上 下
93 / 96
番外編 

ジレンマ beginning エピソード2

しおりを挟む
「ジレンマ痛いかい?」

「ばぁちゃん大丈夫だょ」

パラドックスの2階の施術室でばぁさんがジレンマに刺青を彫っていた。

念を込めらながら彫る為、精神も体力も消耗する。
17歳になったジレンマの体に彫られた呪印の刺青は体の7割ほどまで完成した。

「呪印書を解読しながらの作業だから時間かかってしまってごめんよ」

ばぁさんが言うには、呪印によって魔物を完全な呪い漬けに、封印と呪いでガチガチ状態にするというだ。

今、この痛みに耐えることはその儀式の序盤なのである。

「かぁさん、もう年なんだからあまり無理するなよ」

父さんは特先のところに品を届けるといって店を後にした。

ジレンマがこの魔物を取り込んだのは5歳の時だ。
ここパラドックスの地下室には封印された古井戸がある。

その他、江戸を守る為、主要部には同じような井戸があり同じように守人が魔物を封印しているのあった。

相良家も代々この井戸を守ってきた家系でありジレンマも後継である。
いわゆる皇族直属の守人なのだ。

ある日、パラドックスに異変が起きる。
まるで毒ガスでも充満してるような空気の重さ。父、桔平は地下にいくと扉も井戸も厳重に封鎖されていたはずだが解除されていた。

そしてそこに居たのは我が子ジレンマであった。

5歳児がそんなことできるはずがないと思ったが我が子を救いたいという気持ちが優先した。

しかし救いたくても、邪気の強さで中に入れず扉を閉じて政府に連絡をした。

即座に複数の結界師派遣されパラドックスを囲み再封印の準備が進められた。

ジレンマの事を桔平から聞き駆けつけたのか母親であった。

母「那津」は呪伝師といい、自らに呪いを取り入れて、他のものに受け渡すという特殊な人間であった。

その日は政府の依頼で極秘に取り入れていた呪いを届ける予定であったが我が子の生死に関わる事態に呪いを取り込んだままパラドックスに駆けつけてしまった。

我が子の安否を確かめる為、桔平の静止を無視してジレンマの元にいった那津。

ひと目みて状況を把握した。
井戸に封じ込めていた魔物の中で最悪なモノがジレンマに入り込んでしまっていた。

その魔物は生ける魔物としジレンマを乗っ取るところであった。

那津は取り入れていた呪いを魔物に注いだ。
そしてジレンマを救う為に自らの生命エネルギーもだ。

結界師と桔平が駆けつけた時は既に遅し那津は息絶えていた。

ジレンマの魔物は祓できないと判断した結界師はジレンマの体から魔物が出れないように護符を体中にはって呪いかかった魔物ごとジレンマの中に封印した。

魔物にどのような呪いをかけたかは那津にしかわからない。

とにかく5歳のジレンマは呪いかかった魔物と共に生きる事を受け入れたのだ。

それから12年、17歳のある日、「呪印の書」を奪われてしまう事件が起きてしまうのであった。

続く




















しおりを挟む

処理中です...