してください、リズさんは、将軍のことしか好きじゃないですよ」
慌てた様子で、割ってはいったのは、空気を常に読むホフマン副団長だ。ホフマンのリュカしか好きじゃない発言に、リュカは、ガンッと、机に頭をぶつけた。
「ちょ!!大丈夫ですか」
「大丈夫だ、そうなんだよ、あいつ、俺の事しか、フッ、ハーーーフフン、好きじゃないとか言うんだよな、ハハッ」
「ダメだこの人、片思いが長過ぎて、両想いになったとたんダメになる人だ」
ホフマンがため息を吐く。まぁ、解らんでもない、10年もの間、片想いで、なおかつ、許嫁でありながら、結婚を望まないであろう相手のことを、ひたすら守ってきたのだ。それが、突然両想いになるなんて、おかしくなっても仕方ない。
そもそも、べらぼうに強いから忘れがちだが、まだ18歳の若者なのだ。軍の上層部なんて、お堅い中堅おじさま騎士しか居ないだろうし、もしかしたら、リュカは、同世代とこんな恋愛話をしたことが無いのかもしれない。
「不憫萌えしてきました……リュカ将軍、こらからはリズさんとお幸せに」
「いやもう、俺はもう、幸せなんだよ、むしろ幸せ過ぎてこぇぇ、あんな、可愛すぎるリズが、俺の番とか、やばいだろ、あーーー俺以外の男みんな消えろとさえ思う」
「恐いな、嫌な酔い方する人だな」
「で、あの、ご結婚はいつとか決まってるんですか?」
もともと立場上は許嫁なのだし、結婚をすぐしても良いように思うが、家柄が良すぎて直ぐにできるものでもないのだろう。
「あぁ、まず、両家と、王家の許可がいるからまだ時間がかかる、もう俺はリズさえいればいいから、他は縁切っても良いんだが、リズはさ、優しいからな、ちゃんとしたいだろうし」
「いやそんな、急に将軍が居なくなったら国防的にヤバイですから、そこは縁切らないでくださいよ」
アセアセと、モーガンとホフマンは、リュカを落ち着かせようとする、本当にリズだけを担いで、オアシスから直ぐに出ていってしまいそうで肝が冷える。そんなことになったらドラクロンと国境付近でドンパチやってる最前線はどうなることか。
「リズさんの為にも、落ち着いて」
「そうだな、それもそ……ちっ」
突然ガタンっと、リュカは立ち上がり、ズンズンと歩いたかと思うと、酔っぱらってリズの腕を掴んだ男の胸元をグッと突然締め上げた。男が中に浮く。
「ぎゃぁっーー!!」
「り、リュカさんっ!!」
「俺のリズに何触って」
「俺のリズ!!」
リズが、リュカの言葉に真っ赤になる、それを見たリュカも、ハッとして、カカカカっと真っ赤になった。
「ぐるしいぃぃ、離っ……し」
「あ、あの、リュカさん、あの」
「……リズ」
もじもじしだした、2人に、もがく1人。慌てて、モーガンが、リュカが片手で締め上げている男を助けようと、男を抱き抱えた。
「将軍っ、こいつは俺が叱っとくから、リズさんと屋台でも見てきたらどうです?さ、リズさんもそんな働いてばかりいないで」
「……」
「……」
「……リズ、行くか?」
「は、はぃ」
熟れきったトマトみたいな顔色で、二人はギクシャクと連れ添い歩きだした、リュカに関しては前も見えているのか怪しいくらいに、そこら辺の机にぶつかり、なぎ倒していく。傍迷惑もはなはなしい。
救いようがないのは、リュカのそんな行動を、机に当たっても堂々としててかっこいいと、思ってそうな許嫁。
「あの二人……ウブすぎやしませんか」
「そ、そうだな、ある意味お似合いなんだが」
首を擦りながら、見送るはめになった酔っぱらいと、モーガンは、呆然と若い二人が立ち去るのを眺めていたが、抱き合っていた事に気付き、お互い気まずく身体を離した。
「よ、酔うのもほど程にな、あと、カリル医師に触るとああなるから」
「肝に銘じます」
「皆も騒がせたな、さぁ、ここは騎士団のおごりだ、まだまだ楽しんでくれ」
モーガンが、そう言うと、わぁあっと、店の中は更に華やいだ。
「ウブ将軍にかんぱーい!!」
「可愛い許嫁にかんぱーい!!」
戦勝の宴はいつしか、リズとリュカの婚約パーティーのノリへと変わっていたことを、二人は知らない。
リュカはコップに注がれた酒をグビッと飲みながら、隣に座っているモーガンに問いかけた。
「なぁ、リズをどう思う?」
「ど、どうとは、あの将軍飲み過ぎでは」
モーガンは、リュカに水を勧めようと、手に持っている酒と水を変えようとしていた。だが、リュカは煩わしそうに、ぴっぴっと手を振った。
