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第6章 エリアス商会

第102話 アミューズメント施設

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 俺達は早起きをして、アスケルの森に来ている。
 転移する前の世界では山が多い地域に育ったから、山が好きなのかもしれない。
 それに山には季節の果物がいっぱいだ。
 ハスカップ、ブルーベリー、ブラックベリー、さくらんぼなどのベリー類。
 赤ブドウ、白ブドウ。
 桃、杏子、イチジク、メロン類だ。
 俺達はそれを採りまくった。

 それから俺達はウサギ、イノシシ、熊系の食べられる魔物をたくさん狩った。
 おれたちが普段から狩っているせいなのか、魔物が少なくなっている気がした。
 気のせいか?

 ラプタ(鳥)をまた見つけたので、生け捕りにした。
 オス2匹にメス5匹だ。
 これでオス3匹にメス11匹になった。
 卵をふ化させどんどん増やしていこう。


 俺達は捕まえたラプタを箱に入れ、リヤカーを引き屋敷に帰った。
 仲良くやってくれよ、そう思いながら捕まえたラプタを鳥小屋に入れた。
 


 
 九時過ぎくらいだろうか、ドアノッカーを叩く音がした。
 トンッ、トンッ、トンッ、

「は~~~い!!」
 聞こえる訳もないのに、俺は屋敷の中で返事をした。
 そして門に向かう。


 ギィ~~~~~!!
 門を開けると馬車が3台止まっている。
  
「エリアス様!」
 見ると先頭の馬車から、タニア伯爵夫人が顔を出していた。
「タニア伯爵夫人。どうされましたか?」
「いや~ね。お友達をお連れしたわ」
「お友達ですか?」
「そうよ、この前言ったでしょ。また来ます、て」
「そ、そうですけど…」
 取りあえず屋敷の中に入ってもらった。

「エリアス様紹介します。こちらはルイーゼ・レーナルト伯爵夫人。そしてサンドラ・ペトレッラ侯爵夫人です 」
「ようこそいらっしゃいました。初めまして、エリアスです」
 俺は挨拶をしてとりあえず、屋敷の中に入ってもらった。
 馬車は15時に迎えに来るように言われて戻って行った。
 そんなにいるの?

 アリッサさんにサポートしてもらい貴婦人達は前回同様、お風呂に入りお茶を飲みカステラを食べ、娯楽施設で遊んで楽しんだ。
 そして紅茶の美味しさに驚き、ハチミツ入りのカステラを宝物のように食べた。
 お土産に手ぬぐい、タオルと、バスローブとジャージを侍女に持たせていた。

 すっかりルイーゼ伯爵夫人とサンドラ侯爵夫人は綿生地の虜になっていた。
 そして、ここに泊ることができれば、パジャマとタオルケットと言う最上級の物を頂けるのですね、と不吉な言葉を耳にしたような気がする。

 15時に迎えが来てみんな帰って行った。
 お茶とシャンプーとボディソープも気に入ったようで、帰りにアバンス商会に寄って行くと言っていた。

 そしてアリッサさんに滞在費として、1人10万を支払って行った。
 なんだこれは?

 
「エリアス様、また伺いますね。もちろんお友達を連れてまいりますから」
 ルイーゼ伯爵夫人とサンドラ侯爵夫人も、帰る頃には俺のことを『様』で呼ぶようになっていた。
 そしてまた誰かを連れてくると言う。
 なにをやりたいんだ?



 それから数日後から出かける時は、10時過ぎになった。
 なぜなら9時過ぎに誰かが訪ねてくることが多くなったからだ。
 
 誰かが連れてきた人がまた、誰かを連れてくる。
 9時過ぎから15時まで滞在して、10万を置いて帰って行く。
 
 俺はいつから、こんな商売を始めていたのだろうか?
 アリッサさん曰く、1回で10万置いていける人は少ないから、その内来なくなるわよ、と言っていたけど。

 減る気配がない…。

 最近では俺の屋敷は会員制の娯楽施設だと噂が立っている。
 誰かの紹介が無ければ入ることが出来ず、中は見たこともないような豪華な造り。
 そして豊富なお湯を使ったお風呂に入ることができ、美味しいお茶とお菓子を食べることが出来る。
 王都でも扱っていない『綿』という高級素材を使った、手ぬぐい、タオルと、バスローブとジャージ4点をもらえ、滞在費を含めたったの10万で良いと言う。

