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第16章 今度は召喚(ビッチェ王女編)
第206話 利用価値
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司祭が俺に掴みかかってきた。
俺は無意識に手を払った。
「ペキッ!?」
何か変な音が??
「痛い!イタタタタタ!!」
ロターリ司祭が手首を押さえ、うずくまった。
大げさだな、そんな事くらいで。
「大丈夫ですか?ロターリ司祭様」
「そ、その男を捕らえろ!は、早くするのだ」
ロターリ司祭は控えている騎士に叫ぶ。
「なりません。先に手を出したのは司祭様ですから」
王女が騎士を止めてくれた。
司祭の手を見ると変な方向に曲がっていた。
わかった特技だ!!
そうに違いない。
「ロターリ司祭様、少し痛いですが我慢してください」
ビッチェ王女が司祭の紫に腫れあがった手首を伸ばした。
「イタタタタタ!」
「我慢してください、ヒール」
王女の翳した手から暖かい光があふれる。
その光が司祭の手首を包む。
しばらくすると徐々にだが、腫れも引き始めた。
「私にできることは、ここまでです」
「ありがとうございます。ビッチェ王女様」
「あの~、今のは?」
「治癒魔法です」
「ビッチェ王女様はこの国でも数人しかいない、回復魔法の使い手なのだ」
司祭が自分のことのように得意げに自慢する。
ほう回復魔法はこうやるのか。
魔法はイメージだ、手本を見たら自分もできそうな気がした。
「いえ、私の魔法では大したことは出来ません。骨折した手を少し直すくらいです」
「骨折していたのですか?」
「えぇ、そうです」
「よほど、間の悪いとことに当たったのですね」
「この小僧が!!」
司祭が手首を押さえながら、顔を赤くしている。
自業自得なのでは?
「エリアス様。おっしゃる通り今の段階では、元の世界に戻れる手段がありません」
「でしょうね、召喚は出来ても、元の世界には戻れないと思います」
「どうしてでしょうか?」
「似たような世界がたくさんあるとします。そこから呼び出すとしたら、その逆はどうでしょうか?どこに戻していいのか分からないのに、戻せる訳がありません」
「そうですね、どこから呼び出したのか分からないのに。エリアス様も召喚した私を恨んでいるでしょう。それでも私達は、いいえ、私はこの国を救いたいのです」
そうか、そう言われると『帰してくれ!!』とも言えない。
しかしここはどこだ?
「わかりました。出来るだけのことは致します。それとここはどこでしょうか?」
「ジリヤ国の王都になります」
なんだ、ジリヤ国の王都ならセトラー国から近い。
しかし木製の板戸を開けた窓枠の向こうは森林が見え、どう見ても俺の知っている王都には思えなかった。
まさか?!
「今は何年でしょうか?」
「はい、西暦696年3月28日になります」
やはりそうか!!
俺が生活していたのは『ジリヤ国西暦1194年』だからだ。
では俺の居た時代より、300年は前と言うことになる。
召喚自体は異世界から誰かを呼ぶのだから、時代は過去だろうが未来だろうが時系列は関係ないということか。
「いかがされましたか?」
「いえ、なんでもありません」
「でもエリアス様に、そう言って頂けると肩の荷が下りた気がします。生活も保障いたします。どうかお力をお貸しください」
「わかりました、私で良ければ。そして生活は保障して頂けるのですね」
「ええ、召喚した私達の責任ですから」
それからこの国の話を聞いた。
召喚された場所は王都の中にある神殿だった。
シャルエル教の信徒が大半で女神ゼクシーを信仰している。
女神がスレンダーなメガネ女子だと知ったら驚くだろうな。
「エリアス様どうか、世界をお救い下さい。そして私達にお力をお貸しください」
救うと言うのは具体的はどうしたらいいのか?
それに本当にこの人達を、信用していいのか分からない。
「私にはそんな力はないと思います。王女様の話し相手位しか出来ませんよ」
まさか王女相手に『俺』はないから、ここは私と言うことにしよう。
「そんなことは無いと思います。召喚されたばかりでお疲れでしょうから、お部屋へ案内させますわ」
そして王女が手を2回叩くとドアが開き18歳くらいのメイドさんが入って来た。
「エリアス様はお疲れですから、お部屋に案内して差し上げて」
「わかりました、ビッチェ王女様。さあ、こちらへどうぞ」
貴族の様な服を着た男の人は誰だったんだろう?
俺の事をずっと見ていたけど。
そんなことを思いながら、俺はメイドさんに案内され部屋を出た。
「いかがでしたでしようか?オバダリア様」
貴族の服を着た男性にビッチェ王女が問いかける。
「残念ですがビッチェ王女様、彼は凡人です。私の鑑定では何も見えませんでした」
「本当ですか?!エリアス様が凡人だなんて!せっかく召喚したのに…、」
な、なんだと。あの小僧が凡人だと。偶然とはいえ、私の手の骨を折る無礼を働いておいて。異世界人なら利用価値があると思ったが、凡人なら容赦はしない。
シャルエル教司祭ロターリは、その悪い顔を歪めた。
俺は無意識に手を払った。
「ペキッ!?」
何か変な音が??
