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第20部 現世(エリアス編)
第242話 魔族の事情
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魔法攻撃が止まった。
なんだもう、終わりか。
アリッサさんとオルガさんは、俺の能力を知っているので平然としている。
エリザちゃんを見ると、よほど怖かったのだろう俺の服の裾をつまみ寄り添う。
「大丈夫だからね」
「エリアス様。怖いです、この人達…」
俺達を中心に円形状にストレージを張っており、そこから外側は魔法攻撃で大きくえぐれている。
見渡すと200人くらいの魔導士に囲まれ、そして百人単位の戦士に囲まれている。
周りの魔族達は驚愕した顔で、俺達から距離を置き始める。
すると先ほどの額に2本角と蝙蝠の様な翼を生やした男がこちらにやってきた。
「もう、終わりですか?では、では今度はこちらから行きますね!!」
俺が笑みを浮かべそう言うと、指揮官らしい男は慌てて手で制してきた。
「まっ、待ってくれ!勘違いだ。悪かった」
「なにが勘違いだ。これは宣戦布告でしょう?」
念のため、今後のためにも実力を示しておこうか。
俺は右手を上にあげ魔力を練り上げる。
先ほど食らった魔法攻撃を一斉に寄せ集め、それに俺の魔力を足し炎の魔法に変換する。
魔力はどんどん大きくなり、上空にはドームくらいの大きな炎の塊が出来ていた。
上空を見上げ魔族達は慌てふためいている。
「な、なんだ、これは?」
「こんなのを落とされたら、俺達は…」
「悪かった。本当に悪かった!だから落ち着いてくれ!!」
必死に叫ぶ指揮官の声を聴き、俺は一旦、手を止めた。
「ゆ、許してくれ。悪かった…、こちらの非を詫びよう」
「分かっていただければ良いですから」
俺はそう言いながら上空に集めていた魔力を収納した。
「まずは、話し合いをしましょう。さっ、どうぞこちらに」
指揮官は1人の男を呼び、俺達はテントの中に案内された。
「さあ、おかけください」
そう言われ簡単な木のテーブルの備え付けの椅子に座った。
急に低姿勢になる指揮官を見て、アリッサさんが呆れた顔をしている。
「先ほどは失礼いたしました。私は黄道五宮の一人プセウドテイ様の魔王軍第一遠征隊を任されている指揮官のバジムと申します」
もう1人の男も自己紹介をする。
「私は副官をしております、副官エイベルと申します。お見知りおきを」
副官のエイベルは1本角で、背中にはフサフサした鳥のよう翼が生えてた。
「私はセトラー国国主、エリアス・ドラード・セルベルト。彼女達は妻と婚約者です」
「おぉ、なんと!!国王様でしたか!!さすがにあの魔力値は普通ではないと思っておりましたが、まさか国主自らおいでとは…。しかしどうしてここに…」
「配下の者から通達があり火竜が、魔族と名乗る軍勢に倒されたと聞きましのでその真偽を確かめにきたのです」
「では、エリアス陛下は我々を、どうされたいと仰せでしょうか」
「あなた方が来るまでは、ここは誰も所有していない土地でした。そのため、魔族の方が国を興すことには意義はありません」
「そうですか、それはよかった」
「ただ、私が知りたいのは、あなた方が友好を求めているのか剣を交えるのかです」
「そ、それは勿論、友好です…」
「それは良かった。敵対するならこの場で全員を、倒さなければなりませんでした」
「ま、まさか我々は良識のある魔族ですから…。まずは話し合いから致しましょう」
それから俺達はお互いの状況や要望を話し合った。
話の内容はこうだった。
魔界はアモンと言う国王の元に、黄道五宮と言う5人の将軍が配下に控えている。
魔界は土地も枯れ作物を植えても、ろくに育ない土地柄だそうだ。
彼らは遊牧民のように季節ごとに移動と定住と移動を繰り返し、居住する場所を一年間を通じて何度か移動しながら主に牧畜を行って生活しているようだ。
国王は安定した生活を得るため、他の手段を考えた結果がこの遠征だと言う。
しかし山脈の向こうがどうなっているのか、新天地があるのかもわからない長い旅だ。
アスケル山脈は険しい山脈で、3,000人以上の兵士を指揮し越えるまでに多くの部下を失ったと言う。
そして北のシェイラ国近郊に出た時に、眠りから覚めた火竜を多くの犠牲を出しながらも倒したと言う。
だがその甲斐があり緑に囲まれた、豊かな土地が手に入ったと言うことらしい。
しかしここで問題が起きた。
彼らは遊牧民で干し肉は食料として持参しているが、穀物など食料の貯えがあまりないことだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いつも応援頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期になります。