 最近では王都までの街道が整備されたおかげで、王都方面からやってくる人が多くなった。
 この街を訪れ誰かの紹介で俺の屋敷を訪れ、街で美味しいものを堪能し何泊かして帰って行く様だ。
 
 帰りにアバンス商会に寄り、紅茶や緑茶、ウーロン茶、シャンプーとボディソープを購入していく人が多くなった。
 そして高額にはなるがドライヤーも売れている。
 
 どう見ても商人らしい集団が、やってきてまとめて買っていくと言う。
 どこかで転売してませんか?

 いつの間にか俺の屋敷は観光名所になっていた。
 屋敷の門の前には観光客が集まり、みんな門を見て驚いている。
 もしスマホがあったら、門をバックに写真を撮っていただろう。


 アバンス商会の紡績店で、少しだけど卸した綿でタオルを作り販売を始めた。
 思っていた以上に反響があり、今では半年待ちだと言う。
 
 観光客が増えるに従い食べ物屋が増えていく。
 それに伴い『味元あじげん』、ソース、醤油、醤油タレ、マヨネーズの消費が増える。
 商業ギルドに卸す量は増え、『なごみ亭』で店頭販売している物も飛ぶように売れていく。
 店で消費するだけではなく、美味しさに気づいた人達がお土産に買って帰るのだ。

 そして町全体が潤って行く。
 
 アルバンさんは毎日、納品で忙しく商業ギルドと、アバンス商会、なごみ亭を行き来している。

 そして屋敷にお客が来ると、誰かが相手をしないといけない。
 男性客も来るが女性の場合、アリッサさんかアルシアさんが相手をする事になる。

 オルガさんは獣人だから、富裕層ほど嫌がる人が多いからだ。
 その事を知ってるのか、みんなが忙しそうにしているのに自分だけ、と申し訳なさそうだった。


 そんなある日、恰幅の良い頭の薄い男性に言われた。
「私達夫婦は王都から来たが、とても良い観光になった。だがもう少し安ければ、この贅沢な思いを堪能したいと言う人が出てくるだろう」
 そう俺は言われた。
 ごもっとも。
 ですが、元から娯楽施設なんてやってませんから。


 その晩アルバンさん家族を交え、みんなで集まり意見を出し合うことにした。
 この娯楽施設の今後のことだ。

「女性の従業員が欲しいわね」
 アリッサさんが言う。
「妻が抜けてしまうと、マヨネーズや醤油タレ作りが間に合いません」
 アルバンさんも答える。
「今日、金額が高くもう少し安くして、他の人にも開放すべきだと言われたよ」
 俺は今日のことを話した。

「金持ち相手は長くは続かない。それなら庶民相手の商売に切り替えるべきですね」
「でも、どこまで安くして、サービスを省くかよね」
 アリッサさんとアルバンさんが意見を出す。
 主に意見を出すのはこの2人でオルガさん、アルシアさん、アディちゃんは興味なさそうだ。
 まあ、そうだろうね。

 結局、あまり安いとお客が殺到されても困る。
 どこまで付加価値を付けるのか話した。

 この世界の1日の給金は平均3,000円。
 そう考え1人5万円。
 手ぬぐい、タオルは持ち帰り可能。
 バスローブとジャージは、貸し出しで帰りに返却してもらう。

 付加価値を付けるため、3階の休憩所ではお茶飲み放題とお菓子1品付き。
 内容の割りには少し割高な気がするが、元々は娯楽施設ではないからね。
 お客が来ないに越したことはないから。
 しかし遠方から来てくれる人もいるのに、閉店しましたはないからね。

 それなら10万でも良いと思うが、来た人に門を広くするべきだと言われればね。


 商売をやる以上、屋敷のアミューズメント施設の名前を考えないと。
 ゲームやボウリング施設もあるし。

 そうだ!良い名前を思い付いた。

 人や物を寄せ集めると言う意味で…『ラウンド・アップ』。

『ラウンド・アップ』にしよう!!
 ね?!

 な、なにか?
 問題でも…。
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