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第3章 勇者の仲間

12 月光流星拳1

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 俺と星香せいかさんの組手が始まった。

「実戦のつもりで行くからね。まずは──【基本の正拳突き】!」

 弾丸のような勢いで迫る拳を、俺は紙一重で避けた。
 わずかに体勢が崩れる。

「【基本の中段蹴り】!」

 そこへ襲いかかる星香さんの第二撃。

 俺は左右の腕を交差させて、それを受けた。

「ぐっ……!」

 両腕にびりびりと衝撃が走る。
 すさまじい重さの蹴りだ。

「へえ、今のを受けるんだ? すごいね、あんた」

 星香さんが目を輝かせた。

「軽く手合せ、って言いませんでしたっけ?」

 苦笑する俺。

「ん、今のは全然本気じゃないよ? それに月子からあんたの実力のおおよそは聞いてたからね、彼方」

 星香さんがふたたび構える。

「どうやら思った以上にやるみたいだし、【基本】だけじゃなくて【応用】を使ってもよさそうだね」

 ……たぶん、【応用】っていうのは今までより威力が高くて、ハイレベルな技なんだろう。
 これは俺も気を引き締めないとな。

 でも、ありがたい。
 それだけの相手と戦えば、大きな経験値が得られるだろう。

 相手に勝たなければ経験値はもらえないから、俺も本気だ。

「【応用編・進化した正拳突き】!」

 ぐん、と踏みこんだ星香さんの拳が、まるで蛇のように伸びてくる。

「っ!?」

 俺は大きくバックステップして、それを避ける。

 これは──?

「よく避けたねー。あんた、本当に強いよ。あたし、ワクワクしてきた」

 星香さんは子どものように目を輝かせ、さらに間合いを詰めてきた。
 拳を、蹴りを、次々と見舞う。

 一撃ごとに加速していく拳速と蹴速。
 まさしく流星のように、次々に浴びせられる攻撃コンビネーションは、常人のレベルをはるかに超えていた。


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