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「リュカさん!!」
パァッと、蕾をつけた花が咲いたかのような、満面の笑顔で、リズが魔王に、いや、リュカに抱きついた。
「無事だったんですね、良かった、怪我は?どこも?」
「そんなことより、リズ、聞き捨てならない発言が聞こえた、あんたちょっと目を離した隙に、何てこと考えてるんすか、、まさか、第一王子の事が好きなのか!?」
《ぎゃーーー!!ダイレクトに聞いた!!》
モーガンとホフマンは、心のなかで悲鳴を上げた。できるだけ、二人を視界に入れないように、壁の隅で、もはや壁になれることを祈って、目を瞑った。関わってはいけない。
リズははさも心外そうに、首をふった、そういうことじゃないと。
「好きとかそんなこと、問題じゃないんです、妾になれるのかなれないのかが大事で」
「リズいいか、第一王子なんかやめとけ、あいつは、お前の姉に惚れてる」
「えっ!!ネェ様に!?そんな……じゃぁ、僕が妾になったら、ネェ様と寵を競うなんて、そんなの無理です」
「無理だ」
「第二王子の……」
「第二王子はまだ五歳だ、無理だ」
「第一王女」
「第一王女も、お前の姉に惚れてる」
「ね、ねぇ様………なんて事だ、流石ねぇ様モテすぎる」
《何も聞いていない、何も聞いていない、何も聞いていない、何も聞いていない》
壁ではばつぶつと念仏のように、モーガンとホフマンがお互いの手を取り合って耳が聞こえなくなることを望んでいた。王族の心の内など、知っていて良いはずがない。それにしてもカリル家よ、どうなるんだ。なぜリュカはそこまで知っているんだ、情報網やばい。
沈痛な面持ちでうつ向いたリズは、ハッとした。
「解りました、リュカさん」
「解ったすか、良かった」
「他国へ嫁ぎます、リュカさん、他国へ僕が嫁いでもついてきてくれますか?確かドラクロン王国にオメガ好きの王様が」
「うん、ちょっと待ってろ、ドラクロン王国を潰してくる、前から気に入らなかったし、丁度いい、よし、軍義をひらく」
「待ってください、リュカさん、そんなことしたら僕が王族になれないじゃないですか!!」
「なんでそんなに王族になりたいんだ」
「だって、王族にならなきゃリュカさんは雇えないって、モーガン隊長が」
「ヒィッ!!言ってません」
急に飛んできた矢を光速ではね除けるモーガン。
リュカは、リズの薬剤で荒れた手をひしっと掴んだ。
「なぁ、リズ、俺は、お前に雇われなきゃ。そばにいちゃいけないのか?」
「えっ?」
「雇えないなら、俺の番になってくれないか」
「番に……?リュカさん、見損ないました」
「「「なんでっ!?」」」
もはや、ホフマンモーガンまでもが突っ込みを入れずにはいられなかった。流れ的には絶対結ばれる流れだった。
リズは、三角の眼になって、怒っている。
「リュカさん、結婚するって言ったじゃないですか、その方はどうするんです?僕を番にして、他の人と結婚するなんて、流石に僕もそんなの良いって言うわけないじゃないですか」
「結婚はお前とだろ!!」
「えっ!!ぼ、ぼくと?え?」
「それ以外ないだろ、俺はお前のこと10年も片思いしてきて、やっと」
「10年……片思い?」
ハッと、リュカは己の口を噤んだ。よろっと、よろけ、バッと掴んでいたリズの手を離し、くるっと、向きを返ると部屋から飛び出していってしまった。
「あ!!ちょ、リュカさんっ!!ま……っ」
シンっと、部屋が静まり、おもいっきり眉を歪めたリズが、モーガンとホフマンを見つめる。
「どういうことですか?」
「「知りませんっ!!」」
二人は首がもげそうなくらい、解らないと首を横に振ることしかできなかった。
