上 下
37 / 98
第5部 終息

第37話 武器屋

しおりを挟む
 俺たちは武器屋に来ている。
 レッドキャップを倒した報酬でオルガさんには剣を、ルイディナさんには弓矢と防具を、メラさんにはローブを買うことになっていたからだ。

「おう、今日はなんだい?スタンピードの時は大活躍だったて言うじゃないか」
 武器屋のブルーノさんにからかわれる。
Miracle manミラクル マン(奇跡の人)エリアス様御用達の武器屋だ、て噂になってな。客が増えて嬉しいぜ」

 レッドキャップ討伐に参加した冒険者24人は、誰一人欠けることなく帰ってきたという事でMiracle manミラクル マンと呼ばれるようになった。
 そして人によっては、指名依頼が来るようになったりしている。
 有名になって生活が楽になった人も居るようだ。

「そんなことを言われるのも今だけですよ。今日はオルガさんの新しい剣と、ルイディナさんの弓が欲しいです」
「剣と弓だな。まずは剣だな。どんな剣が欲しいんだい?お嬢ちゃん」
「オルガです。私が欲しいのはよく切れて軽い剣です」
「よく切れて軽い剣ねぇ」

 オルガさんが使っているのはロングソードだ。
「できればエリアス君と同じ剣が良いな」
「『バスタード・ソード』か。それなら割高になるが予算があればミスリルだな」

「「「 ミスリル!! 」」」

「ミスリルなら丈夫で、よく切れて長く使えるぞ」
「お幾らくらいですか、ブルーノさん」
「そうだエリアスだから、200万てところかな」

「「「 200万!! 」」」

「駄目よ、200万なんて。高すぎるわ」
「大丈夫ですオルガさん。武器と防具はお金を惜しんだらいけませんよ」
「でも…」
「では剣はそれでお願いします」
「はいよ」

「では今度は弓ですね。ルイディナさん、実は試したい弓がありまして」
「試したいて、どんな弓なのかしら?」
「書くものありますか?こんな感じです」
「おお、あるぜ。ほれ」
 そう言いながらブルーノさんは羊皮紙をくれた。
 そして俺は簡単な図面を書いて見せた。

「なんだいこれは?」
「クロスボウと言う弓ですよ、ルイディナさん」
「クロスボウ?」
「弓の台座上に矢を入れるカートリッジを付けます。台座下のレバーを前後することで弓の弦が引かれ、矢を装着でき引き金を引くことで連射が可能となります」

「「「 連射(じゃと)!! 」」」
 みんなが一斉に驚く。

「これは凄い。弓は熟練度が必要じゃが、これならレバーを引く力があれば強力な弓兵になれる。しかも連射とは」
「連射ができるの?凄いわエリアス、これで私に怖いものはないわ」

 はい!
 実はルイディナさんは力がないので、弓の引きが甘く弓矢の威力がない。
 クロスボウの良いところは熟練度は必要なく、レバーを引く力があれば誰でも強力な弓兵になれる事さ。

 俺が加入するまで、今まで3人で良くやってこれたなと思う。

「矢は弓矢よりやや短い方が良いと思いますが」
「そうだな、それはこちらで調整しよう。クロスボウは特注だから、本当は高くなるんだが面白そうだからな。安く作ってやる。まずは弓矢50本付けて100万でどうだ」
「分かりました。それでお願いします。実はまだあります」
「ほう、なにかな」
「これです」

 そう言いながら俺はストレージからキングの魔石を出した。
 縦横10cmくらいの赤いルビーの様な奇麗な輝きだ。

「こ、これは?」
「この前、倒したキングの魔石です」

「「「 キングの魔石ですって(じゃと)!! 」」」

「はい、これでパメラさん用のワンドを作ってほしいのです。木の素材も魔法伝達の良いものをお願いします」
「あぁ、わかった。魔珠の木と言う素材なら今あるな。これなら80万だ」
「エリアスっち。わ、私にキングの魔石でワンドを作ってくれるの」
「ええ、少しでも魔力や攻撃力アップの足しになればと思いまして」
「うれし~い!大切にするわ。この大きい魔石では指輪に出来ないから、ワンドにしてくれるのね」
 いえ、違います。

 パメラさんの風魔法は威力は近距離なら良いが、少し距離が開くと弱い。
 ウインドカッターならぬ、ウインドブリーズそよかぜです。
 普通、魔法は遠距離用だからね。
 近距離で放たないから。

 いずれ命の危険がある時に身を守れないから、少しでもと思いワンドにしたんだ。
 魔力のある魔石をワンドにすると、魔力が上がるて聞いたから上がるといいけど。

「とりあえず作成に1週間はほしい。またそのころ来てくれ」



 武器を頼み俺達は武器屋を出た。
 結局、400万近使ってしまった。
 しかしそれなりの武器になるとやはり100万はする。
 武器や防具は消耗品だ。
 それに見合うだけの仕事を受けないと、防具や武器の費用で赤字になりそう。

 報酬の半分は消えた。
 今度は防具屋だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

宝くじ当選を願って氏神様にお百度参りしていたら、異世界に行き来できるようになったので、交易してみた。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」と「カクヨム」にも投稿しています。 2020年11月15日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング91位 2020年11月20日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング84位

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

処理中です...