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第8部 領地経営
第71話 貯蓄
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生活の安定と引き換えに、笑顔と自由が無くなった。
冒険者をやっている時は、生活は不安定だったけど楽しかった。
でも男爵となり収入と身分を得たことにより、今までと違い自由には出来ない。
エリアスはそう思った。
だが実際は違っていた。
【メンタルスキル】沈着冷静のレベルが上がり、魔物に対峙しても慌てることがなくなった。
だが表に出る感情も乏しくなり、何を考えているのかわからなくなったのだ。
だから妻達は不安になる。
そして不安そうな顔をした妻達を見て、エリアスも不安になる。
お互いに口に出せない、わからない事だった。
だが森に入り果物を採取し魔物を狩ることで、みんなが連携することで前の様に気持ちが一つになった。
今日はワイルドボアの他に、人に害を与えそうな魔物も倒していった。
キラービー(殺人バチ)、ポイズンスネークなどだ。
冒険者ギルドに行けば素材としては売れるが、食べ物としては売れない。
だがそれで良いと思った。
楽しかったからだ。
ヴィラーの村の北門に戻って来た。
門番は無償の当番制だと聞いている。
お土産として麻袋に、ナシ、柿、ざくろなどを入れて渡した。
すると門番さんはとても驚いていた。
これくらいのことは、してあげなくては。
俺達4人は屋敷に向かって歩いて行く。
「今日は楽しかったね。また行こう」
俺はそう言うと、みんな頷く。
「えぇ、久しぶりに楽しかったわ」
「そうね、私達にはこっちの方が合っているのかもね」
「魔力が上がっているのが分かって嬉しい」
それぞれが答える。
「ワイルドボアはどうする?俺達は解体できないからね」
「どこか冒険者ギルドがある街に行って、売るのも良いわね」
俺のストレージは、時間が経過しないのを嫁達も知っている。
「家に着いたら、みんなに話があるんだ」
俺はそう言うと、屋敷に向かった。
「どんな話?」
屋敷の入るとルイディナさんが聞いて来た。
今のテーブルに着き話を始める。
「みんな、今は楽しいかな?俺は楽しくない。男爵になり村からの、収入を充てにしている自分が居る。そして混合農業が上手くいけば、更に収入が増えると思ってた」
「何が言いたいのエリアスっち」
「今日、森で狩りをしてとても楽しかった。みんなもそうだったのでは?」
「確かに、楽しかった」
「そうね、久しぶりに体を動かしたわ」
「魔法が思った以上にきまり、魔物を倒せるからとても充実してたね」
「そこで思ったんだ。男爵なんてガラじゃなかったと。だから今まで通り冒険者をやって行こうと思うんだ。どうせ領主なんて名前だけだし」
「具体的にはどうしたいの?」
ルイディナさんが聞いてくる。
「今日みたいに森に入り、アレンの街にいた時の様に狩りや果物採取をするんだ」
「でも買い取ってくれるところは、この村にはないわよ」
「ここのヴィラーの村から南に4~6時間くらい歩くと、王都の東側にあるウォルド領に行ける。俺達なら走れば1時間くらいで着くからそこで売ろう」
「でもエリアス君。冒険者ギルドで、ただ売るだけだと安くなるわよ」
「だからオルガさん。冒険者をやるんですよ」
「また冒険者やるの、エリアスっち」
「えぇ、俺達の冒険者登録はまだ抹消されていないはずですけど、新たに登録しましょう。キングの件で騒がれるのは嫌ですから。それに人は働かないと駄目になります。まして毎日、何もせず税金だけもらって生活するなんて」
「それは、そうだけど」
「ルイディナさん。例えば俺達が冒険者の仕事をした他に、村から税収があるとしたらどうでしょうか?」
「それは凄いわ、生活に余裕ができるわ」
「みなさんが動けるうちに、稼いでおきましょう」
「それは、どういうこと。エリアス君?」
「はい、オルガさん。そ、それはいつかは子供ができるはずですから。それまでに貯えをしておこうと思いまして」
「「「 まっ、子供なんて! 」」」
3人の顔が赤くなる。
「そうね。その為にも今は貯えが必要ね」
「そうだな、私も協力しよう」
「私は魔道を極めたいから、しばらくはこのままで良いけど」
「ある程度、魔物が狩れて溜まったら、観光を兼ねてウォルドの街に行ってみましょうか?」
「楽しみです」
「良いわね」
「賛成~!」
「魔物の素材を定期的に冒険者ギルドに売れば生活できるし。肉などはこの村に卸し、この村で捌けないものは冒険者ギルドで売りしましょう」
「え~、安いと思うわよ」
「ではパメラさん。夕食に肉が出て来なくなったら、どうしますか?」
「それは肉がないと嫌かな」
「猟師も少ない様だし、肉を売らないとお店で俺達も食べられない、てことですよ」
「自分たちで狩った肉を売り、料理をしてもらい食べる、てことね」
「解体と料理を覚えますか?」
「「「 無理です! 」」」
全員が口を揃えて、俺にそう言った。
