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第16章 今度は召喚(ビッチェ王女編)

第211話 出会い

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 俺はビッチェ王女に連れられて、騎士団の訓練場にやって来た。
 広さとしては学校のグランドくらいだ。

 そこに2階建ての建物があり中に2人で中に入った。

 ここは寄宿舎なのか入り口にはカウンターがあり、50代の白髭の男の人が居た。
「こんにちは、ガスター」
「こ、これはビッチェ王女様。どうされたのでしょうか。こんなところへお越しとは?」
「実はこちらのエリアス様に、防具と剣を貸出してほしいのです」
「このあんちゃんですか?」
「はい。実は今度、魔物討伐に行くのですが装備が無くて…」
「装備がですか?まっ、詳しいは聞かないことにしますよ」

 ガスターと言われた角刈りマッチョは俺の方を向きこう言った。
「ここは騎士団の寄宿舎だ。ここで騎士は寝起きをして訓練に励むんだ。だが防具や剣は騎士用のもので、たいしたものはないぞ」

 あぁ、やっぱり使いまわし品か。
 防具は使用済みなら臭いと嫌だな。

「こっちに来い」
 ガスターさんに言われ俺達は、奥の部屋に入った。

 むっとするような汗の臭いがする部屋に案内された。
「ここら辺が防具だな」
 そう言われ中を見てみる。

 同じような作りの防具ばかりだ。
「ライトアーマーくらいしかないからな。まあ頭、肩、胸、胴から太腿辺りまで守れるから、ちょつとした攻撃ならこれで十分だろ?」

 俺は汗臭いのを我慢して何着か試着し、サイズの合うものを見つけた。
「次は剣だな、こっちに来い」
 今度は隣の部屋に来た。

「剣はここだな、好きな物を持っていけ。まっ、ろくなものはないがな」
 
 俺はせっかくあるんだからと、鑑定を使い品定めをした。
 どの剣も粗悪品ばかりで、これが騎士団の剣なら大したことは無いと思った。

 手に取ってみても同じだった。
 そして1つだけ目につく剣があった。
 置いてあると言うよりは、立て掛けてある剣だった。

【鑑定】
  名前:クレイモア
  全長:約1.4mの大剣
  重さ:30kg
  単純に剣身を大型にした、切れ味よりも重さで叩き切る剣

「この剣はなんですか?」
「これはクレイモアと言って両手持ち用の剣だが、誰も重すぎて振ることが出来ないんだよ」
「随分前に王様がドワーフの鍛冶屋に依頼して作らせたものさ。『丈夫でドラゴンでも倒せる剣』を造るように、てな」
「へえ、見るからに丈夫そうですね」
「確かに丈夫さ。ヒヒイロカネを混ぜて作られた剣だからな。しかも誰がそんな重たい剣を、持って移動できるんだ?だから剣は出来たが、お蔵入りて訳さ」

 そんなに重いのか。
 だがなんとなく、俺なら持てる様な気がした。

「持ってみても、いいですか?」
「あぁ、持てるならな」
 上に向いた柄の部分を掴んだ。
 そして持上げる。

「お、お前。持てるのか?」
「どこかで振れるところは、ないでしょうか?」
「中庭に行こう。着いて来い」

 俺は剣を持ったまま、部屋を出た。
 そして建物から中庭に出た。

「では、いきます」
 シュッ!シュッ!シュッ!
  シュッ!シュッ!シュッ!

 上段、中段、下段と剣を振る。
 左足を引き腰を落とし、膝に力を貯めた。
 剣を抜き刀を外側に捻り、抜き放つ瞬間にそのまま刃は水平に振り抜く!

 ザァァァァァァ~!!

 手首を反らしせて柄を握り、二の太刀で首を狙う!

 ヒュン!!

 これは重さと長さと言い俺に丁度いい。

「す、凄いですわ。エリアス様」
 ビッチェ王女様が驚いている。

「あぁ、まったくだ。振れる奴がいるとは思わなかった。しかも片手とはな」
「この剣が気に入ったのですが」
「持っていけ、お前の剣だ。肩に担ぐような剣は誰も使わん、鞘は無いからな」

「はい、ありがとうございます」

 俺は礼を言って、イルゼさんと騎士団の寄宿舎を後にした。

 これでライトアーマーと剣を手に入れた。

 俺の身長は172~3cmくらいだと思う。
 剣の先を下に向け立てると、柄の部分が胸のところまでくる長さだ。
 大剣だがまるで、俺に合わせて作られたような使いやすさだった。

 ダミー用と考えていたけど、これなら十分使えそうだ。

 この世界で起こる多くの危険から、身を守ってくれる剣に出会った日だった。
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