よろしくお願いいたします。
なんだもう、終わりか。
アリッサさんとオルガさんは、俺の能力を知っているので平然としている。
エリザちゃんを見ると、よほど怖かったのだろう俺の服の裾をつまみ寄り添う。
「大丈夫だからね」
「エリアス様。怖いです、この人達…」
俺達を中心に円形状にストレージを張っており、そこから外側は魔法攻撃で大きくえぐれている。
見渡すと200人くらいの魔導士に囲まれ、そして百人単位の戦士に囲まれている。
周りの魔族達は驚愕した顔で、俺達から距離を置き始める。
すると先ほどの額に2本角と蝙蝠の様な翼を生やした男がこちらにやってきた。
「もう、終わりですか?では、では今度はこちらから行きますね!!」
俺が笑みを浮かべそう言うと、指揮官らしい男は慌てて手で制してきた。
「まっ、待ってくれ!勘違いだ。悪かった」
「なにが勘違いだ。これは宣戦布告でしょう?」
念のため、今後のためにも実力を示しておこうか。
俺は右手を上にあげ魔力を練り上げる。
先ほど食らった魔法攻撃を一斉に寄せ集め、それに俺の魔力を足し炎の魔法に変換する。
魔力はどんどん大きくなり、上空にはドームくらいの大きな炎の塊が出来ていた。
上空を見上げ魔族達は慌てふためいている。
「な、なんだ、これは?」
「こんなのを落とされたら、俺達は…」
「悪かった。本当に悪かった!だから落ち着いてくれ!!」
必死に叫ぶ指揮官の声を聴き、俺は一旦、手を止めた。
「ゆ、許してくれ。悪かった…、こちらの非を詫びよう」
「分かっていただければ良いですから」
俺はそう言いながら上空に集めていた魔力を収納した。
「まずは、話し合いをしましょう。さっ、どうぞこちらに」
指揮官は1人の男を呼び、俺達はテントの中に案内された。
「さあ、おかけください」
そう言われ簡単な木のテーブルの備え付けの椅子に座った。
急に低姿勢になる指揮官を見て、アリッサさんが呆れた顔をしている。
「先ほどは失礼いたしました。私は黄道五宮の一人プセウドテイ様の魔王軍第一遠征隊を任されている指揮官のバジムと申します」
もう1人の男も自己紹介をする。
「私は副官をしております、副官エイベルと申します。お見知りおきを」
副官のエイベルは1本角で、背中にはフサフサした鳥のよう翼が生えてた。
「私はセトラー国国主、エリアス・ドラード・セルベルト。彼女達は妻と婚約者です」
「おぉ、なんと!!国王様でしたか!!さすがにあの魔力値は普通ではないと思っておりましたが、まさか国主自らおいでとは…。しかしどうしてここに…」
「配下の者から通達があり火竜が、魔族と名乗る軍勢に倒されたと聞きましのでその真偽を確かめにきたのです」
「では、エリアス陛下は我々を、どうされたいと仰せでしょうか」
「あなた方が来るまでは、ここは誰も所有していない土地でした。そのため、魔族の方が国を興すことには意義はありません」
「そうですか、それはよかった」
「ただ、私が知りたいのは、あなた方が友好を求めているのか剣を交えるのかです」
「そ、それは勿論、友好です…」
「それは良かった。敵対するならこの場で全員を、倒さなければなりませんでした」
「ま、まさか我々は良識のある魔族ですから…。まずは話し合いから致しましょう」
それから俺達はお互いの状況や要望を話し合った。
話の内容はこうだった。
魔界はアモンと言う国王の元に、黄道五宮と言う5人の将軍が配下に控えている。
魔界は土地も枯れ作物を植えても、ろくに育ない土地柄だそうだ。
彼らは遊牧民のように季節ごとに移動と定住と移動を繰り返し、居住する場所を一年間を通じて何度か移動しながら主に牧畜を行って生活しているようだ。
国王は安定した生活を得るため、他の手段を考えた結果がこの遠征だと言う。
しかし山脈の向こうがどうなっているのか、新天地があるのかもわからない長い旅だ。
アスケル山脈は険しい山脈で、3,000人以上の兵士を指揮し越えるまでに多くの部下を失ったと言う。
そして北のシェイラ国近郊に出た時に、眠りから覚めた火竜を多くの犠牲を出しながらも倒したと言う。
だがその甲斐があり緑に囲まれた、豊かな土地が手に入ったと言うことらしい。
しかしここで問題が起きた。
彼らは遊牧民で干し肉は食料として持参しているが、穀物など食料の貯えがあまりないことだった。
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物語はまったり、のんびりと進み更新は不定期になります。
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