「ではワイルドボアを卸に、アルマン食堂にいきますか」
俺達は屋敷を出てアルマン食堂に向かった。
冒険者をやっている時は、生活は不安定だったけど楽しかった。
でも男爵となり収入と身分を得たことにより、今までと違い自由には出来ない。
エリアスはそう思った。
だが実際は違っていた。
【メンタルスキル】沈着冷静のレベルが上がり、魔物に対峙しても慌てることがなくなった。
だが表に出る感情も乏しくなり、何を考えているのかわからなくなったのだ。
だから妻達は不安になる。
そして不安そうな顔をした妻達を見て、エリアスも不安になる。
お互いに口に出せない、わからない事だった。
だが森に入り果物を採取し魔物を狩ることで、みんなが連携することで前の様に気持ちが一つになった。
今日はワイルドボアの他に、人に害を与えそうな魔物も倒していった。
キラービー(殺人バチ)、ポイズンスネークなどだ。
冒険者ギルドに行けば素材としては売れるが、食べ物としては売れない。
だがそれで良いと思った。
楽しかったからだ。
ヴィラーの村の北門に戻って来た。
門番は無償の当番制だと聞いている。
お土産として麻袋に、ナシ、柿、ざくろなどを入れて渡した。
すると門番さんはとても驚いていた。
これくらいのことは、してあげなくては。
俺達4人は屋敷に向かって歩いて行く。
「今日は楽しかったね。また行こう」
俺はそう言うと、みんな頷く。
「えぇ、久しぶりに楽しかったわ」
「そうね、私達にはこっちの方が合っているのかもね」
「魔力が上がっているのが分かって嬉しい」
それぞれが答える。
「ワイルドボアはどうする?俺達は解体できないからね」
「どこか冒険者ギルドがある街に行って、売るのも良いわね」
俺のストレージは、時間が経過しないのを嫁達も知っている。
「家に着いたら、みんなに話があるんだ」
俺はそう言うと、屋敷に向かった。
「どんな話?」
屋敷の入るとルイディナさんが聞いて来た。
今のテーブルに着き話を始める。
「みんな、今は楽しいかな?俺は楽しくない。男爵になり村からの、収入を充てにしている自分が居る。そして混合農業が上手くいけば、更に収入が増えると思ってた」
「何が言いたいのエリアスっち」
「今日、森で狩りをしてとても楽しかった。みんなもそうだったのでは?」
「確かに、楽しかった」
「そうね、久しぶりに体を動かしたわ」
「魔法が思った以上にきまり、魔物を倒せるからとても充実してたね」
「そこで思ったんだ。男爵なんてガラじゃなかったと。だから今まで通り冒険者をやって行こうと思うんだ。どうせ領主なんて名前だけだし」
「具体的にはどうしたいの?」
ルイディナさんが聞いてくる。
「今日みたいに森に入り、アレンの街にいた時の様に狩りや果物採取をするんだ」
「でも買い取ってくれるところは、この村にはないわよ」
「ここのヴィラーの村から南に4~6時間くらい歩くと、王都の東側にあるウォルド領に行ける。俺達なら走れば1時間くらいで着くからそこで売ろう」
「でもエリアス君。冒険者ギルドで、ただ売るだけだと安くなるわよ」
「だからオルガさん。冒険者をやるんですよ」
「また冒険者やるの、エリアスっち」
「えぇ、俺達の冒険者登録はまだ抹消されていないはずですけど、新たに登録しましょう。キングの件で騒がれるのは嫌ですから。それに人は働かないと駄目になります。まして毎日、何もせず税金だけもらって生活するなんて」
「それは、そうだけど」
「ルイディナさん。例えば俺達が冒険者の仕事をした他に、村から税収があるとしたらどうでしょうか?」
「それは凄いわ、生活に余裕ができるわ」
「みなさんが動けるうちに、稼いでおきましょう」
「それは、どういうこと。エリアス君?」
「はい、オルガさん。そ、それはいつかは子供ができるはずですから。それまでに貯えをしておこうと思いまして」
「「「 まっ、子供なんて! 」」」
3人の顔が赤くなる。
「そうね。その為にも今は貯えが必要ね」
「そうだな、私も協力しよう」
「私は魔道を極めたいから、しばらくはこのままで良いけど」
「ある程度、魔物が狩れて溜まったら、観光を兼ねてウォルドの街に行ってみましょうか?」
「楽しみです」
「良いわね」
「賛成~!」
「魔物の素材を定期的に冒険者ギルドに売れば生活できるし。肉などはこの村に卸し、この村で捌けないものは冒険者ギルドで売りしましょう」
「え~、安いと思うわよ」
「ではパメラさん。夕食に肉が出て来なくなったら、どうしますか?」
「それは肉がないと嫌かな」
「猟師も少ない様だし、肉を売らないとお店で俺達も食べられない、てことですよ」
「自分たちで狩った肉を売り、料理をしてもらい食べる、てことね」
「解体と料理を覚えますか?」
「「「 無理です! 」」」
全員が口を揃えて、俺にそう言った。
「ではワイルドボアを卸に、アルマン食堂にいきますか」
俺達は屋敷を出てアルマン食堂に向かった。
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