上 下
166 / 254
第11章 エリザの帰省

第166話 線路は続くよⅥ それぞれの鍵

しおりを挟む
緑竜グリーンドラゴンは、国で買取できますか?」
 するとドゥメルグ公爵は、間の抜けた顔をして驚いている。

「な、何を言っているんだね?エリアス君」
「実はここに来る前に緑竜グリーンドラゴンが開拓村で暴れていたので仕方なく倒しました」
緑竜グリーンドラゴンが暴れていた…仕方なく… 」

「それを売れば国も公共事業の資金になりませんか?」
「そ、それはそうだが…、それはいつのことなんだ?」
「ここに来る前ですから5日前くらいでしょうか?」
 まさか去年とは言えないしな…。

「そ、それでは肉や血は腐敗が始まる前に売らねばならん!!」
「どこか広い場所はありませんか?」
「騎士団の練習場がある。そこならいいだろう。おいレオナルド、冒険者ギルドに人を行かせ解体の専門の人を集める手配をしておけ」
「おまかせくださいご主人様」
 そう言うと執事のレオナルドさんは、あわただしく出かけて行った。




 ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、 ワイ、ワイ、
    ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、
       ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、
    ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、   
      ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、
   ワイ、ワイ、   ザワ、ザワ、  ガヤ、ガヤ、

 騎士団の練習場に俺達は来ている。
 丁度、練習中だったのか騎士団の人達も、たくさん集まってしまった。
  
「いったい、何がはじまるのだ?」
「さあ、公爵様は場所を開けるように、おっしゃっていたぞ」

 その場にはファイネン公爵、奥さんのナタリア様、ジェラード君。
 エリザちゃん、侍女のネリーさん、執事のレオナルドさん。
 俺とオルガさん、アリッサさん、ノエルさんがいる。
 
「では、出しますよ」
 俺はストレージから緑竜グリーンドラゴンを出した。

〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉

 俺は軽くジャンプし、後に続くように見ている騎士団もジャンプする。
 緑竜グリーンドラゴンの全長はビル3階建てくらいの大きさだ。
 約10mくらいか。
 尾も入れれば15mはある。
 そして翼を広げれば、横幅は10m以上で巨大だ。

 す、凄い。
 これは?!
 ドラゴンか?!
 こんな巨大とは…。
 上顎から顔が吹き飛んでないぞ!!
 グロいな。
 いったい、どうやって?!
 そんな声が聞こえてくる。

 ドラゴンを倒すなんて。 
 ドラゴンバスターだ。
 凄いぞ!!

 ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、
   ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、
     ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、
    ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、
     ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、
   ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、ザワ、

「おぉ、これは?!」
 冒険者ギルドから解体の専門の人が来たようだ。
 緑竜グリーンドラゴンを見るなりこう言った。
「ド、ドラゴンを本当に身近で見るとは。これは無理ですぜ、ファイネン公爵様」
「どう言うことだ?」
「まずドラゴンの鱗を剥がせるような工具が無い。それと皮膚を切り開くには大型のミスリルの剣が居る。そんな用意はギルドにはありませんぜ」
 あぁ、そう言うことか。
 ドラゴンて解体したことが無いから、解体用のナイフなどが無いと言うことか。
 
「それなら俺がやりましょう」
「エリアス君、君に出来るのかね?」
「えぇ、見ていてください」
 俺はそう言うと一旦、ストレージに収納した。
 そして解体魔法Dismantlingディスメントを使い、ストレージの中で解体をする。
 生きた物はストレージでは収納できない。
 だが命の尽きた物体なら収納し解体できる。
 ストレージ内で骨、肉、内臓、鱗、皮膚、血に分けた。
 名付けて解体魔法Dismantlingディスメントだ。

「解体が出来ました。何が必要でしょうか?」
「できたと言うのかね?」
「はい、そうです」
「本当かね?」
「見てみますか?」
 そう言うと俺はストレージから鱗を何枚か出した。

「本当に解体出来当たのか。驚いたな」
「何が必要でしょうか?骨、肉、内臓、鱗、皮膚、血に分けましたが。肉も新鮮です、さすがドラゴン生命力にあふれていますね、あはははは」
 まさかストレージに入れておけば、時間が経過しないとは言えないからね。
「そ、そうなのか?!では内臓以外だ。内臓は駄目になるのが早いからね」
 そうだよね、ホルモンとか美味しいのに。
 後で美味しく食べようかな。

 そんなことを考えながら、俺は骨、肉、鱗、皮膚をストレージから出した。

「売れるのは肉、鱗、皮膚は半分と、骨と血は全部売れます」
 肉と内臓は後で焼肉に、鱗、皮膚は後でドワーフさんに防具に加工してもらおうと思ったからだ。
 そして樽を何個も用意してもらいドラゴンの血を入れた。
 数十になった血の樽と鮮度が悪くなるからと、ギルドの人達は血と肉を慌ててどこかに運んで行った。
 辺りがとても生臭いぞ。

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

★ファイネン公爵の思惑
 これはどうしたらいいものか。
 ドラゴンバスターなど、初めてのことだ。
 150年前のドラゴン大戦の時も、退けることは出来ても倒せなかった。
 それも異種族の力を借りてだ。
 人族ではそこまでの能力を持つ者はいない。
 
 どう扱えば良いのか。
 すでに我が娘を嫁に出している。
 これ以上、干渉すれば扱いづらくなるのは困る。
 他の国に先駆け鉄道を引き鉱物などの輸入をする。
 それを行う事で各国にも牽制にもなるだろう。

 だが開拓村では国同士の付き合いとして体裁が悪い。
 名前を決めてもらわないといけないな。
 
 そしてこれからはアスケルの森の開拓村にどれだけ組み込めるかが、この国で覇権を握る鍵になるだろう。

 ファイネン公爵は心の中で、今後の展開を模索するのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

俺のチートが凄すぎて、異世界の経済が破綻するかもしれません。

埼玉ポテチ
ファンタジー
不運な事故によって、次元の狭間に落ちた主人公は元の世界に戻る事が出来なくなります。次元の管理人と言う人物(?)から、異世界行きを勧められ、幾つかの能力を貰う事になった。 その能力が思った以上のチート能力で、もしかしたら異世界の経済を破綻させてしまうのでは無いかと戦々恐々としながらも毎日を過ごす主人公であった。 

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

処理中です...