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私は魅力的な女♪~ミガッティ・ショーワール~
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私はミガッティ・ショーワール。
パパは子爵でお城にお勤めしているの。ショキカン? って身分だったかなー?
……私は昔、すこーし体が弱かった。だから田舎で静養していた。
って言っても、ちょっと気管支が弱かっただけ。田舎は退屈だったけど、空気は綺麗だったから普通に過ごせていた。
でも私はずっと病弱。……という事になっている。そうしておけ、ってパパから言いつけられていたから。
その理由が私の幼馴染、侯爵令息のドッチィ・ツカァズ。
ドッチィは侯爵家の子供だけど、お爺様達が友達同士だったから、昔から交流があった。だから会う機会が多かったの。
長男のジーリッツ様は堅苦しくて苦手だけど、次男のドッチィは別。
だって彼は私の騎士なのよ!
身分何て関係ない。私に何かあればいつも駆けつけてくれて、ずっとそばにいてくれるの。私が少し弱弱しく見せただけで、顔色を悪くして心配してくれる。
最高でしょう? 本来なら格上の侯爵位の男が、子爵令嬢の私を最優先する。
生まれつき“人より弱い”と言われ続けてきた私が、普通の生活が出来る人ではありえない事をしている、最高しかないわ。
家族は私を“虚弱でもの知らず”って散々バカにするけど、あなた達に、こんな事が出来る?
でも嘘何てついていない。実際私って弱いもん。長い時間走るなんて出来ないし、重いものだって持てない。
世の中、もっとひどい事をしている人だっているんだから。
この位のこと、したって良いと思う。
「聞いてくれよミガ! 父が勝手に僕の婚約を決めたんだ!」
ある日、珍しくドッチィがぷんぷん怒りながら家に来たわ。
私はそんな彼の肩にそっと手を置いて、少し目を潤ませて見せた。
「………婚約したの?」
「したんじゃなく、させられたんだ! どっかの伯爵家の娘とだよ? 他にも相手がいそうじゃないか……!」
どうやら格下の伯爵家の人なのが気に入らないみたい。
「ドッチィ? 私も子爵家の令嬢なのだけど」
少しだけ不満を滲ませた口調で言えば、彼は途端に淡々し出す。
「ミ、ミガは僕の大事な幼馴染だから、爵位なんて関係ないよ!?」
――そうでしょう、そうでしょう。
思った通りの反応に気持ちが満たされる。
優越に浸りながらふと、その婚約者って令嬢が気になった。どんな子かしら?
「……ねえドッチィ。私、その方にお会いしたいわ?」
「初めまして。ドッチィの幼馴染のミガッティでぇす♪」
「……初めましてミガッティさん。コリンヌ・ステラと申しますわ」
ドッチィの腕に抱きつきながら自己紹介する私を前に、一瞬だけ怪訝な表情を浮かべたけどすぐに元に戻して礼を返すコリンヌ嬢。
この顔合わせの前に、お母さまや使用人達に彼女の事を聞いていた。
堅実で成績も優秀。礼儀作法も完璧で、社交や奉仕活動もそつなくこなす模範生。言った後、誰もが口を揃えて“あの方なら侯爵様に選ばれるのも分かる”と言う。
そんな基礎知識を持ってご当人と対面したんだけど……。
確かに上品で、まさに型通り、って感じの人だ。
でも……印象だけなら、ひたすら地味。更に暗い。
こげ茶色のストレートのロングヘアに、同じ色の瞳。申し訳程度の化粧もまるで引き立ってなくて、更に着ているドレスもこげ茶色。
私の方がずーっと可愛いじゃない!!
私は速攻、彼女を格下と判定した。伯爵家の娘でもこんなのじゃ、ドッチィが憤るのも分かるわー。
そうと分かれば後する事は決まっている。
私はいつものように額を押さえてフラッとよろめいて見せた。
「ドッチィ……私、急に気分が」
「え? ……大変だ! どこかで休まないと。すまないコリンヌ嬢、僕はミガを送らないといけないから今日はこれで」
「え? ええ………お気をつけて」
胸に倒れ込んだ私を、ドッチィは血相を変えつついつものように抱き上げてくれた。
そのまま馬車迄歩き出す。彼の背中越しに見たコリンヌ嬢が、複雑な表情で見つめているのが見えた。
咄嗟に私はハンカチで口元を隠す。ニヤつく口元が見えないように。
―――そう、こうやって熟知させないとね。
どんなに周りが良く言ってても、ドッチィにとって大事なのは私だと。
そして……私はドッチィとコリンヌ嬢がいるところにやって来ては、彼女から彼を攫って行った。
デートをする、と聞けば、合わせて具合が悪いと彼に告げる。一度の例外もなくドッチィは、コリンヌ嬢より私を優先した。
自分より幼馴染を大事にする婚約者に、コリンヌ嬢のこれこそ淑女! って感じの余裕が崩れていくのが愉しい。
見た感じ、ドッチィも楽しんでいるみたい。そりゃ、あんな堅苦しそうな女の相手より、私の方が良いものね。
パパは子爵でお城にお勤めしているの。ショキカン? って身分だったかなー?
