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第4章 王都へ

第71話 コットンロード

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 ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、

「……アス。おい…なにを…」
「え?なんで…か?…聞こえ…せんよ」
「だから…うるさく…」

 ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、

 俺はオルガさんに肩を揺すられ手を止めた。

「な、なあ、エリアス。さっきからなにをやっているんだ?」
「え?見た通りですよオルガさん」
「それはわかるが…これは…」

 俺は道が悪いのでストレージを使い、目の前の空間を馬車2台分の幅で切取る。
 木々や土も含め50cmくらい深く、地面の土も一緒に一度収納する。
 それにアスケルの森で採取した、赤玉土と要らない多数の鉱物を交ぜ地面に戻す。
 戻した土の部分に、時空間魔法で時間を加速させ土を硬くする。
 赤玉土を交ぜているので、水けの良い道路のできあがり~~!!


「できあがり~!じゃないわよ。一体なにをしているのよ」
「嫌だな~道路整備ですよ、アリッサさん。見たらわかるじゃないですか」
「そういうことを言っているのではないわ!どうしてこんなことをしているのよ?」
「道がよくなれば多くの人が、行き来して領が栄えます。さっき話しましたよね」
「それはそうだけど…」

 後ろを振り向くと馬車2台分、約4m近くの道幅の綺麗な道路が出来ている。
「道幅が無く見通しが悪いから襲う方も、襲いやすくなるんです。道幅があれば魔物や、盗賊に襲われた時でも対応が早くできます」
「あなたは、まったく。アイザックさん、このことは内密に願います」
「勿論です。しかしこんな素晴らしいことをされて、内密にされるとは…」
「逆にエリアス君が、大騒ぎされるのも困りますから」
「わかっております」
 アイザックさんは馬車の窓を開け、こちらのやっていることを見ている。

「それから『赤い翼』のみなさんも、内密にお願いしますね」
「エリアスには借りがあるから、言わないよ。それに言っても信じてもらえそうも無いからね」
 リーダーのアドレーさんが代表して答える。

 そして俺達は道を整備しながら王都に向かう。
 
 4時間くらい歩くと休憩することになった。
 ある意味、4時間歩きっぱなしも凄いけど。

「さあ、休みましょうか」
 このまま道の真ん中に止まっても、邪魔になるな。
 俺はそう思い左側の道路脇に馬車が縦に、3台並べるくらいの待避所を作った。

 ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、

 みんな慣れたのか、もう何も言わなくなっていた。

 そしてそれぞれ座り込み、皮の水筒に入った水を飲んでいる。 
「はあ、暑いぜ~」
 『赤い翼』のアドレーさんが言う。
 6月末の日差しは強く汗ばむ。

 カラ~ン!!

 ガラス製のグラスに氷が落ちる音がした。
 みんなが一斉に音のする方に振り向く。

 あれ?
 みんなどうしたんだろう?

 俺達は丸テーブルと椅子を、ストレージから出して座っている。
 そして日差しが強いので、大きめのパラソルをテーブルの真中に挿している。


 ガラスのグラスに生活魔法で、氷を作りグラスに落としていく。
 カラ~ン!! カラ~ン!!
 そして俺達3人は森で採れたオレンジを、ジュースにしてグラスに注いだ。

 トク、トク、トク、トク、トク、

「ぷふぁ~!!冷たくてうまい!!」
「本当ね、美味しいわ」
 オルガさんとアリッサさんが、嬉しそうな声をあげる。

 すると、どこからか視線を感じた。

 チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、
    チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、
   チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、
 チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、チク、

「おいエリアス。美味しそうじゃないか」

「アドレーさん達も飲みますか?」
「えっ?!もらえるのか?」
「も、もちろんですよ、みなさん」

 俺はそう言って『創生魔法』で丸テーブルと椅子4つを2セット創り、ストレージから出した。
「どうぞ、お座りください」

 みんなそれぞれテーブルに座る。
 1つのテーブルはDランクパーティー『赤い翼』のアドレーさん。
 ジェイさん、ランダルさん、エリノルさん。

 もう1つはアバンス商会のアイザックさんとお供の2人だ。

「マジック・バッグの容量があると、こんなに旅は快適なんですね」
「便利なのはマジック・バッグではなくて、エリアス君だよね~」

 そう言ったのは『赤い翼』の紅一点のエリノルさんだ。
 エリノルさんは締まった体をして、出るところは出ている素敵な大人の女性だ。
 脳筋のアドレーさんには、勿体ないくらいの女性だ。

「誰が脳筋だ。こら!!」

「まあ、エリアス君たら、素敵な大人の女性だなんて」
 エリノルさんは照れている。

 今日のメンバーも俺の思考が読める、超能力者の集まりだったか…?!

「素晴らしい。これはお持ちの冷蔵庫で作った氷ですよね」
「え、えぇ。そうです…」
「やはり魔道具は生活を変えてくれる道具ですね。製氷を前面に出せば、王都で更に高く売れそうです」
「それは良かったです」

 そして俺達はまた歩き出す。

 ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、ガガガ、ゴゴゴッゴ、ガアガガ、ゴゴゴゴゴ、ガガガガアア、

 道路整備をしながら俺は進む。
 旅がしやすくなるのは良いものだから誰も俺を止めない。
 整備の大きな音で魔物や魔獣が驚き、逃げていくとアリッサさんが言っていた。
 風の感知魔法て便利だな。
 俺もそんな便利な魔法が使えたらな…。

 そんなことを考えながら、王都に向う旅は続く…。

∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

※コットンロード(Ukkipedia調べ)
 ジリヤ国王都とアレン領を結ぶ古代の交易路の総称。
 ある日一夜にしてジリヤ国王都と、アレン領を結ぶ整備された道が出来た。

 地面は水捌けが良く道幅は広いため、魔物や盗賊に襲われても体制を整える余裕が出来たと言う。所々に休憩所のような空地があり、休むこともできた。

 この道を通って多くの商人達が行き来をした。
 アレン領特産のカレーなどの調味料や、綿製品が王都に運ばれていった。
 多くの人達が通っても、路面は荒れることが無く今も長い月日に耐えている。
 解析不可能な鉱物で出来ており、その謎は現在も解けていない。

 この名はジリヤ国の地理学者キンタ・クンテ(1233~1301年)によって命名され、広まったとされている。
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