パァッと、蕾をつけた花が咲いたかのような、満面の笑顔で、リズが魔王に、いや、リュカに抱きついた。
「無事だったんですね、良かった、怪我は?どこも?」
「そんなことより、リズ、聞き捨てならない発言が聞こえた、あんたちょっと目を離した隙に、何てこと考えてるんすか、、まさか、第一王子の事が好きなのか!?」
《ぎゃーーー!!ダイレクトに聞いた!!》
モーガンとホフマンは、心のなかで悲鳴を上げた。できるだけ、二人を視界に入れないように、壁の隅で、もはや壁になれることを祈って、目を瞑った。関わってはいけない。
リズははさも心外そうに、首をふった、そういうことじゃないと。
「好きとかそんなこと、問題じゃないんです、妾になれるのかなれないのかが大事で」
「リズいいか、第一王子なんかやめとけ、あいつは、お前の姉に惚れてる」
「えっ!!ネェ様に!?そんな……じゃぁ、僕が妾になったら、ネェ様と寵を競うなんて、そんなの無理です」
「無理だ」
「第二王子の……」
「第二王子はまだ五歳だ、無理だ」
「第一王女」
「第一王女も、お前の姉に惚れてる」
「ね、ねぇ様………なんて事だ、流石ねぇ様モテすぎる」
《何も聞いていない、何も聞いていない、何も聞いていない、何も聞いていない》
壁ではばつぶつと念仏のように、モーガンとホフマンがお互いの手を取り合って耳が聞こえなくなることを望んでいた。王族の心の内など、知っていて良いはずがない。それにしてもカリル家よ、どうなるんだ。なぜリュカはそこまで知っているんだ、情報網やばい。
沈痛な面持ちでうつ向いたリズは、ハッとした。
「解りました、リュカさん」
「解ったすか、良かった」
「他国へ嫁ぎます、リュカさん、他国へ僕が嫁いでもついてきてくれますか?確かドラクロン王国にオメガ好きの王様が」
「うん、ちょっと待ってろ、ドラクロン王国を潰してくる、前から気に入らなかったし、丁度いい、よし、軍義をひらく」
「待ってください、リュカさん、そんなことしたら僕が王族になれないじゃないですか!!」
「なんでそんなに王族になりたいんだ」
「だって、王族にならなきゃリュカさんは雇えないって、モーガン隊長が」
「ヒィッ!!言ってません」
急に飛んできた矢を光速ではね除けるモーガン。
リュカは、リズの薬剤で荒れた手をひしっと掴んだ。
「なぁ、リズ、俺は、お前に雇われなきゃ。そばにいちゃいけないのか?」
「えっ?」
「雇えないなら、俺の番になってくれないか」
「番に……?リュカさん、見損ないました」
「「「なんでっ!?」」」
もはや、ホフマンモーガンまでもが突っ込みを入れずにはいられなかった。流れ的には絶対結ばれる流れだった。
リズは、三角の眼になって、怒っている。
「リュカさん、結婚するって言ったじゃないですか、その方はどうするんです?僕を番にして、他の人と結婚するなんて、流石に僕もそんなの良いって言うわけないじゃないですか」
「結婚はお前とだろ!!」
「えっ!!ぼ、ぼくと?え?」
「それ以外ないだろ、俺はお前のこと10年も片思いしてきて、やっと」
「10年……片思い?」
ハッと、リュカは己の口を噤んだ。よろっと、よろけ、バッと掴んでいたリズの手を離し、くるっと、向きを返ると部屋から飛び出していってしまった。
「あ!!ちょ、リュカさんっ!!ま……っ」
シンっと、部屋が静まり、おもいっきり眉を歪めたリズが、モーガンとホフマンを見つめる。
「どういうことですか?」
「「知りませんっ!!」」
二人は首がもげそうなくらい、解らないと首を横に振ることしかできなかった。
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