「痛い!イタタタタタ!!」
ロターリ司祭が手首を押さえ、うずくまった。
大げさだな、そんな事くらいで。
「大丈夫ですか?ロターリ司祭様」
「そ、その男を捕らえろ!は、早くするのだ」
ロターリ司祭は控えている騎士に叫ぶ。
「なりません。先に手を出したのは司祭様ですから」
王女が騎士を止めてくれた。
司祭の手を見ると変な方向に曲がっていた。
わかった特技だ!!
そうに違いない。
「ロターリ司祭様、少し痛いですが我慢してください」
ビッチェ王女が司祭の紫に腫れあがった手首を伸ばした。
「イタタタタタ!」
「我慢してください、ヒール」
王女の翳した手から暖かい光があふれる。
その光が司祭の手首を包む。
しばらくすると徐々にだが、腫れも引き始めた。
「私にできることは、ここまでです」
「ありがとうございます。ビッチェ王女様」
「あの~、今のは?」
「治癒魔法です」
「ビッチェ王女様はこの国でも数人しかいない、回復魔法の使い手なのだ」
司祭が自分のことのように得意げに自慢する。
ほう回復魔法はこうやるのか。
魔法はイメージだ、手本を見たら自分もできそうな気がした。
「いえ、私の魔法では大したことは出来ません。骨折した手を少し直すくらいです」
「骨折していたのですか?」
「えぇ、そうです」
「よほど、間の悪いとことに当たったのですね」
「この小僧が!!」
司祭が手首を押さえながら、顔を赤くしている。
自業自得なのでは?
「エリアス様。おっしゃる通り今の段階では、元の世界に戻れる手段がありません」
「でしょうね、召喚は出来ても、元の世界には戻れないと思います」
「どうしてでしょうか?」
「似たような世界がたくさんあるとします。そこから呼び出すとしたら、その逆はどうでしょうか?どこに戻していいのか分からないのに、戻せる訳がありません」
「そうですね、どこから呼び出したのか分からないのに。エリアス様も召喚した私を恨んでいるでしょう。それでも私達は、いいえ、私はこの国を救いたいのです」
そうか、そう言われると『帰してくれ!!』とも言えない。
しかしここはどこだ?
「わかりました。出来るだけのことは致します。それとここはどこでしょうか?」
「ジリヤ国の王都になります」
なんだ、ジリヤ国の王都ならセトラー国から近い。
しかし木製の板戸を開けた窓枠の向こうは森林が見え、どう見ても俺の知っている王都には思えなかった。
まさか?!
「今は何年でしょうか?」
「はい、西暦696年3月28日になります」
やはりそうか!!
俺が生活していたのは『ジリヤ国西暦1194年』だからだ。
では俺の居た時代より、300年は前と言うことになる。
召喚自体は異世界から誰かを呼ぶのだから、時代は過去だろうが未来だろうが時系列は関係ないということか。
「いかがされましたか?」
「いえ、なんでもありません」
「でもエリアス様に、そう言って頂けると肩の荷が下りた気がします。生活も保障いたします。どうかお力をお貸しください」
「わかりました、私で良ければ。そして生活は保障して頂けるのですね」
「ええ、召喚した私達の責任ですから」
それからこの国の話を聞いた。
召喚された場所は王都の中にある神殿だった。
シャルエル教の信徒が大半で女神ゼクシーを信仰している。
女神がスレンダーなメガネ女子だと知ったら驚くだろうな。
「エリアス様どうか、世界をお救い下さい。そして私達にお力をお貸しください」
救うと言うのは具体的はどうしたらいいのか?
それに本当にこの人達を、信用していいのか分からない。
「私にはそんな力はないと思います。王女様の話し相手位しか出来ませんよ」
まさか王女相手に『俺』はないから、ここは私と言うことにしよう。
「そんなことは無いと思います。召喚されたばかりでお疲れでしょうから、お部屋へ案内させますわ」
そして王女が手を2回叩くとドアが開き18歳くらいのメイドさんが入って来た。
「エリアス様はお疲れですから、お部屋に案内して差し上げて」
「わかりました、ビッチェ王女様。さあ、こちらへどうぞ」
貴族の様な服を着た男の人は誰だったんだろう?
俺の事をずっと見ていたけど。
そんなことを思いながら、俺はメイドさんに案内され部屋を出た。
「いかがでしたでしようか?オバダリア様」
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「残念ですがビッチェ王女様、彼は凡人です。私の鑑定では何も見えませんでした」
「本当ですか?!エリアス様が凡人だなんて!せっかく召喚したのに…、」
な、なんだと。あの小僧が凡人だと。偶然とはいえ、私の手の骨を折る無礼を働いておいて。異世界人なら利用価値があると思ったが、凡人なら容赦はしない。
シャルエル教司祭ロターリは、その悪い顔を歪めた。
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