「いらん、俺は酔わん、なぁ、リズさぁ、可愛すぎるだろ」
「あぁ……はぃ」
「お前、まさかリズのこと」
「あ、モーガンは完全にリズさんの眼中にないですから、安心してください、リズさんは、将軍のことしか好きじゃないですよ」
慌てた様子で、割ってはいったのは、空気を常に読むホフマン副団長だ。ホフマンのリュカしか好きじゃない発言に、リュカは、ガンッと、机に頭をぶつけた。
「ちょ!!大丈夫ですか」
「大丈夫だ、そうなんだよ、あいつ、俺の事しか、フッ、ハーーーフフン、好きじゃないとか言うんだよな、ハハッ」
「ダメだこの人、片思いが長過ぎて、両想いになったとたんダメになる人だ」
ホフマンがため息を吐く。まぁ、解らんでもない、10年もの間、片想いで、なおかつ、許嫁でありながら、結婚を望まないであろう相手のことを、ひたすら守ってきたのだ。それが、突然両想いになるなんて、おかしくなっても仕方ない。
そもそも、べらぼうに強いから忘れがちだが、まだ18歳の若者なのだ。軍の上層部なんて、お堅い中堅おじさま騎士しか居ないだろうし、もしかしたら、リュカは、同世代とこんな恋愛話をしたことが無いのかもしれない。
「不憫萌えしてきました……リュカ将軍、こらからはリズさんとお幸せに」
「いやもう、俺はもう、幸せなんだよ、むしろ幸せ過ぎてこぇぇ、あんな、可愛すぎるリズが、俺の番とか、やばいだろ、あーーー俺以外の男みんな消えろとさえ思う」
「恐いな、嫌な酔い方する人だな」
「で、あの、ご結婚はいつとか決まってるんですか?」
もともと立場上は許嫁なのだし、結婚をすぐしても良いように思うが、家柄が良すぎて直ぐにできるものでもないのだろう。
「あぁ、まず、両家と、王家の許可がいるからまだ時間がかかる、もう俺はリズさえいればいいから、他は縁切っても良いんだが、リズはさ、優しいからな、ちゃんとしたいだろうし」
「いやそんな、急に将軍が居なくなったら国防的にヤバイですから、そこは縁切らないでくださいよ」
アセアセと、モーガンとホフマンは、リュカを落ち着かせようとする、本当にリズだけを担いで、オアシスから直ぐに出ていってしまいそうで肝が冷える。そんなことになったらドラクロンと国境付近でドンパチやってる最前線はどうなることか。
「リズさんの為にも、落ち着いて」
「そうだな、それもそ……ちっ」
突然ガタンっと、リュカは立ち上がり、ズンズンと歩いたかと思うと、酔っぱらってリズの腕を掴んだ男の胸元をグッと突然締め上げた。男が中に浮く。
「ぎゃぁっーー!!」
「り、リュカさんっ!!」
「俺のリズに何触って」
「俺のリズ!!」
リズが、リュカの言葉に真っ赤になる、それを見たリュカも、ハッとして、カカカカっと真っ赤になった。
「ぐるしいぃぃ、離っ……し」
「あ、あの、リュカさん、あの」
「……リズ」
もじもじしだした、2人に、もがく1人。慌てて、モーガンが、リュカが片手で締め上げている男を助けようと、男を抱き抱えた。
「将軍っ、こいつは俺が叱っとくから、リズさんと屋台でも見てきたらどうです?さ、リズさんもそんな働いてばかりいないで」
「……」
「……」
「……リズ、行くか?」
「は、はぃ」
熟れきったトマトみたいな顔色で、二人はギクシャクと連れ添い歩きだした、リュカに関しては前も見えているのか怪しいくらいに、そこら辺の机にぶつかり、なぎ倒していく。傍迷惑もはなはなしい。
救いようがないのは、リュカのそんな行動を、机に当たっても堂々としててかっこいいと、思ってそうな許嫁。
「あの二人……ウブすぎやしませんか」
「そ、そうだな、ある意味お似合いなんだが」
首を擦りながら、見送るはめになった酔っぱらいと、モーガンは、呆然と若い二人が立ち去るのを眺めていたが、抱き合っていた事に気付き、お互い気まずく身体を離した。
「よ、酔うのもほど程にな、あと、カリル医師に触るとああなるから」
「肝に銘じます」
「皆も騒がせたな、さぁ、ここは騎士団のおごりだ、まだまだ楽しんでくれ」
モーガンが、そう言うと、わぁあっと、店の中は更に華やいだ。
「ウブ将軍にかんぱーい!!」
「可愛い許嫁にかんぱーい!!」
戦勝の宴はいつしか、リズとリュカの婚約パーティーのノリへと変わっていたことを、二人は知らない。
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