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第8部 領地経営

第66話 挨拶

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 アーマン村長はエリアスに聞いた、混合農業について話し始めた。

 農地の穀物を植える面積は今までの半分となり、回数は年1回から年2回となる。
 一回の収穫量は半分になるものの、その分農業が楽になる。

 開墾の手間が減り1年を通して収穫があり、それに加えカブなど根菜類が1年中収穫できることを話した。

 そして今までの収穫量の1.5倍くらいにはなると思うという事も。

「「「 な、なに。1.5倍だと!! 」」」

 その場にいた全員が口に出す。
 畑仕事をしている人達の顔役オズワルド。
 サブリーダーのラルフ、サムソン。

 農家の青年団のリーダー的な存在、フレイザー。
 
 それに商店街からは食堂のアルマンとコーネリア。

 そして鍛冶屋のジーン と、木工屋のキアランが居た。

「その話を実際にやったら仕事は楽になり収穫率が上がる、という事になるな」
「今から小麦を栽培すれば春の収穫に間に合うな」
「それにエリアス様は、凶作の時にも乗り越えやすいと言っていましたよ」
「確かに年に一度の栽培では、それが旨く行かなかったときに怖いな」

 勝手にそれそれが言い出す。

「しかしエリアス様は、どこからそんなやり方を学ばれたのかな?」
 フレイザーがポツリと言う。
「きっとエリアス様は、やんごとなき方で教養があるのよ」
 食堂のコーネリアが、やけにエリアスをかばう。
「言葉使いを聞いても庶民とは違うわ」


 そしてアーマン村長は空気を読んでけつをとる。
「では、そろそろ意見をまとめようと思う。エリアス様の農法に賛成の人は」

 ダメで元々、失う物はなにもなく全員が賛成した。

「明日の朝、皆が仕事に出る前にエリアス様が、挨拶に来るとおっしゃっていた。それまでに皆にも話しておきましょうか」

 そしてその夜は解散となった。


 朝は来た。
 今日は俺1人で寝て居た。
 この屋敷は2階に部屋が4つあり1人1部屋を割り当てた。
 今までは宿屋暮らしだったから、今までは1日おきに嫁達と寝てたけど。
 特に決めないで好きな時に一緒に寝れば良いと思う。
 俺に気を遣わず、みんなにゆっくり寝てもらいたいからね。
  一緒に寝ることが義務の様に思われたくないし。

 普段から3人には感謝の気持ちでいっぱいだ。
 でも、どうしたんだろう?
 最近、熱い気持ちがすぐに冷めて口に出なくなる。
 


 俺はベッドから起きて、1階の居間に降りた。

「お早う、エリアス君」
「お早う、エリアス」
 オルガさんとルイディナさんが、もう起きていた。
「お早う2人共、アルマン食堂で朝食を食べたら、村長の家に行かないとね」

「お早う、みんな」
 パメラさんも起きてきた。
 そして俺達は屋敷を出てアルマン食堂に向かった。


 食堂に着きドアを開けると、仕事前の人がたくさんいて混んでいた。
「いらっしゃい、エリアス君。待ってたわよ」
 コーネリアさんが迎えてくれた。
「ここが丁度、空いたわ。さあみんなで座ってね」
 俺達4人は勧められるまま椅子に座った。

「朝のメニューは1種類よ。みんな時間が無いから、早く出せるようにさ。今日はポトフだからね」
 そう言うと一度厨房に下がり、すぐにトレイに朝食を4人前載せて戻ってきた。
「はいよ、うちの食堂自慢のポトフだよ。味わって食べなよ」
 そう言いながら俺達の前に、やや深めの木の皿を置いて行った。
 木のスプーンですくい、みんなで食べ始める。

 他のお客さんを見ると20代半ばの人も居るが、比較的40~50代の人が多い。
 このままいくといずれは、高齢化社会になりそうなほど若い人が居ない。
 まずは若い人を定着させる、または呼び込むことをしないと駄目だな。
 そんなことを思いながら朝食を食べた。

「ご馳走様でした」
「あいよ、また来ておくれ」
 お金を払いアルマン食堂をでて、俺達は村長の家に向かった。

 村長の家に近づくと結構な、人だかりができていた。

「エリアス様、お早うございます」
 人だかりの中からアーマン村長が出てきた。
「お早うございます。アーマン村長」
「さあ、こちらへどうぞ」
 そう言われ俺達は中央に招かれた。

「エリアス様が考案された混合農業に、みんな賛成しております」
「それはよかったです」
「これから冬場に向かい小麦と人参と、ジャガイモを植えようと思っております」
「さっそくですか」
「ええ、早い方が収穫も早くなりますからな。それよりエリアス様。せっかくですから皆に一言挨拶をお願い致します」
 そう言われ俺は置いてあった箱に上がり、集まった人達を見渡した。
 小さく手を振っている人が居たので見ると、雑貨屋のマティさんところで寝具を譲ってくれたペニーさん、レジーナさん、フリーダさんだった。

 そして俺は上段(箱)の上からみんなに挨拶をした。

「え~、このたびの異動でヴィラーの村の領主に任命されました、エリアス・ドラード・セルベルトです。なにぶんにも新米の領主で十分に職責を果たせるかどうか、はなはだ疑問ですが私なりに一生懸命やるつもりです。今の私では力が及ばない部分もあるかと思いますが、皆様のお力添えを頂き、努力を惜しまず邁進していく覚悟でございます。3人の妻共々よろしくお願いします」
 そう言い俺は頭を下げた。

 俺はとっさに【スキル】世界の予備知識で、新任の挨拶を調べ話した。

『『『『『 シ~~ン! 』』』』』

 その場が静まりかえった。
 だ、駄目か!
 引用したのが『課長新任のあいさつ』だったからか?
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