上 下
55 / 254
第3章 お披露目会

第55話 冷蔵庫

しおりを挟む
 そして値段の交渉が始まった。
 
「エリアス君、冷蔵庫の在庫は各2セット、照明の魔道具は10セット、魔道コンロも
10セットはあるわよね?」
 アリッサさんが、無いのを分かっていて聞いてくる。
 俺が『創生魔法』で創っているのを、知っているから創れというのだ。
「あ、あります…」

 俺はアイザックさん達に背を向け、見えない様にストレージの中で『創生魔法』を使い創って行く。
 ストレージ内で作業をしている時は、パソコン画面の操作と同じになる。
 目の前の空間をタップしながら視線を動かしている。
 傍から見たらとても変な光景だ。

「はい、どうぞ。まずは冷蔵庫です」
 俺はストレージの中から3種類出していく。

 まず90Lタイプは高さ90cmくらいの2ドアの冷蔵庫だ。

「この冷蔵庫は2ドアで上が冷凍室、下は冷蔵室になっています。8段階の温度調節が可能で、製氷皿が付くので氷の作り置きもでき一人暮らしに最適です」

「「「 おぉ~~~!!! 」」」

「そして次は150Lです。高さは130cmくらいの2ドアです。こちらのタイプから上のドアが冷蔵室、下は引き出し式の冷凍室になります」
「どうして小さい冷蔵庫は上が冷凍室で、大きくなると下が冷凍室なんだい?」
「はい、アレックさん。いいところに気が付きましたね!」
「いや~、そうでもないよ。えっへん!」

「実は小さい冷蔵庫は空気を冷やす、冷却器という魔道具が1つなんです。冷たい空気は暖かい空気より重く下に流れます。冷却器は1つの場合は上を冷凍にして、下がってきた冷気で下の部屋で野菜や飲み物を冷やすことになります。そのため、どうしても魔石の魔力の消費が激しくなります」

「う~ん。なるほど…」

「そして150Lのように大きいタイプの冷蔵庫は、冷凍室と冷蔵室に専用冷却器が配置されています。そのため、冷凍室が上で冷蔵室が下と言う制約は無くなります。そして引き出し式の冷蔵庫になると更に効率が良くなります 」

「それは、どう言う…」

「ドアタイプの場合は開けると下部から冷気が逃げ、上部から暖気が浸入し一気に中の温度が上がります。しかし引き出し式の場合は上が開放されるので、重たい冷気は引き出しの中に残り、一気に温度が上がるのを抑えられます。野菜室は冷やしすぎると野菜が凍ってしまうので冷蔵室の下に配置し、冷蔵室の冷気を利用しています」

「………………。」
 
「そのため、冷蔵庫3種類は90Lは冷却器は1つのため、開け閉めが多いと中の温度が上がり元の温度に冷やすのに時間が掛かかります。150Lは冷蔵室はドアで冷蔵室は引き出し式で、専用冷却器があり冷えやすく魔石の消費も無駄がりません。230Lは更に効率が良く上から冷蔵室、野菜室、冷凍室の順になっており、開け閉めしても他のタイプに比べ温度に影響が出ません。そして150L、230Lには自動霜取り機能が、しかも!!230Lのみ自動製氷機能が付いています!!」

「「「「 おぉ~~~!!! 」」」」

 みんな呆然とした顔のまま、なぜか分かったような反応をしている。

「エリアス様はいったい、どこでそのような知識を…」
 アイザックさんが呟くのが聞こえてくる。
 そしてそのまま、いつものようにスルーする…。


 取りあえず、一般家庭ならこの3種類で大丈夫だろう。
 大きな飲食店なら業務用の冷蔵庫が必要になるだろうけど。


「エリアス様、まだ大きいサイズがあるのでしょうか?」
 な、なんだ。アイザックさんは?!
 俺の心が読めるのか?

「で、どんなものでしょうか?」
 仕方がないな。

「使いやすい様に作業台の下が冷蔵庫や冷凍庫になっていたり、引き出しや扉を開けると調理器具が収納でき必要な物をすぐに取り出せるようになったものでしょうか」
「後、他には…」
「3口のコンロです。調理をするなら1口より3口の方が、同時に調理の用意が出来て便利ですから」
「ではそれもお願いします」

「いえ、それは追々おいおいに、と言う事で」

 でた!俺のお得意の日本人トーク!!

「そ、そうですか、残念です…」
 アリッサさんを見ると、余計なことを言うな、みたいな顔をして俺を見ていた。




 ジュ~、ジュ~、ジュ~、
 俺とオルガさん、コルネールさんは肉を焼いて食べている。
 Dランクパーティ『餓狼猫のミーニャ』3人娘も、美味しそうに食べている。

 しかしその少し離れたところでは、アリッサさん達が難しい顔をしている。
 商業ギルドのアレックさんとノエルさん。
 アバンス商会アイザックさんと、そのお供の2人だ。

 照明の魔道具は蓋を取り天井に3cmの木材用ネジをドライバーを使って、何か所か本体を留めることを説明。
 もちろん木材用ネジとドライバーは、サービスで付いていることを話した。

 そして魔道コンロは本体右の蓋の中に火の刻印を刻んである。
 蓋を開け魔石を入れ点火ダイヤルを回すと火が付き、火力調整ができることを説明した。

 ワイングラスは24個だ。

 価格交渉はアリッサさんに任せ、俺はみんなと肉を焼き食べている。

 時折、アリッサさん達の居る方角から、それは、とか、そこをなんとか、と言う声が聞こえてくる。
 なぜか売る側のアリッサさんの方が、強気な交渉に聞こえる。

 そしてしばらくすると、勝ち誇ったような顔をしたアリッサさんと、疲れた顔をしたアレックさん達が戻って来た。

「エリアス君、全部売れたわよ。明日、商業ギルドに納品にいってね」
「分かりました。あれ?アバンス商会は買わなかったのですか?」
「購入したわよ。丁度、商業ギルドと半分ずつよ。アバンス商会は王都に着いたら渡してあげて」
「それはどう言うことでしょうか」

「アバンス商会のアイザックさんは、王都に持っていき売りたいそうよ。王都なら人口も多くお金持ちが多いから、この領で売る金額の2~3倍で売れるの」
「そんなにですか?!」
 それならどうせ俺も王都に行くから、『創生魔法』で創って売ろうかな?

「もしかしたらエリアス君は、王都に行くから自分でも売ろうかと思っていない?」
「あはは、バレましたか。そう思いました」
「でも、それは無理ね」
「どうしてですか?」
「長年、商売をしてきたアイザックさんだから、売る相手が居るのよ。私達が商店に行っても、足元を見られて買い叩かれるだけよ」
「そう言うものですか」

「えぇ、だからエリアス君は運送を頼むわね。でもその分、運送賃とここより高く売れる分、割り増しで購入してもらったから」
「では明日、納品に行くのは商業ギルドだけですね。『味元あじげん』の納品もあるので、一緒に収めてきますから」
「では、お願いね。エリアス君」

 それから楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、焼肉大会は終わった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

俺のチートが凄すぎて、異世界の経済が破綻するかもしれません。

埼玉ポテチ
ファンタジー
不運な事故によって、次元の狭間に落ちた主人公は元の世界に戻る事が出来なくなります。次元の管理人と言う人物(?)から、異世界行きを勧められ、幾つかの能力を貰う事になった。 その能力が思った以上のチート能力で、もしかしたら異世界の経済を破綻させてしまうのでは無いかと戦々恐々としながらも毎日を過ごす主人公であった。 

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

処理中です...