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28 嵐は笑顔でやって来る!のですわ!

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「王妃様のドレス、サイズぴったりですね!ものすごく、お似合いです……!」
「そ…そうかしら?」
「はい!とてもお美しいです!」
「それはどうかしら……」

部屋に戻ってメイド服からドレスへ着換え……ようといたしましたが。
そう!サイズが!!急に痩せてしまったからドレスが全てオーバーサイズだったのですわ!

仕方なくお母様のところへ、ドレスを貸してほしい旨書いた手紙を持たせてラルフにお使いに行かせましたわ!
ヤーナに5分で行ってこいという無理難題を押し付けられて…。
いやいやいや。お母様は別棟ですわよ?5分って…。
でもさすがラルフ!まさかのほぼ5分でしたわ!
ラルフの筋肉がいい仕事をしましたわ~!
なのにたった13秒過ぎただけでヤーナに怒られてましたわ。………なんて理不尽!
え?ラルフ?今は扉の外でへたり込んでいますわ!お疲れ様!

ラルフのことはいいとして。
改めて鏡を見れば…そこには今までの半分…いえ、3分の1くらいのわたくしが。
デブスからデブが抜けて見れるようにはなったかもしれませんが、美しい…は、言い過ぎではないかしら。
所詮、『デブス-デブ=ブス』ですわ!くぅっ。

それにしても、何がどうなってこうなったのかしら?
一瞬にして痩せるだなんて聞いたこともございませんわ!?
やはりあの時放たれた光が何か関係あるのかしら……?

………………うん。分かりませんわ!

「ヤーナ。明日にでも王国魔道士団長に話を聞けるように手配してくださる?」
「かしこまりました」

分からないならプロに聞いてみましょう!
分からないものをずっと考えていても仕方がありませんわ!
オレグ様が言うようにあれがわたくしの魔法なら、きっと魔道士団長に聞けば解決の糸口が見つかるはずですわ!

「あと、レア属性の魔法にまつわる本を集めてくださる?」
「かしこまりました」

そして自分でも学びましょう!
他力本願になるのはいけませんわ!
何事も突き詰めれば自ずと何かが見えてくるはずですわ!
う~ん!久しぶりに知識欲が沸き起こりますわぁ!興奮しますわぁ!

「……でも姫様。寝る時間も食事の時間も削っちゃ駄目ですよ?」
「も、もちろんですわ!」
「お風呂の時間もトイレの時間もですよ!?
「ト、トイレ………」

トイレの心配までされるなんて……!
一国の姫なのに!これでも姫なのに!

でも……ぐうの音も出ませんわ!?
わたくし何かに集中すると何もかも見えなくなって忘れてしまうのですわ!のめり込んでしまうのですわ!
でもでもでも、さすがにトイレの時間は忘れませんわ……たぶん。
レーナの視線が痛いですわぁ………。

「…………コホン。で、でも…やっぱり駄目ね。痩せたと言ってもお母様のドレスが少しきついですわ。まだまだ痩せなくては……って感じかしら?」

うん。話の風向きが悪いので話を変えてしまいましょう!そうしましょう!

「…………………今日のところはまぁいいでしょう」

レーナもわたくしが無理矢理話題を変えたことには気付いたようだけれど、目を瞑ってくれましたわ!優しい侍女ですわ!大好きですわ!だからそんなジト目で見るをやめてくださいまし!

「姫様は十分痩せてらっしゃいますよ」

あら、やっぱりヤーナは優しいですわ?わたくしが傷付かないように言ってくれたのですわね?
でもね?お母様のドレスは入るには入るのだけど…なんだか息苦しいのですわ!
そう話せば、ヤーナは大きなため息をひとつ。

「それを王妃様に言ってはなりませんよ?王妃様はスレンダーでらっしゃることを気に病んでますから。姫様が息苦しいのは姫様のお胸が大き……」

バァ―――――――――――――ンッ!!!!

ヤーナの声を遮り、突然扉を大きく開いて登場したのは……

「お母様!?」
「レーナちゃん!!待たせたわね!!」
「いえ、全然待ってませんわ!?」

嵐が!嵐が満面の笑みでやってきましたわ!?
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