……私は昔、すこーし体が弱かった。だから田舎で静養していた。
って言っても、ちょっと気管支が弱かっただけ。田舎は退屈だったけど、空気は綺麗だったから普通に過ごせていた。
でも私はずっと病弱。……という事になっている。そうしておけ、ってパパから言いつけられていたから。
その理由が私の幼馴染、侯爵令息のドッチィ・ツカァズ。
ドッチィは侯爵家の子供だけど、お爺様達が友達同士だったから、昔から交流があった。だから会う機会が多かったの。
長男のジーリッツ様は堅苦しくて苦手だけど、次男のドッチィは別。
だって彼は私の騎士なのよ!
身分何て関係ない。私に何かあればいつも駆けつけてくれて、ずっとそばにいてくれるの。私が少し弱弱しく見せただけで、顔色を悪くして心配してくれる。
最高でしょう? 本来なら格上の侯爵位の男が、子爵令嬢の私を最優先する。
生まれつき“人より弱い”と言われ続けてきた私が、普通の生活が出来る人ではありえない事をしている、最高しかないわ。
家族は私を“虚弱でもの知らず”って散々バカにするけど、あなた達に、こんな事が出来る?
でも嘘何てついていない。実際私って弱いもん。長い時間走るなんて出来ないし、重いものだって持てない。
世の中、もっとひどい事をしている人だっているんだから。
この位のこと、したって良いと思う。
「聞いてくれよミガ! 父が勝手に僕の婚約を決めたんだ!」
ある日、珍しくドッチィがぷんぷん怒りながら家に来たわ。
私はそんな彼の肩にそっと手を置いて、少し目を潤ませて見せた。
「………婚約したの?」
「したんじゃなく、させられたんだ! どっかの伯爵家の娘とだよ? 他にも相手がいそうじゃないか……!」
どうやら格下の伯爵家の人なのが気に入らないみたい。
「ドッチィ? 私も子爵家の令嬢なのだけど」
少しだけ不満を滲ませた口調で言えば、彼は途端に淡々し出す。
「ミ、ミガは僕の大事な幼馴染だから、爵位なんて関係ないよ!?」
――そうでしょう、そうでしょう。
思った通りの反応に気持ちが満たされる。
優越に浸りながらふと、その婚約者って令嬢が気になった。どんな子かしら?
「……ねえドッチィ。私、その方にお会いしたいわ?」
「初めまして。ドッチィの幼馴染のミガッティでぇす♪」
「……初めましてミガッティさん。コリンヌ・ステラと申しますわ」
ドッチィの腕に抱きつきながら自己紹介する私を前に、一瞬だけ怪訝な表情を浮かべたけどすぐに元に戻して礼を返すコリンヌ嬢。
この顔合わせの前に、お母さまや使用人達に彼女の事を聞いていた。
堅実で成績も優秀。礼儀作法も完璧で、社交や奉仕活動もそつなくこなす模範生。言った後、誰もが口を揃えて“あの方なら侯爵様に選ばれるのも分かる”と言う。
そんな基礎知識を持ってご当人と対面したんだけど……。
確かに上品で、まさに型通り、って感じの人だ。
でも……印象だけなら、ひたすら地味。更に暗い。
こげ茶色のストレートのロングヘアに、同じ色の瞳。申し訳程度の化粧もまるで引き立ってなくて、更に着ているドレスもこげ茶色。
私の方がずーっと可愛いじゃない!!
私は速攻、彼女を格下と判定した。伯爵家の娘でもこんなのじゃ、ドッチィが憤るのも分かるわー。
そうと分かれば後する事は決まっている。
私はいつものように額を押さえてフラッとよろめいて見せた。
「ドッチィ……私、急に気分が」
「え? ……大変だ! どこかで休まないと。すまないコリンヌ嬢、僕はミガを送らないといけないから今日はこれで」
「え? ええ………お気をつけて」
胸に倒れ込んだ私を、ドッチィは血相を変えつついつものように抱き上げてくれた。
そのまま馬車迄歩き出す。彼の背中越しに見たコリンヌ嬢が、複雑な表情で見つめているのが見えた。
咄嗟に私はハンカチで口元を隠す。ニヤつく口元が見えないように。
―――そう、こうやって熟知させないとね。
どんなに周りが良く言ってても、ドッチィにとって大事なのは私だと。
そして……私はドッチィとコリンヌ嬢がいるところにやって来ては、彼女から彼を攫って行った。
デートをする、と聞けば、合わせて具合が悪いと彼に告げる。一度の例外もなくドッチィは、コリンヌ嬢より私を優先した。
自分より幼馴染を大事にする婚約者に、コリンヌ嬢のこれこそ淑女! って感じの余裕が崩れていくのが愉しい。
見た感じ、ドッチィも楽しんでいるみたい。そりゃ、あんな堅苦しそうな女の相手より、私の方が良いものね。
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