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第16章 今度は召喚(ビッチェ王女編)

第210話 謁見

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 私はビッチェ・ディ・サバイア。
 今、国王と会うために謁見の間に来ている。

 父に冒険者ギルド設立の話をし、国王に口添えをしてもらうように頼んだ。
 当初、父は渋っていた。
 なぜなら父である王に願い事をするのが嫌だったからだ。
 無駄口を叩けばボロが出る。
 それなら会わなければ良い。
 波風立てずに大人しく日々を過ごすのが、父のモットーだからだ。

 しかしギルドを設立することで魔物に対する打開案になることが分かると了承してくれた。
 エリアス様が勇者ではなかったことを隠し、今回の謁見となった。

おもてを上げい。ビッチェ王女」
 野太い声が聞こえ顔を上げると、50歳くらいの男性が立派な椅子に座っている。

 これが国王ルーク ・ディ・サバイア。
 私の祖父。
 祖父なら個人的に部屋で会うことも可能だった。
 でもあえて謁見の間で会う事を頼んだ。
 それは周りの取り巻きや派閥に私の存在を知らしめるため。

 そして隣には70歳くらいの背筋の通った老人が立っていた。
 ガストン宰相だ。
 その左右の両側には閣僚が並んでいる。

「ビッチェ王女、皆の前で本日は大事な話があると聞いたが」
「はい、その通りでございます。サバイア国王様」
「どのような事だ」
「魔物討伐のギルド設立についてです」
「どんなことだ?」

 私は国王に冒険者ギルドの概要を話した。
「それは良い案だな。我々だけでは対応できない場合もあり、雇用先にもなる」
「はい、ありがとうございます」
「それからビッチェ王女」
「なんでしょうか国王様」
「召喚した勇者はどうだ。使えそうなのかね」
「はい、冒険者ギルドの案も彼から出たものなのです」
「彼の案だと言うなら2人で冒険者ギルドの件は取り組みなさい」
「仰せのままに」
「して、その勇者はどうしている?」
「召喚されたばかりなので、部屋で休んで頂いております」
「そうか。では明日にでも皆の前で、実力を見せてもらおうか」
「あ、明日でしょうか?」
「明日ではなにか都合が悪いのかね」
「いいえ、ではそのように伝えておきます」
「では、下がるがよい」
 そう言われ私は謁見の間を後にした。


 どうしよう?
 エリアス様は剣の心得はあると言っていたけど。
 しかしそれは個人レベルで、どれほどのものなのかは…。

 私は迷いながらもエリアス様のドアを叩く。

 トン、トン、

「どうぞ」

 中からエリアス様の声が聞こえる。
 私はドアを開け部屋の中に入った。


「これはビッチェ王女様、いかがされましたか?さあ、おかけ下さい」
「ありがとうございます。実は国王に冒険者ギルドの件を話し了承して頂きました」
「それはよかったですね!!」
「ですが実は困ったことがありまして…」
「困ったこと?どんなことでしょうか?」

「冒険者ギルド設立はエリアス様と取り組むように言われました」
「それは構いません」
「ありがとうございます。それと明日、エリアスの勇者としての実力を見たいと陛下がおっしゃいまいて…」
「そうですか。どの程度のことをお見せすればいいのか分かりませんが、剣技や魔法をお見せすればいいのでしょうか?
「それで良いと思います」

「では明日のお披露目会を楽しみにしていてください」
「はい、でも本当に大丈夫ですょうか?私、心配で…」

「大丈夫です、ビッチェ王女様。私に任せてください!!」
「エリアス様!よろしくお願いいたします」
 そう言うとビッチェ王女は俺に頭を下げた。

 あぁ、そう言えば俺の武器をどうしようか?
 俺のストレージの中にある黒作大刀くろづくりのたちを出すのは…。
 この時代なら尚更、マジックバックは貴重なはずだ。
 そこから大太刀など出したら、面倒なことになる。

「ビッチェ王女様、お願いがあります」
「なんでしょうか?」
「私は今、武器を持っておりません。できれば明日までに自分に合った剣を捜したいのですか」
「そうですね。ですが直ぐに剣を作るわけにも参りません。騎士団の訓練所に剣があるのでまずは、その中から選んで頂けないでしょうか?」
「わかりました」
「では、早速まいりましょうか」

 そう言うと俺達は騎士団の訓練所に向かった。
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