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真相④

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 今日は屋敷に使用人達も交えた作戦会議だ。
1番重要なのは『マリアンヌが王太子にキモデブスと認定されること』である。作戦のキモだ。
 男性の使用人達の『こんな女はイヤだ』の意見は様々に飛び交い、貴族達からの意見も加わって一冊本が出来そうである。女性の使用人の何人かは意見をメモに取っていた。
 やがて使用人の1人が、手を上げて言う。
「……王太子殿下にヘトヘトになってもらうにはどうしましょう」
彼が逃げ出すまで精神的に追い詰める事が出来ても、幼少から婚約者として出入りしている分、屋敷内は把握出来ている。
「近道されて簡単に逃がしたくないです」
「誰か、屋敷の見取り図用意して」
「旦那様、是非1番奥の応接間をご使用ください。他は改装中という事で」
「分かった。」
「え? いや……逃げたくなる位に追い込めば良いだけですよ?」
何故か狩りスイッチが入った使用人達の様子に、マリアンヌは困惑する。
相手は(迷惑ポエマーでも)王太子サマですよ、精神攻撃だけで良いのでは? 
そう言うと、他全員が不満な顔になった。
「我々も混ぜてください」
「いやいや、遊びじゃないんだから」
「私達もほんっっっとうに! 怒りまくってるんです! あの身勝手王太子に!!」
「お嬢様を傷付けたくせに状況が変わったらやり直そうなんて、虫が良すぎです」
「あの男爵令嬢の横暴を放置していたのも含めてです!」
「あの人が原因で、どれだけの人が迷惑を被ったか!」
 どうやら男爵令嬢のやらかしを放置していた事も怒りに含まれているようだ。
まぁ王太子が婚約者に選ばなければ調子に乗る事はなかったし、選んだ後も諫める事が出来たのは王太子だけだ。甘やかすだけではなく、その地位につく重要さも教える必要があっただろう。
「私は元から、そのつもりだった」
「おじ様……」
「我が娘を散々虚仮にしてくれた借りは返してもらう」
 マリアンヌも怒ってはいたけど、間近でセレナを見てきた人達はそれ以上だった。
 まぁ味方は多い方が良いし、と思い直すマリアンヌだった。

 「で、話の続きなのだが……確かに何度か屋敷を訪れているから掌握されているな。元来た道を戻るならまだしも、窓から出られたら馬車乗り場までは一気だ」
「窓を全て封鎖するか?」
う~んと公爵が首をひねる。
「そのまま馬車乗り場に行くのなら、それで良いが……大通りに出られて乗合馬車に乗るかもしれん」
「提案なのですが」
 執事がスッと手をあげる。
「フェイクの壁を作るのはどうでしょう?」
「壁……?」
「壁に見せかけた、直ぐに移動出来るものです。知り合いに劇場の大道具を作る者がおりますので頼めるかと」
「旦那様達がご入室された後で、目印になるもの全部、みんなで撤去します」
「場所を変えた方が良いんじゃないか?」
 着々と、作戦が進んでいく。


 「い、いだだ、いだい……!」
「我慢してください、マリアンヌさん」
ぎゅーっと、あらぬ処をもみほぐされ、マリアンヌは施術台の上で悲鳴を上げる。
作戦当日までにセレナに近づけておく(体型以外は)ために、マリアンヌはセレナがされている事をそのまま、侍女達にしてもらっている。入浴後のマッサージもその一つだ。
 香油を塗られ、数人がかりで全身をもみほぐされる。侍女達の額には粒のような汗が光っている。マリアンヌの贅肉でかなり苦戦しているようだ。
 ご迷惑をかけてすみません。……と思いつつも、痛いものは痛い。
「ぎぃ~!!」
 お嬢様って、本当に大変~!!
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