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真相㊸~男爵令嬢・エミリーバーマン視点・終~
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笑顔は崩さないまま。なのに向けられた私の背中からはツーッと、冷たい汗が流れ落ちる。
「え? ええ、え……?」
狼狽する私を前に、セレナ様は微笑を浮かべたまま。
……これって、怒ってる?
でも何故私が、と狼狽していたら、冷ややかな声で告げられた。
「あなた……ご友人達に、マリアンヌの悪評を広めているそうね……」
ヒュッと息が止まる。両手で口をふさぐようにしながら、カタカタと体が震えて来る。
「先日のお茶会程度なら放置するつもりだったわ。マリアンヌが平気そうだったから。……でも私、あの後少~し、調べましたのよ。そうしたら色々出て来たわ。あなたが触れ回った日付や時間帯に天候、その場にいた者の名前も全て、調書が取れたわ」
「そ、そんな―――!」
調べられていたなんて! と動揺しながら、自分の行動の中にある正当性を見出そうとした。責める視線から逃れたい一心で。
―――た、たいした事は言ってない。……せいぜいアイツを遠くから指差して、
『あんな(醜い)お姿で生きていて恥ずかしくないのかしら?』
『いやぁね、田舎臭いのが1人いると空気まで匂ってきそう』
『すいません、少しお席を立ちますわ。不快になる匂いがしてきたので……』
とか言った位で……。
「大声で広範囲に聞こえるように言っていたそうね? 同調している貴族もいたから、結果が出てラッキーだったわね。
でも高位であろうと低位であろうと、貴族なら国の為に助け合う関係にある相手を悪し様に言うなんて。……でもこれで少しは分かったのではないかしら?」
マリアンヌには、報復する力がある。そしてセレナと言う、力を貸す人間もいるのだ。
田舎者で醜い容姿と侮っていたのだろう。だから自分にはない恩恵を得ていたマリアンヌを攻撃した。
だが……実は違った。
ぐい、とセレナ様が近づく。
慌てて離れようとして、だけどその前にその顔からは笑みが消え……闇のような底の知れない暗さをたたえた瞳に見据えられ、動けなくなる。
「これからも浅慮な行いを続けるようなら、マリアンヌに報復されるわよ。……いえ、その時はマリアンヌではなく私(侯爵令嬢)がやるかも?」
「な、なぜ……」
あんな田舎娘に、と口に出かけてでも、出なかった。
今回のコリンヌ様の件、状況だけなら私にも、同じことが出来た。なのに私はお茶会で愚痴を聞いて慰めるだけで、後の事まで考えていなかった。
でもあの…マリアンヌは違った。セレナ様が口添えしたとはいえアイデアを出し、自らも加わった。そして大幅に、状況を変えたんだ。
「何故? そんなものは決まっているわ」
不用意にこぼれた私の“なぜ”セレナ様の目が少し見開かれた。そして体を離し、さもこれしか無い、という表情で断言する。
「この私が我慢できないの。十分でしょう?」
「え? ええ、え……?」
狼狽する私を前に、セレナ様は微笑を浮かべたまま。
……これって、怒ってる?
でも何故私が、と狼狽していたら、冷ややかな声で告げられた。
「あなた……ご友人達に、マリアンヌの悪評を広めているそうね……」
ヒュッと息が止まる。両手で口をふさぐようにしながら、カタカタと体が震えて来る。
「先日のお茶会程度なら放置するつもりだったわ。マリアンヌが平気そうだったから。……でも私、あの後少~し、調べましたのよ。そうしたら色々出て来たわ。あなたが触れ回った日付や時間帯に天候、その場にいた者の名前も全て、調書が取れたわ」
「そ、そんな―――!」
調べられていたなんて! と動揺しながら、自分の行動の中にある正当性を見出そうとした。責める視線から逃れたい一心で。
―――た、たいした事は言ってない。……せいぜいアイツを遠くから指差して、
『あんな(醜い)お姿で生きていて恥ずかしくないのかしら?』
『いやぁね、田舎臭いのが1人いると空気まで匂ってきそう』
『すいません、少しお席を立ちますわ。不快になる匂いがしてきたので……』
とか言った位で……。
「大声で広範囲に聞こえるように言っていたそうね? 同調している貴族もいたから、結果が出てラッキーだったわね。
でも高位であろうと低位であろうと、貴族なら国の為に助け合う関係にある相手を悪し様に言うなんて。……でもこれで少しは分かったのではないかしら?」
マリアンヌには、報復する力がある。そしてセレナと言う、力を貸す人間もいるのだ。
田舎者で醜い容姿と侮っていたのだろう。だから自分にはない恩恵を得ていたマリアンヌを攻撃した。
だが……実は違った。
ぐい、とセレナ様が近づく。
慌てて離れようとして、だけどその前にその顔からは笑みが消え……闇のような底の知れない暗さをたたえた瞳に見据えられ、動けなくなる。
「これからも浅慮な行いを続けるようなら、マリアンヌに報復されるわよ。……いえ、その時はマリアンヌではなく私(侯爵令嬢)がやるかも?」
「な、なぜ……」
あんな田舎娘に、と口に出かけてでも、出なかった。
今回のコリンヌ様の件、状況だけなら私にも、同じことが出来た。なのに私はお茶会で愚痴を聞いて慰めるだけで、後の事まで考えていなかった。
でもあの…マリアンヌは違った。セレナ様が口添えしたとはいえアイデアを出し、自らも加わった。そして大幅に、状況を変えたんだ。
「何故? そんなものは決まっているわ」
不用意にこぼれた私の“なぜ”セレナ様の目が少し見開かれた。そして体を離し、さもこれしか無い、という表情で断言する。
「この私が我慢できないの。十分でしょう?」
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